第二話
――――――さて。
この家。
ぶっちゃけ………………………………………………使いづらい。
住み心地なんて言わずとも分かるだろう。
では僕は一体何を考えてこんな家にリフォームしたのだろうか。
そんな事は覚えていない。
それは何故か。そんな事は言わずとも決まっているだろう。
しかし、敢えて言及するのであれば僕は――――――――迷っているのだ。
迷い、巡って、また迷い。
記憶など何処かへ置いてきてしまった。
そんなものだろう。
そんなものなのだ。
しかし、リフォームした理由に関して予想を立てることぐらいは出来る。
多分、流行りだったのだろう。
10年程前になるのだろうか、世間で『迷路』が流行った。
芸術性があるだとか、様式美を感じる、だとかで。
僕も最初こそ『下らない』の一言で一蹴していたものの、世間の波というのはほとほと凄まじいものであれよあれよというままに僕は『迷路』の魅力に取り憑かれた。
取り憑かれた――――というよりも文字通り『迷った』と言った方がまあ、表現としては適切だろうが。
…………いや、表現など今やどうだっていい。
家を『迷路』に変えた理由なんてものはもはや僕にとって大した意味を為さない。
今大事なのはこの『迷路』をどうやって攻略するか、だ。
何故なら僕にはもう余裕はあまり残されてはいないから。
具体的に言って食料がもう残り少ないのだ。
キッチンに合った食料を全て持ってきたところで持って後三日。
このまま『迷路』で迷い続ければ待っているのは、そう――――――死。
餓死。
それだけは流石に不味い。
僕は柄にも無く焦っていた。
迫り来る死への恐怖。
それが今の僕が持つモチベーションだ。
そして今も目の前にあったドアを開けてみるが――――――行き止まり。
勢いだけでは――――迫り来る死への恐怖ごときではこの『迷路』は攻略出来ない。




