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迷路  作者: こもり屋
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第一話

 僕は迷っていた。

 いつしか迷っていた。

 いつから迷っているのか――――――そんな事はもう覚えていない。

 覚えていない程、ずっと前から――――迷っているのだ。

 ならば僕は何処で迷っているのだろうか。

 それだけは僕もおぼろげながらも如何にか覚えている。

 僕は『家』で迷っているのだ。

 家の中で迷っている。

 ここで誤解の無いように言っておくが僕の家はいわゆる豪邸とか、そういった類のものでは無い。

 決して無い。

 むしろ狭いくらいだったと、そう記憶している。

 簡潔に言ってしまえば僕の家は『迷路』なのだ。

 確か5年程前に僕が『迷路』にリフォームした。

 原型が残らないほどにリフォームして、

 後にはこの『迷路』が残った。

 ここは『迷路』だ。リフォームしてからというもの僕は何処にどんな部屋があるのか全く覚えていない。

 僕がそうなるように作り変えたのだから当然と言えば当然の結果だ。

 キッチンには昨日入った――――――次は一体いつ見つける事が出来るだろう。

 バスルームには三日前に入った――――――次は一体いつ見つける事が出来るだろう。

 トイレには一週間前に入った――――――次は一体いつ見つける事が出来るだろう。

 寝室には一ヶ月前に入った――――――次は一体いつ見つける事が出来るだろう。

 リビングには一年前に入った――――――次は一体いつ見つける事が出来るだろう。

 玄関にはリフォームしてからというもの辿り着いていない――――――いつか僕は玄関を見つける事が出来るのだろうか。


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