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ルミナリエ

作者: 朔羅

ここはアズマール王国の首都ウェリテから少しはなれたところにある村、リャントル。

以前は、冒険者が集まりにぎわっていた村だったが、あるときを境に寂れていった。

その村の中心にあるボロボロの家の前に、1人の女の子が立っていた。

彼女の名前は、アルテミーナ・ウェンゲル、魔法使いだ。

この世界の魔法使いは私たちが想像するように魔法を使ったりはしない。

魔法ならだれにでも使える。主に冒険者達が使うことが多いが…。

彼らは小さな玉に籠められた魔法を念じて呼び出し使う。

その小さな玉に魔法を籠められることができる者たちを魔法使いと呼ぶ。


「この家、こんなにボロボロになっちゃったんだ。まず、掃除しなくちゃ。」

数年前までは、この家にも人が住んでいた。

アルテミーナと彼女の祖父で魔法使いだったエンゲルの2人。

エンゲルはこの場所で『ルミナリエ』という魔法商店を開いていた。

孫のアルテミーナに魔法使いの素質を見出し引き取ってからは2人でお店を続けていた。

エンゲルのつくる魔法はとても有名で、冒険者が集まってきていた。

しかし、エンゲルは5年前に流行り病で亡くなってしまった。

アルテミーナは親のもとで暮らすことになりルミナリエは閉じることになった。

「もう、そんなにたったんだね。」

この国の成人は15歳から。

先日、15歳になったアルテミーナはルミナリエを再開させるため、この村に戻ってきた。


それから数日、アルテミーナはやっと家の掃除を終えた。

その間、村であったのは老人ばかりだった。

若い人達は皆、首都や親戚のところへ移り住んでいた。

「全然、違うなぁ。」

彼女は今、首都ウェリテを訪れていた。

村の中では必要なものすら買えないからである。

生活必需品や、今日は魔法をつくるための材料も買った。

「竜の珠は買えないか。仕方ない、取ってくるしかないね。」

竜の珠とは魔法をつくるのに1番大事な材料だ。

魔法を籠める小さな玉が竜の珠なのだ。

上手い人はこれさえあれば魔法をつくれる。

他の材料は失敗を減らすためにいれるのだ。

ただ竜の珠は取るのに苦労する。

高い山の頂上付近にしかない木になる木の実なのだ。

ウェリテの周辺にも山はたくさんあるが、竜の珠が取れるのはこのあたりで1番高い山、ダリだけである。

「1人じゃ無理だね。冒険者を雇うか。」


世界各地の重要な都市にはギルドが存在していた。

冒険者達はそこに集まり、仕事を探したりするのだ。

それは、商人が都市を移動するときの護衛だったり、危険な場所への同行だったりする。

「おじさん、久しぶりだね。ダリの頂上まで行きたいの。1番安い冒険者は?」

ギルドの中は大体どこも同じだ。

バーのようなカウンター、横には掲示板がある。

「失礼だが、君は?」

「アルテミーナだよ。5年たつ間に忘れちゃった?」

それを聞くとカウンターの中にいた男の表情が変わった。

不信気な表情だったが、朗らかな笑顔になった。

「アルかい?久しぶりだな。随分と変わっていてわからなかったよ。どうしてここにいるんだ?」

「私、成人したの。だからルミナリエを再開しようと思って。竜の珠を取りにいきたいんだけど、誰かいる?」

「ルミナリエを再開させるのかい?喜ぶやつも多いよ。戻ってくるかもしれないと待ってたやつもいるんだ。」

男は店内をぐるりと見渡すと、ため息をついた。

「顔馴染みのやつは皆でているみたいだな。あいつらなら報酬を取らないでやってくれると思うんだが。」

そこまで言うと男は、手元を見た。

「ダイクが今晩戻ってくる予定だな。明日また来ないか?」

「報酬くらい用意してるよ。ダイクかぁ。久々に会いたいな。うん、明日また来るよ。」

アルテミーナが帰ろうとしたとき、「マスター!」と言った大声が響いた。

「俺がいるんだ。どうしてやらせてくれない?ダリくらいいけるよ!!」

カウンターの中にいた男、マスターはあきれたように首を振った。

「そういうことじゃない。ダリまでの同行となると高いだろ。ダイクならアルと聞けば無報酬でもやる。それだけだ。」

「その子、何者なんだ。あのダイクさんが無報酬でもうけるなんて。」

「ただの顔馴染みだよ。おじさん、また明日来るね。」

アルテミーナはそういってギルドを出た。

「きっと、大袈裟に話すんだろうな。」


「彼女の名前はアルテミーナ、皆アルって読んでいた。ルミナリエを知っていたか?」

「聞いたことならある。すっごく腕のいい魔法使いだったんだろ?」

「彼女はその孫だ。後継者でもある。ここにも竜の珠を取りにいく同行者を探しにきていた。皆ルミナリエにはお世話になっていたからな。喜んでついていったよ。」

「そうだったのか、ダリまで行くならまだ間に合うな。行ってくる。」

彼はそういうと、飛び出していった。


「アルテミーナだよね、さっきまでギルドにいた。」

突然声をかけられたアルテミーナは驚いて目を丸くした。

「あなたは…、確かギルドにいた。」

「そう、俺はマルス。ダリに行く用事ができたんだ。行きたいって言ってたよね?一緒に行こう。」

それだけ言うとマルスはアルテミーナの手を引いて歩き出す。

「ありがとう。私のことはアルって呼んで。じゃあ、行こう。」

マルスが歩き出したほうとは逆に、アルテミーナは歩き出した。

「道、そっちじゃないよ。」

「あはは、悪い。」


「マルスは何で冒険者になったの?」

アルテミーナとマルスは今、ダリの中腹を歩いていた。

ここまではこれといったモンスターに出会うこともなく、順調に進んでいた。

「1番簡単に稼げるからだな。早くお袋を楽にしてやりたくてさ。」

「へぇー、お母さん思いなんだね。」

「まぁな。女手一つで俺を育ててくれたんだ。」

アルテミーナはどうすればいいのかわからなくなって、黙ってしまった。

「暗くなるなよ。悲しいなんて思っちゃいない。」

落ち込んだアルテミーナを励ますようにマルスは言った。

「おい、あれは竜の珠だよな。見えたぞ、もうすぐだ。」

途端に、マルスの目つきが変わった。

「動くな。何かいる。」

マルスはそっと歩いていった。

木の陰から、大きなモンスターが飛び出してきた。

今まで見たこともないほど大きなモンスターにマルスは苦戦していた。

「確か、炎はあったはず。いけ―っ!」

突然、モンスターが燃えた。

もだえ苦しむモンスターにマルスが止めを刺すと、塵となって消えていった。

「ありがとう、助かった。」

「ついてきてもらってるのは私だもん。」

それだけ言うと、アルテミーナはマルスの全身を眺めるように見た。

「魔法、持ってないの?」

「高くて買えないんだ。今までは他の冒険者と一緒だったしな。無理する必要はなかった。」

アルテミーナはため息をつくと、竜の球をとってきて何かを始めた。

竜の珠から光が溢れ、どんどん大きくなっていって、真っ赤になった。

「これあげるよ。あったほうがいいでしょ?」

マルスに手渡したのは魔法玉だった。

「ありがとう。」

「明日、リャントルまで来てくれたらもう少し渡すよ。今日のお礼。」

「ありがとう。」


次の日、マルスはリャントルを訪れていた。

「すみません、アルに会いにきたんですけど家はどこですか?」

「アルちゃんに?あの家だよ。」

「ありがとうございます。」

指差された家の前まで来ると、アルが出てきた。

「来てくれたんだね。はい、これ。また今度、同行をお願いしてもいい?報酬は魔法玉で。」


2人の物語はここから始まった。


初めての小説投稿です。

誤字脱字、読みずらさ、多々あると思いますが、

指摘頂きましたら修正を加えていきたいと思います。


まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いいたします。

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