はじまりのうた
「人間は夢を見、そして忘れてしまう。」
その常識、『ある条件』があれば、ぶち壊せると思うの。
まぁ、あなたが純粋な子供であることが第一の条件だけど。
♪ もしも ねがいが かなうのなら
まっさらな草原の上に、たくさんのシャボン玉。
青い空を写して、虹色にキラキラ輝いている。
♪ ぼくの りょうてに ゆうきをください
その上には、小さな女の子が一人。歌っているのは、いつかどこかで聞いた歌。でも、なんて名前かは覚えていない。シャボン玉の下で和かに、楽しそうにくるくると回りながら歌っていた。
♪ あめに うたれて しおれてる
遠くの方に、小さな男の子を見つけた。よく見えないけど、下を向いてうずくまっているから、きっと悲しいことがあったのかもしれない。
じゃあ、この歌で、元気づけてあげよう!
♪ あのつぼみを あたためるために
女の子は、男の子に駆け寄って、「おーい!」と手を振った。返事がなかったので、もっと近づいてみた。
♪やわらかなひざし あいにあふれて
「………うるさいよ。静かにして」
男の子はこちらを向いて、素っ気なく言い放った。
「えっ………どうして?」
女の子はキョトンとした。今まで「うるさい」とは言われたことがあったが、それはお家の中や幼稚園での話。広い草原の上で、どうしてうるさいのだろう?
それに……
「ねぇ、キミも一緒に歌おうよ!すっごく楽しいよ。イヤな気持ち、吹っ飛んじゃうんだから!」
♪ すべてが かがやき
そう言って、歌いながら軽やかにターンしてみせた。
男の子は、なんだか新しい世界を見るような目でそれを眺めた。
そして立ち上がって言った。
「その歌………知ってる」
♪ いきてる
「知ってるの?じゃあ、歌お!」
女の子は、男の子の手を強引に引っ張り、両手をつないだ。男の子は動揺したけれど、すぐに女の子のペースに合わせていった。2人で、メリーゴーランドのようにぐるぐると回りながら、声を通わせた。
♪ きせつは めぐって
だいちを かざってゆく
「ちょっと………もう無理だよ………」
目を回してしまった男の子は、もう限界がきてしまった。
「……でも、すごく楽しいね」
男の子は立ち止まり、微笑んだ。
「でしょでしょ!」
砂の数のような、シャボン玉たちは見守っていた。
幻想の中の2人だけの世界で、顔を見合せて最後まで歌った。
♪ ひかりと かぜと そらの
あおさを うつして
今回登場した「歌」は、実在するものです。
作者が小さな頃に歌って、お気に入りだったものが大半。




