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結婚式当日に裏切りを見て婚約破棄したのですが、副会長さまに溺愛されています  作者: 寿明結未


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12/22

第12話 外のことを知らない私は、夫と母から情報を得るの

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 それからアルベルト様は、仕事中でも最低三回。

 朝、昼、そして帰宅前に、必ず手紙を送ってくださるようになった。

 とても、まめなお方。

 私を外に出さないから、余計に気に掛かるのかしら。

 何にしても、彼の愛情の深さを感じて、それと同時にシシリーから――。


「アルベルト様の愛は重たいねぇ……奥様に逃げられちゃうわ」

「ふふふ、この程度の愛ならば、喜んで受け入れますわ」

「奥様は本当に……旦那様にぴったりの女性ですわね」


 シシリーに褒められて嬉しくなった。

 私のような人間でも、アルベルト様に相応しいと言ってくださる。

 それだけでもう幸せすぎるくらいなのに……。


 ――あれから義妹は静かなもので、今はどうしているのかわからない。

 時折、アルベルト様が実家の店を使い、色々と購入しているけれど、あの子が来ることはなかった。

 諦めた……とは、とても思えなかった。

 彼の怒りに触れなければいいけれど……。


 思っていた矢先、母が珍しくひとりで屋敷に訪問し、私とつかの間の時間を過ごしてくれることになった。


「お店は大丈夫なの?」

「大盛況だけど、大丈夫よ。従業員も増えて回しているから安心しなさいな」

「それは良かったわ……」

「それより、メアリーのことだけど」

「どうかしたの?」

「あの子、何を考えたのか今まで遊びほうけてたのに、仕事を探すって言い出して」

「まぁ……不思議なこともあるのね」

「どこに行っても、直ぐに馴染めず辞めさせられて帰ってきているわ」


 その言葉を聞いて、私はため息を吐いた。

 どこに行ってもあの子は自分が正しいと言う事を曲げないのだろう。

 すると――。


「お義姉様が私を雇ってくだされば全て解決するのにって煩いから、誰が貴女を雇いますか? 今までのしてきたことを自分に問いかけなさいって言ってきたわ」

「そんな事もわからないなんて……」

「本当に愚かね……。それと、大事な話なのだけど」

「ええ」

「アルベルト様の伝手を紹介してもらって、今、あの男と離縁に向けて動いているの」

「え!?」

「まだ時間は掛かりそうだけれど、安心して頂戴」


 お母様もまた、アルベルト様のお力添えで、あの男……お義父様との離縁を進めていることをこの時初めて知った。

 確かに、愛人の家に常にいるようなのは、結婚とは言い難いことだものね。

 なるべくしてなった――と言う方がしっくり来るわ。


「まぁ……。やっとお母様も」

「ええ、お荷物二人を放り出せそうよ。まだ時間は掛かるんだけれど。でも、この事はまだ馬鹿二人には内緒にしてるわ。いざと言う時に出せるようにね」

「まぁ、お母様ったら……」


 強かな母に私は少し笑いつつも、確かに私達親子は前に進めているのだと感じた。

 それだけ、アルベルト様の巻き起こした風は強いのだと言うのも感じたし、何より、彼が私達親子を守ろうとしてくださっているのも感じて、胸が暖かくなる……。


「アルベルト様に感謝しなくては……」

「……そういえば」

「どうしたの?」

「エドガーが行方不明らしいの」

「彼になら一度会ったけれど……思い出したくもないわ」

「酷いことが遭ったのね……」


 母に背中を撫でられ、涙が溢れる。

 思い出すのも気持ちの悪い……もう私の人生に変わってほしくないのに!


「何故ああも人の気持ちを踏みにじっておきながら、好き勝手言えるのかしら……。本当に気持ち悪い……っ!!」

「だからこそ、メアリーと仲良く出来たんでしょうね」

「最低だわ……」

「ええ、最低で最悪な男だったわね……。貴女が私のように、不幸な結婚をしなくてよかったと、今はホッとしているわ」

「お母様……」

「困ったら何でも良いの。アルベルト様に相談なさい。助けを求める時は、無我夢中でも叫びなさい。貴女は誉れ高きロガンド商会の副会長、アルベルト様の妻なのだから」

「――はい!」


 ハンカチで涙を拭き、お母様に甘えて少しだけ安心感が戻ってきた。

 私もまだまだね……。

 自分を嗜めつつ思っていると、ノック音が聞こえて、部屋に入ってきたのはアルベルト様だった。


「アルベルト様! お帰りなさいませ!」

「うむ! ただいま! お邪魔だったかな?」

「いいえ。そろそろ帰るところですわ。ではナディア……また来るわ」

「はい、お母様」


 こうしてお母様はご帰宅され、私はアルベルト様に抱かれてソファーに座る。

 彼の膝の上は恥ずかしいけれど、愛されているのがとても伝わって嬉しくもある。

 そして、今日一日の話をおとぎ話のように聞く時間は幸せ一杯で、外のことが分からない私は夢中になって話を聞いた。


「では、ロガンド商会は更に?」

「ああ、荷物を運ぶ船を二隻購入したからね。更に発展するだろう」

「凄いわ……」

「その船に乗る乗組員を募集しているんだがね、丁度良く……うん、良い適材人がいてね」

「まぁ、どのような方ですの?」

「頑張り方は……間違っているが、とても素直な人だよ」

「素直な人なのですね」

「ああ、海に出すにはピッタリだろう」

「海に出たらどれくらい帰ってこれませんの?」

「往復合わせて最低半年かな。その間は船からは出られない」

「ずっと海を眺めての生活ですのね」

「そうだね。あの海域はサメも多いから、海に飛び込む馬鹿も、長くは生きられないだろう」


 クスクス笑うアルベルト様に不思議に思いつつも、「そうなのね?」と口にすると、チュッと唇を吸われてびっくりする。

 どうしたのかと思ったけれど――。


「なに、船内に一匹ドブネズミが居たとしても、もう逃げ場なんて無いさ」


 とても嬉しげに語り、意味は伝わらなかったけれど、きっと変な従業員を矯正させるために乗組員にしたのだろうと、事実を私は知らないまま……。

 そう思うことにして、私は彼の胸に顔を埋めた――。

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