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漫画世界に転生した巫女はカラーページが欲しい。  作者: サイリウム


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27:回復



(到着、っと。)



そう心の中で呟きながら塚本家、樹里ちゃんのお家の中に入っていきます。


笹沼先輩のお家にお邪魔した時のように式神で鍵を作り、かちゃりと侵入。そのまま彼女のお部屋へとお邪魔しちゃう感じですね。まぁ思いっきり不法侵入ですし、プライバシーもへったくれもないような行動なのですが……。い、一応理由があってしてるんですよ? ほんとに。



(思ったよりやられてたみたいですからねぇ。)



監視用の式神で彼女たちの様子は確認していましたが、あの『弓鳥』相手にかなりの苦戦を強いられていたようでした。


私からすれば雑魚ですが、初心者から飛び出せていない二人からすれば信じられない程の強敵。“以前の主”の命令があったおかげかどうにか大きな後遺症、今後長く続くような怪我をすることはなかったようですが……。それでも戦いのダメージは甚大。普通に入院レベルのケガを負ってしまいました。


そんな状況です。お二人としても即座に医療施設に飛び込みたかったのでしょうが……。



(できなかったんですよねぇ。)



まだお二人は学生で、しかも女性。そんな大けがして病院に行ってしまえば『すわ何事か!?』となるのは必定。


親御さんは飛んでくるでしょうし、警察も飛んでくるでしょう。けれど二人からすれば説明も証明も出来ません。何せケガさせた相手は怪異、一般の人には見えないのですから。正直に話したとしても精神を病んでしまったのか、言えない様な何かに巻き込まれていると思われてしまう事でしょう。そうなればもうこれまで通りの活動は出来なくなるでしょうし、より面倒ごとが転がり込んでくることに。


二人からすれば『この町で戦えるのは自分たちだけ』という状況。自分たちが行動不能になってしまえば町を怪異たちの好きにされてしまう。病院などの公的機関に頼らず、自分たちで何とかしようと思うのは……、そうおかしな話ではありません。



(学校の部室によって救急箱から色々拝借、部活動で樹里ちゃんが慣れているといっても応急処置でしかない治療。治りはするでしょうが、どれだけかかるか……。)



ま、難しいですよね、ここら辺。


よくよく考えれば自分たちで処置してあとは自然治癒に任せる、なんてかなりヤバい選択だと気が付けるでしょうが、彼女たちは圧倒的な強敵に蹴散らされた後。肉体的にも精神的にも疲労困憊ですし、作者が情報を出すのを渋っているせいか二人は全く『こちらの世界』について知りません。誤った選択肢を選んでしまうのもそうおかしな話ではないでしょう。


ウチお抱えと言いますか、祖父母の知り合いが経営してる病院があるのでそっちに行けば上手い具合に誤魔化すのを手伝ってもらえたかもしれませ……、ん?



(も、もしかして作者的にはそっちのルートを想定してた?)



た、確かに霊具を通じてみかんちゃんとは『繋がり』があるので、彼女に指示というか“思いつき”という形で色々動かすことは出来るんですけど……。


え、もしかしてそういうルート? た、確かに知り合いの医者、あのお爺様だったらある程度怪異への知識がありますし、こっちから口止めをお願いすることも可能。物語的に必要そうな情報だけお渡しすることも可能だったはず……。


あ~、うん。


これは確実に私のやらかしですね、はい。



「敗北からの修行回、その直前に入れ込まれる“世界の拡大”! て、鉄板のルートをスルーさせちゃってるじゃないですか……!」



え、どうしよ。こんなに素敵な展開私のせいで潰しちゃった? い、嫌でも作者がこれを思いついていたのなら私が五人衆で遊んでいる時に動かしててもおかしくないはず。い、いやでも私が『4回も書き直させた』せいでその考えが吹き飛んじゃったというのもありうるから……。


い、今からでもリカバリー効くよね? よね?


と、とりあえずみかんちゃんに新しい記憶を1つ2つ埋め込むことにして、次回以降は病院に搬送されるように手配を……。よ、よし! もう過ぎちゃったものは仕方ないし、どうせ今は『誰にも見られてない』。


ある意味私のせいでケガをしてしまったようなものなのだ。


だったらきれいさっぱり治してあげないとねぇ?



「んでは、お耳を拝借。 『眠れ眠れ 月の涙よ~♪』」



そう言いながら歌い始めるのは、子守歌。


大体300年ほど前のウチの神主さんが日記に書き記していたものを現代語訳したもの。あぁ勿論、声に“霊力”を乗せていますからこれも一種の術だよ?


既に結界は展開済みなのでこの家どころかこの一帯の皆様は深い眠りについているのだが……。実はこの結界、霊力を持つ人にはちょっと効き目が悪いというデメリットがあるんですよね。まぁそもそもこの結界の作成意図が『霊能力者が戦ってる音に一般人が気が付いて怪異を知ってしまう』という状況を防ぐためのモノ。


霊能力者こと一定の霊力を持つ人には効かないってものなので、仕方ないんですけど……。それじゃあちょっと困っちゃう。



(つまり私がお部屋に入った瞬間、樹里ちゃんが目覚めてコンニチワ! って可能性があるのです。)



まぁそれも悪くないとは思いますが、今も着けてる例の黒い布。顔を隠して『黒巫女』なんて謎の人物を描写したんです。


私からすれば想定外もいいところですが、ここまで盛り上げてのなら『発覚のタイミング』はもっと大掛かりな仕掛けを用意してもっと読者様を楽しませるべき。そしてその仕掛け人は読者様の反応を私よりもより確実に理解できる作者に任せた方がいいでしょう。


此方としては、出来る限り正体を隠し続ける方針で行きます。


というわけで正体を隠すために、樹里ちゃんに眠ってもらうために使っているのがこの子守歌。歌に合わせて霊力を行使することで聞いている人をそのまま寝かしつける奴です。結界と併用して使うことで霊能力者相手でも効果を発揮する、って感じですね~。


あ、一応結界の効力を高めて樹里ちゃんを寝かし続ける、って方法もあるんですけど、そうすると今度は一般の皆さんへの効果が高く成り過ぎましてね? 熟睡どころか永遠の眠りに付いちゃう可能性が出てくるのです。


だったらもう子守歌の併用しかないでしょ、って話です。



「『桃の花びら 夢に舞う~♪』」



そう歌いながら、樹里ちゃんのお部屋の前に到着。静かにドアを開き中へと入っていきます。


一応監視しているのでないとは思うのですが、もしこの瞬間に起きてたら詰み。そのためちょっと緊張していたのですが……



(よし、寝てる。……にしてもまぁ手ひどくやられましたねぇ。)



部屋の隅に置かれたベッドに寝転ぶのは、塚本樹里。この世界の主人公ちゃんです。


おそらく普段は窓から出入りし、夜の街をパトロールしているのでしょうが……。今日は余裕がなかったのでしょう。窓のカギは開いていますし、彼女の服装も寝間着ではなく戦闘時に着ていた制服となっています。


そしてそんな制服をめくってみれば……、案の定包帯で包まれた肉体がそこに。一部既に血がにじみ出しており顔に苦痛が浮かんでいることからも『痛みに耐えながらも無理矢理寝た』のでしょう。


明日からGWが始まるというのに、こんなケガで何もできないというのは心苦しいですからね……。



「『父母のぬくもり 包まれて~♪』」



カギを閉め、着ていた制服を一度脱がします。


そして行うのは、肉体の治癒。


私はどちらかと言うと祖母と同じ前衛で相手を蹴散らしていくタイプには成るのだが、回復系の術が出来ないわけではない。そこまで得意ではないので範囲効果は無理だが、自身が対象のものであれば即死以外は即座に回復可能。他者でも単身なら小さな骨折までなら瞬時に治し切ることが可能だ。



(あ、ちなみにこの前呪い殺せるかな? で見つけた『作者との繋がり』に向かって延々と回復術式を送り込んでるからあっちはずっと元気だよ! これで永遠に漫画がかけるね……!)



とまぁつまり樹里ちゃんの傷もすぐに治せるのだが、ちょっと念入りにやっておいた方がいいだろう。彼女は主人公だし、私の“色”という個人的な欲望の為に動いてもらっている身。少しぐらいサービスしておくべきだろう。


包帯の上から手をかざし、術によって霊力に形を与えながら彼女に流し込むことで……



(……肉体の修復完了。次に霊力と魂、そして霊具との結合の修復……、完了。うん、これで前よりも大幅に動きやすくなったはず。……にしても、天然物か。)



全ての工程を完了。ちょっと気に成ることはあったが、今考えることではありません。とにかくこれで明日からは昨日よりも元気な樹里ちゃんが見られることでしょう。


……さて、じゃあ次の処置だ。



「『そっと見守る 星の音~♪』」




次の歌詞を紡ぎながら、霊力を込めるのは彼女の心臓。


そう、塚本樹里がその身に宿す『霊刀』だ。


今回の戦いでこの霊具が大きなダメージを受けたことは把握している。無論この霊刀はかなり上等な存在だ。多少のダメージなら持ち主の霊力を使って回復が可能なのだろうが……、やはりまだ『未覚醒』。本来の力を取り戻すのには時間がかかりそうなのが見て取れる。


しかも自意識があることから、母体でもある樹里ちゃんに余計な負担をかけないよう『持ち主の霊力の使用』の機能を自分からロックしちゃってるみたいだし……。うん、やっぱこっちも直してあげないと不味い奴だな。ただの自然治癒なら数か月スリープ状態のままだ。



(なので霊力を流し込んであげまして……、ついでにこれも入れておこう。)



彼が再起動に必要な霊力と共に、追加の知識を放り込んでおく。


かなり高度な技術が使われているので下手に触ると壊してしまいそうな霊具だったが……、まだ内部に幾つかの空きスペース。使われていない記憶領域が存在していた。


なのでここに『霊能力者の修行』についての知識を放り込んで置いた、ってわけですねぇ!



(彼女たちが神社にやって来て師事を求めるのであれば、それは作者が望んだこと。『山本さくら』としてそれは問題ない。ただもしそれ以外の選択肢を取った場合、彼女たちは真面な師すらいない状態で今後戦っていくことになる。)



まぁそれは不味いだろう、って話だ。


折角強敵が出てきてこれから修行だ! ってなった時に『でも修行の仕方が解りません……』ってなったら拍子抜けでしょう? でも霊刀さんが『先の戦いの衝撃か何かで思い出した……!』ってなればそんな状況は防げる。一応キーに反応して今送り込んだ知識が解放されるようにしておいたから、彼女たちが『行き詰まり』に陥った時の助けになってくれるだろう。


……うん、こんなものかな。


あとは霊刀を彼女の心臓に戻してあげて、パジャマを着せてあげればハイ完成! 樹里ちゃんの処置完了~!



「『小さき命よ 笑う支度を しておいで~♪』」



さ、次はみかんちゃんの治療に行きませんと! あっちは私が作った霊具だし、ちょっと新機能でも追加して見ますかねぇ~。



























「……ぁれ。何か、歌が聞こえた……。あれ!? 私着替えてる!? というか体痛くない!? なんで!?!?!?」







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