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TRPGをベースにしたAI管理RPG。クリア後に竜の力を手に入れ転生した俺。TRPGの知識で生き延びて必ず現実世界に帰って見せる!!  作者: 春の小川


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第9話 「探索2日目」

午後のモンスター狩りを終えた俺たちは、草笛亭へ戻ってきた。

夕陽は傾き、町には少しずつ夜の影が降りてくる。

この町は冒険者だけでなく、胎内から採れる魔石や素材を目当てにした商人も多いため、夜でも賑わいが途切れない。


草笛亭の食堂に入って席へ腰を下ろすと――


「なんだい、今帰りかい?」


声のする方を見ると、リナラさんが一つテーブルを挟んだ席に座っていた。


「その様子だと、午後も胎内に潜ってたんだろう?」


「はい。でも……後半はそこそこでしたね」


「まぁ、毎回うまくいくとは限らないさ」


「ですね。明日からまた頑張りますよ」

俺がサムズアップすると、リナラさんはくすっと笑った。


「いいね、その前向きさ。ほら、これ。胎内でのお礼だよ」

そう言って、酒の入った杯を俺の机へ置いた。


第一印象とは意外と違って、ずいぶん気さくな人だ。お酒が入って上機嫌なのかな……。

「ありがとうございます。いただきます」


ぐいっと煽ってみる。

……うーん、味はビールっぽいけど、常温で炭酸もなし。正直ちょっと微妙だ。

けれど、せっかくの厚意に文句をつけるのは筋じゃない。


「く~~! やっぱり仕事終わりの一杯は最高っす!」


「お兄ちゃん、いい飲みっぷりだねぇ」


…って答えたのはリナラさんではなく――世紀末冒険者、ジギーさんだった。


「うわ、また気配ゼロで現れた……」

エルシナーデさんも驚いている。


気づけば目の前の席にはジギーさんが座り、すでに食事と酒が並んでいる。

あれだけ存在感のある風貌で、どうやって気配を消しているんだこの人。

もしやこの世界でいう武位の使い手なのではないだろうか?


そのまま俺、リナラさん、ジギーさんの三人(+幽霊一名)で食事をとる流れになった。

酒も入り、会話も自然と弾む。


俺とジギーさんは今日が初探索。

リナラさんは一週間前から胎内に潜っているらしい。


「いや~それにしても今日は三人とも、なかなかの稼ぎだったみたいだねぇ」


…って言ったのはここに居る俺を含めた新人冒険者3人ではないない――査定中に話しかけてきた先輩冒険者だった。

この世界の冒険者って、会話に混ざるのが得意なパッシブスキルか何か持ってるのか?


「アキラ君とジギー君は初心者とは思えない討伐数だったし、リナラちゃんは強敵のカマキリモンスターを倒したんだ。たいしたもんだよ」


……と、やたらと褒めてくる。


その後ろで――


「はぁ~、みんな楽しそうでいいねぇ……」

「功労者の私をほったらかしで……」

「どうせそのうち、私なんか用済みになるんだ……」


エルシナーデさんが、俺に向けてチクチクと刺すような言葉を投げてくる。

たしかに会話に夢中で忘れていた……ごめん。


「あー……明日も探索があるので、俺はそろそろ失礼しますね」


軽く頭を下げ、俺は食堂を抜けて部屋に戻った。


◆◆◆


翌日も、俺たちはエルシナーデさんと協力して探索と狩りをこなした。

ハンドアックスは結局使っていない。

《ピアッシング・クロー》の威力と効率の前には、店売り武器ではどうしても物足りない。


ただ――問題は見られることだ。

他の冒険者とすれ違うたび、腕から生えた鉤爪を隠すのが面倒で仕方ない。

それに痛い!


そんな俺の様子を見て、エルシナーデさんが考え込んだ後にぽんと手を打つ。

「そうだ。帰りに武具店へ寄ろう。いい手があるよ」


◆◆◆


探索後、俺はエルシナーデさんの勧めで武具店へとやってきた。

「鉤爪を隠す方法があるんですか?」


「あるある。ほら、これ」


指さした先には、厚手の革のグローブが並んでいた。


「これを着けた状態で鉤爪を出せば……武器というより、ナックルの類いに見えるでしょ?」


「なるほど。飛び出す部分に穴をあけておけば自然に馴染みますね」


「そうそう。それで充分ごまかせるはずだよ」


革グローブは高いものでもない。俺は迷わず購入を決めた。


さらにエルシナーデさんは棚を眺めながら言う。


「あとは道具袋だね。今は一階層で探索してるからいいけど、二階層、三階層と行けば荷物は確実に増えてくる。容量が必要だよ」


「そうですね。いずれ日付をまたぐ探索になるでしょうし、食料も持ち込まないと」


店内を見て回るが、容量の大きい道具袋はどれも背負うタイプで結構大きい。

荷物持ちを雇うべきか……と考えていると――


「アキラ、こっちきて!」


エルシナーデさんが棚の奥で手を振っていた。


「これ。まさか、ここでマジックアイテムが売られてるとはね」


カウンターの向こうには、鍵付きで陳列されたバックパックが置かれていた。


「中古品みたいだけど、状態は悪くないね」


エルシナーデさんは商品札を読みながら、ふむふむと頷く。


(ゲームにも《ルーキー・バッグ》ってあったな。序盤の収納アイテム。値段は250Gくらいだったけど……)


「その札、なんて書いてあるんですか?」


「『マジック・バックパックS』。容量は今のポーチの三十倍。……で、値段が二千G」


「に、二千!?」


「声が大きいってば……」


ゲームの十倍近い値段に思わずびびってしまった。

中古でこれなら、新品や大容量のものは一体いくらするんだ?


「うーんでも容量三十倍程度じゃ……長期探索には少し足りないですね」


「だね。食料と水も必要になるし、拾った魔石や素材を無視するわけにもいかないから」


……

……


(そういえば《アイアン・ストマク》のスキルがあったな。

“あらゆるものを咀嚼し、栄養に変える”――

あれさえあれば、食料と水はほぼ現地調達で済むかも……?)


考え込んでいると、店主らしき女将さんの声が飛んできた。


「ちょいと冒険者さん。カウンターを塞ぐのはやめておくれ。買わないなら場所をずれてちょうだい」


俺とエルシナーデさんは慌てて場所を移動し、《アイアン・ストマク》のことを説明した。


「なるほどね。それなら食料問題はほぼ解決だ。バックパックには素材と魔石だけ入れればいい」


「ただ……二千Gはすぐには出せませんね。生活費もあるし、防具もまだ揃ってない」


「武器は竜人魔法の鉤爪でなんとかなるとはいえ……確かに、どれも必要だね」


「胎内の内部構造が変化するまで、まだ日数はありますし。それまでに頑張って貯めましょう」


「そうだね。今は地道に探索をして稼いでいくしかないかぁ」


「ですね。アイテム、残ってるといいんですけど」


「そうなんだよ。マジックアイテムは滅多に出回らないからね。先に買われないといいんだけど」


そう言い合いながら、俺たちは革のグローブだけ購入し、店を後にした。

(あ~あ~。どこかで一気に稼げる良い方法はないかなぁ)

第9話目も読んで頂き有難うございました。

次回の投稿は11月23日(日曜日)18:00を予定しています。


この作品を気に入って頂けましたら、ブックマークや評価を頂けますと創作活動の励みになります。

次回もよろしくお願いします。

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