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プロローグ

 俺は今までには感じたことがない感情に何も出来ずに居た。以前とは違い、少量のご飯しか食べることが出来ないし、明日食べられるご飯があるかもわからないという況下に置かれていてもろくに何も食べられない。


秘書「大丈夫ですか?」


「もうお前しかいないんだよな」


秘書「そうですが大丈夫です!貴方のそのカリスマ性さえあれば何とでもなります!」


「そういうもんかね」


 鬱状態の俺は全てをネガティブに捉えてしまう。そんな状態だというのにこいつはいつまでも着いてきてくれる。それこそ監視役のように。


秘書「今日は何をしましょうか」


「何か用事があるのか?しかも町に行くと……」


秘書「すみませんでした。それでしたら山登りに行きましょうよ!」


「そうだな~、お金はどれくらい必要?」


秘書「ええっと、確か無料だったはずですよ」


「国の土地なのかな?」


秘書「そうなんじゃないですか?」


「そうか」


 今の状態が悪いという事はわかっている。でも改善がどうしてもできない。この誰の目にもつかないような小さな暗い空き地で暮らしてどのくらいなのだろうか。


「ここで暮らしてどのくらいになる?」


秘書「大体三ヶ月くらいですかね?」


「それだけしかたってないのか」


秘書「いえ、私もこの暗い場所では日が出ているかすら分からないので正確さは保証できませんが」


「そうか。俺の残りの資金は?」


秘書「ゼロです」


「ふっ!面白い!」


秘書「突然どうしたんですか⁉」


とっ!秘書は驚くが今の俺は誰にも止められないっ!


「財政経ちなおして歴史に名を遺すぞ~!」


と俺が言うと秘書は控え目に手を挙げ、おー!と小さく言う。


秘書「では具体的に何をしましょうか?」


「そうだな、まずは市場調査からだな」


秘書「と言いますと?」


「町に出向く」


秘書「しかしロクに町の様子を見られないまま追い返されてしまいますよ」


「ローブを着れば大丈夫!」


秘書「では私の権限で町に行きましょうか?」


「そうだな、そうしよう」


とロクに作戦も立てないまま町に出向くのであった。


─街中にて


「人が少ないな」


秘書「そうですね。前に来た時とは大分違いますね」


「この前はさすがに多すぎたってのもあるとは思うが」


秘書「ではどこに向かいますか?」


「そうだな、取り敢えず俺の館の跡地に行きたい」


秘書「かしこまりました。歩きで行きますか?」


「いや、いい」


秘書「では、行きましょう」


と秘書がいい、周りの景色が変わる。いつも通り何とも言えない感覚だ。


「来たな」


秘書「まだあの時のままですね」


「確認したいことがあるんだ」


秘書「いきなり兵や執事達がいなくなった理由ですか?」


「それだよ」


秘書「どんな権限を与えられれば一斉に誘拐できるんでしょうね」


「一番の課題は犯人は単独かってところだよな」


秘書「そうですね」


「じゃあ証拠を求めて入っていくか」


秘書「地図を用意いたしましょうか?」


「いや、全て頭に入っている」


秘書「そうでしたね」


と言いながら俺たちは今じゃ考えられない程大きな門をくぐりその大きな庭に入っていく。昔とは違い、花は枯れているが噴水は水がなくてもきれいだ。そして正面にはボロボロの館が見える。


「はぁ~」


秘書「また悪戯ですかね?」


 俺らは館の壁を見て絶句しているのだ。その理由は壁に落書きやら傷やらでとんでもないことになっているのだ。さらにこの世界では権限がすべて。だからもちろん石ころを投げつける事も出来ない人が居るんだ。でもそれが出来ているという事はそれなりに良い権限を持っているという事になるのだ。


「まあ中に入るか」


秘書「もうありませんよ?鍵」


「大丈夫だ。鍵は取ってある」


秘書「よかったんですか?」


「どうせ100枚で売れたボロい館なんだからな」


秘書「そうですね。では入りましょうか」


「そうだな」


と言いながら鍵を開け中に入る。


秘書「誰もいませんね?」


「そもそも書いてはつかないだろ。こんなところ」


秘書「何か聞こえますね」


「そうか?気張りすぎなんじゃないの?」


秘書「いや、確かに聞こえるんですよ」


「言われてみれな確かに」


?「となっておりまして」


秘書「どうやら説明口調のようですよ?」


「お、内見かな!」


秘書「ちょっと、そんな大声出したらばれますよ。取り敢えず今日は帰りましょう」


「無理だ。散策を続ける。2階に行ったらわかんないさ」


秘書「そうでしょうか……」


と心配そうに言ってくるが別に俺は楽しいから別にいいのだ。


「ここを登ったら2階だな」


 そう言い放ち、2階に向かう。そうするとコソコソと走りながら秘書が着いてくる。権限を使えばいいのに。というかこいつの場合普通に瞬間移動した方が楽なんだろうな。とそんな事を考えながら俺はなつかしい2階に着く。


「俺の部屋はそのままかな?」


秘書「しー!普通に1階から見えているんですからね……⁉」


 というのもこの館の作りは特殊で、正面から見て右と左に2階への階段があり、階段の下に居間への扉があるのだ。まあ腐っても100ってところだな。ところでなんだがさっきから出てきている100っていうのはお金の事で、単位はボッシーっていうんだ。変だろ!


秘書「では鍵がないので私が移動させますね」


「ああ、ありがとう」


と言い終わってから移動する。これは気遣いなのだろうか。それとも準備時間の関係なのだろうか。


秘書「わあ、当時のままですね」


「あの惨状のままだな」


秘書「思い出してしまいました」


「それにしてもお前がいてよかったよ」


秘書「私も貴方と行動出来て幸いです」


「というかお前に賃金払ってないんだしもうそんな敬語で硬くならないでいいんだぞ?」


秘書「いえいえ、私は貴方のそのカリスマ性を買っているのです」


 俺は買われているんだな。よく考えてみればそうだ。この前までは俺が金でこいつを買っていた。でも金が払えなくなった今俺の下に居る意味はない。だからこいつは俺のカリスマ性という素質を俺に仕える事で買っているんだ。これは信頼関係で出来ているんだ。


秘書「まあそんなことはどうでもよくてですね、もしかしたらここに犯人を特定できる何かがあればいいのですがね」


 まあ、難しい事は後ででいいか。


「そうだね~」


秘書「じゃあ取り敢えず今の目標は襲撃の犯人の特定ですかね」


「待て……!」


秘書「どうしたんですか?(小声)」


「足音がする(小声)」


?「では、こちらが一番酷い部屋、現場と思われる部屋です」


 まずい!隠れなきゃ!と思ったが隠れる場所はあるが時間がない。この際もう大声で呼びかけて空き部屋から声がするって言ってビビったら帰るでしょ。


「おい!そこに誰かいるのか⁉」


?「おっ!貴方もここに来ていたのですか」


と言う男性の後ろには女性が立っている。女性は酷くおびえた様子だ。そんなことよりも俺こいつと会ったことあったっけ?というか秘書どこ行った⁉まて、考えることが多すぎる。取り敢えずこいつとの会話を終わらせるか。


「すみません、どこかでお会いしましたっけ?」


?「あっ、申し遅れました。私、この方の執事をしております」


「名は?」


執事「まだ言えませんね~」


「なんで執事なの?」


執事「分かりません。この方がそう呼ぶもんですから私もそれでいいと思ってしまいまして」


「あと、もう一度聞くがどこかで会ったか?」


執事「ええ、黒いローブを着ていたから分からないかもしれませんが」


「ああ、街中ですれ違ったという事ですか?」


 おかしいな。そんな人いたら絶対覚えてるはずなのにな。


執事「いえいえ、貴方の兵士を引き抜いたのですよ。その時に見られたかと思いましたが見られてなかったんですね。よかったです。ではあなたからすると初めてという事でしょうか」


「今の言葉は冷やかしか?挑発か?」


 今の俺は相当頭に来てる。だから思考があまりできないが、こいつをここで倒さなければならないことは確かなようだ。随分と急展開じゃないか。


執事「本当ですよ」


「そうか、だったらお前の人生はここまでだったみたいだな」


執事「私はあの大軍を一気に引き抜いたんですよ?権限はとても強いです。それに比べて貴方は物に触れる程度じゃないですか。そんなので私に勝てるとでも思ってるんですか?」


「ああ、もちろん。こんな権限しかないからこそ、努力をした」


執事「悪いですが私はあなたに負ける気はありませんよ」


「お前、敬語のままなんだな」


執事「ええ、貴方程度に本気を出すわけでもないですから。」


「そうか」


と端的な返しをし、俺はそいつの懐に入り込んでいく。そして隠し持っていたナイフを取り出す。そしてそいつの首を狙い、切る!あれ?切ったはずなのに……。権限か!


執事「権限を使っていないにしては強いじゃないですか」


「テメェ、馬鹿にしてんのか?」


執事「ええ、そうですけど何か?」


「今回のお前の敗因を教えてやろう。それは慢心だ」


執事「何を言ってるんですか?私は慢心なんてしてません。あなたは私には敵わない。そういうことになっているのですよ」


「へっ!そうかい!」


と言い終わると同時にまた戦いが始まる。今度は後ろをとる。そして背中を切る!

しかしそのナイフがそいつに着くことなく俺は辺りが暗くなり、不思議な感覚に襲われるのだった。全く、慣れないな~。いろいろ。


「ありがとう。ちょっと頭に血が上っていたよ」


秘書「それにしてもアイツが館を荒らし、貴方に状況報告をした、自称最強ですよ」

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