夢の中にて1
久しぶりの投稿、一か月ぶりになります。本当に申し訳ありません。
長い廊下にチリひとつのこっていない
このとおりきれいだ。
白を基調にした通路は宮殿にふさわい。
数多くの絵画の裏も、瀬戸物の青磁も全てスミからスミまで汚れをふきおとした。
そのまま家具のほこりも落ととしていく。
「難題はこれからだ」
特に念いりに行わなければいけないのは家具に輝く王家の紋章。
少しでも傷が入れば処分はまぬがれない。
この王冠を被る獅子の単純な図柄だが、細かな彫刻は金でできているため、少しの力が入ると傷ついてしまう。
そんな繊細な作業も俺にかかればあっという間。
「よし。終わり」
これを家具と青磁の数だけやらなければいけないあと130回繰りかえすのが、いつもの仕事だ。
他にも俺とおなじく多くの執事やメイドが清掃をしている。
しかし、そこに乱されるものがあった。
床におちちている転々とした菓子くず。
「これはわかりやすい」
瞬時に把握し、とりだしたホウキで菓子くずをすくいとりながら後をつける。
この宮殿でいたずらめいた事をするのは一人しかいない。
掃除ついでに後をおい、階段の裏手で犯人を問いつめることとした。
なにせ、そこで菓子くずは途切れているのだ。
断崖の間際の真犯人の追いつめるように。
「またですか」
俺の一声にちぢこまり小さな体がビクリと震えあがる。
そこにいるのは犯人のナーシャ。
彼女は悪びれもせずに、モゴモゴとクッキーを口元にはこんでいる。
「さすが、柴犬さんです」
白いワンピースの胸元に菓子くずがくっついたまま。
本当に間抜けな子だ。
それを俺ははたきで落とす。
「ふふ。くすぐったいです」
「それは、困ったことですね」
とそっけなく返すが、ナーシャは戦利品を隠そうともしない。
すでにクッキーは袋の中に二つだけ。
「台所からクッキーを盗みんで。ただ、最大の問題は授業を抜け出したということですね」
俺は最後通牒のように、ナーシャにつきつける。
それでも威厳のなさを俺は自覚している。
だから、ナーシャに怯えはない。
「それはやめてください。柴犬さん」
「聞きませんよ」
俺は否定するが、彼女はゆるがずに俺をみあげたまま。
この宮殿の使用人は愛嬌たっぷりのナーシャにだまされてしまう。
しかし、心を鬼にして耐えよ、身をかためるが。
「ねっ。柴犬さん」
そんなやりとりに、俺は折れてしまい。
まったく俺が一番に甘いらしい。
落胆しため息をつく様子に許していることをさっしたナーシャ。
「ありがとう。柴犬さん」
笑顔でお礼なんていわれると、俺はどうしていいか戸惑ってしまう。
俺は感情を封印して、後ろを向き。
「それでは、掃除に戻ります」
逃げようとするが、ナーシャは俺の袖をつかまえた。
まるで恋人のように腕をくんでくる。
「暇つぶしに付き合ってください。柴犬さん」
などと蠱惑的に微笑み、俺を魅了していく。
すっかりと彼女に反抗できない俺はうんと頷いてしまっていた。
とりあえず、久しぶりの再開します。
あと見てくれるだけでもとてもうれしいですので、琴線にふれたらナイスやコメント、ブックマークよろしくお願いします!!