授与式2
なんとか、新しく投稿できました。
風邪を引いたため、いろいろ体調を崩していますが続けていければな。
ギリシャ神殿のような建物、星を印象した三月帝国の紋章が不似合いだな。
軍部を前に多くの軍人が集まったために、紺の軍服でうめつくされた爽快な景色だった。
耳の端末をいじると、集まった軍人の名前が表示させた。
軍部のお偉いさんだけでも八人。たった一人の再授与のためには異常だ。後ろに堂々と立つのはジャヴォール皇帝陛下。
まさか、皇帝陛下がじきじきに勲章を授与してくれるとは。
なんと名誉なことだろう………とおもう反面、違和感がどうしてもつのる。
やがて、荘厳な音楽が流れ、祝辞や、いくつかのお約束のスピーチーが終わった。
軍楽隊の中にレジーナが、トランペットを吹き鳴らしている。
忙しい中で俺の着替えのために病室に現れたことには、本当に頭が下がってしまう
そうして、音楽が止まると同時に、ジャヴォール陛下が立ち上る。
同時に軍の皆が自身の胸に手を当てた。
『ヘルギーツァーリー(皇帝に祝福を)―(!)!』
集まった軍人全てが一斉に斉唱。
それだけで、天を揺るがすほどに轟き広場をみたしていた。
この目の前の男こそが、この国の皇帝。
小太りで豊かな灰髭が目立つだけの男、どう見ても皇帝と呼ばれるような威厳を彼には感じない。
俺が知っている皇帝はこんな小男ではなかった。
「ロレンツ・イリヤノビッチ・モギルヌィー大尉。前へ」
やがて、俺が呼ばれると足取り重く、壇上へと進んでいく。
皇帝も俺に親しみを表すように笑顔を浮かべた。
その顔に俺は緊張を封じ込めるように口元をキッとむすぶ。
ジャヴォール陛下は右手のみを器用に操り、俺の胸元に鉄十時勲章を取り付けていく。
左手を隠しているが、たしか反乱軍鎮圧のときに腕を負傷したという話だが、どうして治療しなかったのか不思議に思う。
「君は祖国の誇りだ。これからも私とともに祖国を守ってほしい。よろしく頼む」
親しげにジャヴォール陛下は俺に話しかけてくれた。
とてつもない幸福だとおもう。
そう、彼のために命尽きても従い、この国を守ろうと狂喜するのが普通……なのに。
俺は達観的に見下ろしてしまっていた。
なぜ俺には歓喜は訪れないのか、違和感が募るまま。
「はっ。皇帝陛下の恩為に」
型式どおりの無難な挨拶を終えて、俺は壇上を去ろうとする。
その最後に見たジャヴォール陛下の目は臣下を見るものではなく、仇敵を見下ろすように厳しいものへと変わっていることに違和感がさらに募っていく。
「さすがだな。ロレンツ大尉」
俺にシャンパンがぶっ掛けられた。
ああ、洗濯が大変だというのに、まったく騒がしい。
「はぁ」
「当然だろ。お前はヴォールグラードの戦いで殿を務めてくれたんだから。無茶だとおもったのにかっこよかったぜ」
しかし、記憶があいまいな戦功を褒め称えられても素直に喜べない。
レジーナも嬉しそうにジュースを飲んでいた。
食事を取るには病状がよくないといわれた俺は、同じジュースを飲んでいるが、なんだか味気ない。
「そうだよね。兄さんはとてもかっこいいんだから」
と身内自慢を語るレジーナ。
なんかこちらが気恥ずかしくなってしまう。
そんな騒ぎ続ける会場の中でも俺はどこか空虚だった。
なぜだろうか。
「さすが、ロレンツ大尉。復帰同時に昇進とは」
俺に声をかけてきたものがいた。
年が三十歳ほどの黒髪の青年で、東洋人顔をしている。
彼のような知り合いはいただろうか。
「初めて会った。俺はユリィー・雷。階級は大佐。よろしく」
いきなりの大佐の登場に、俺を含めその場にいた仲間たちは一斉に敬礼する。
その光景に驚いたように雷大佐は微笑んだ。
笑顔に影があるような気がするが、よくわからない。
「はっ、失礼しました。雷大佐」
「いや、そんなに硬くなるな。今日の英雄はお前さんだ」
と彼は手に持ったシャンパンを手近なグラスに注ぎ、俺に渡す。
俺はそのグラスを受け取り。
「乾杯だ。英雄さん」
彼の突然の申し出に彼のグラスで乾杯をとる。
「俺たちは忘れられない戦友となった。どこかの戦場で会おう」
などと意味深に雷大佐は口にする。
ふと、俺は彼の軍服に釣ったシャシュカと呼ばれるサーベルをどこかで見たことがあるような気がする。
その違和感の正体はわからないまま。
話は続いていますが、これからどうなっていくかおたのしみにしてください。
とりあえず、これからもよろしくお願いします!! あと見てくれるだけでもとてもうれしいですので、
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