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夢見る執事(軍人)とお姫様 ~イパーチェフを越えて~  作者: 七月 七日(なつきネコ)
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夢の中のお姫様 3

 やっとヒロインの登場です。長くまたしてごめんなさい。


 以前たえられたケルト神話のオーシンは、フィオナ騎士団の団長・フィン・マクールの息子で強い騎士の一人。彼は異世界ののティル・ナ・ノーグにわたり三年その地で過ごしたそうです。三年がたちかえってくると、三百年たってしまっていた。とう、フィオナ騎士団も壊滅し、ケルト神話世界すら衰退していた。やがて彼はアイスランドにキリスト教を伝えた聖パトリックの従者になり、ケルト神話の語り部として生きたそうです。


 このあたりはロレンツのモデルの一人だったりします。もっと大本になったモデルはこれから語ります。たぶん、神話好きならわかっているかも?

「ねぇ。柴犬さん」

 

 それは俺へのよびかけ、親しみをこめた優しい声。

 くるまってしまいたいほどに甘い声。

 

 俺は主を確かめるようにふりかえった

 そこには亜麻色の髪の小柄の少女。

 彼女の姿に懐かしさのあまり、目頭が熱くなっていく。


 のぞきこむ彼女と視線がぶつかり、思わず気恥ずかしくなってしまう。

 俺はとりつかろうように、抗議をする。


「し、柴犬? 姫様。なにをいってらっしゃるのですか」


 とまどう俺に少女は瞬きをくりかえした。

 しばらくして俺は思いだす。


 俺はこの使えていた執事だった。

 壁にかけている鏡をみても、いつもどおりのパサパサの髪に不機嫌そうなヘの字マユ。

 柴犬といわれるのもわからないこともない。


 どこか不機嫌そうな眉と茶の瞳は、その和犬に似ているが………認めたくはない。


「私を姫さまとよばないでくださいな。私はナーシャ」


「姫さま。そういう俺もロレンツです。柴犬ではありません」


 雇い主に対して微妙に反抗してみるが、聞いてくれず彼女は形のいいマユを吊り上げ。


「ナーシャです」


 俺にはかわいらしく叱責する。


「わかりました。ナーシャ」


 しかたなく彼女にしたがったというのに、ナーシャはとてもうれしそうに笑っている。


「よろしい」

 

 そんな一動作に俺はとまどいを覚えてしまう。


「なら、柴犬ではないです」


 不思議ともれるのは崩れた敬語がもれてしまう。

 そんな態度に彼女はクスクスと笑った。


「いやですか。とても可愛いのに」


「小さくありません」


「そうですね。けど、その顔はどうしても思い出してしまうの」


「むしろ、秋田犬では? 大きさ的に」


「柴犬のほうがいいやすいの。どちらも和犬ですから」


 この姫様に説教してもムダとあきらめるしかなさそうだ。

 俺が秋田犬だろうと柴犬だろうと、犬にはかわりない。


 そうだ、仕事の続きをしよう。

 手に持ったカメラの調整。


 ここは高級な嗜好品(しこうひん)はすくない質素な部屋。

 家具の多くがブナでできた優しい部屋になっている。


 他の王族が、豪華なものを用意している昨今、調度品にこだわらない姫も珍しい。

 それは、王の教育の意向だった。


 ただ、ひとつ高級といえるのはカメラだけ。


 ナーシャは撮影が趣味で、よく王宮の内部や家族、召使を撮影していた。


 勉学、礼儀作法、ダンスのようなお姫様が当然持つべき常識はない。


 しかし、カメラだけは芸術的なセンスをもっている。

 人間なんらかののセンスは持っているものだ。


 だから、カメラの整備のときだけ厳しい視線を向けてくる。


「直りますか」


 ナーシャがのぞきこみ、手元をみてくる。

 本当に真摯な視線ははずかしくなってしまう。


「大丈夫です。時間をもらえれば」


 俺は即答した。

 たいした作業ではなく、すぐに終わるものだ。

 隣にひかえるメイドがドライバーを差し出してくる。


「ありがとう」


 受けとったドライバーでネジを締めていく。

 カメラは新しいものではなく、年代ものだ。


 今どき、ドライバーを使うのほどふるいもの。  

 普通にやれば時間がかかるが、ただの整備と錆取りだけ。

 簡単な作業だ。


 カメラのフィルムも使われなくなり、数百年以上たつというのにこんな、骨董品。

 ライカM3を扱う彼女もなかなかのマニアだ。


「王宮に伝わる古いものだけど、たのしいの」


「はぁ」


 ナーシャは楽しげだ。

 そんな、姿を見るのはとても楽しい。


「できましたよ」


 あきれたように、ナーシャにカメラを渡した。

 時間の経過を感じさせない、カメラにナーシャは満足げしたみたいだ。


 苦労したかいがあった。


「ありがとう。柴犬さん」


 いまだに犬扱いは釈然としない。


「よく。ナーシャはこんな骨董品を見つけましたね」


 俺はあてつふくめナーシャを非難するが、どこ吹く風。

 むしろ、からかって楽しんでいるのだろうか。


「初めて、発掘したときは奇跡がおきたとおもいましたわ」


 いたずらっ娘めいた笑顔のナーシャ。


「はぁ……そうですか」


 そんな俺にむけて、カメラを構えてシャッターを押した。


 油断した。

 俺はおもわず隠すそうとするがおそい。


「これで、柴犬とくらべられますわね」


 などとナーシャはたわごとを口にし俺を見おろしていた。


 俺はやられたと口をかむが、なんともいえない気持ちになってしまう。


 そんな嬉しいような恥ずかしいような気持ちはとけて、意識と輪郭は崩れていく。


 さぁ、ついにお姫様の登場です!!

 これから、この甘い記憶がどうなるか、こうご期待。


 ナーシャのモデルはロシア最後の皇女様、アナスタシア・ニコラエブナ・ロマノフになります。

 以前は生存説がながれ生き残った皇女として有名でしたが、現在では死亡が確認されています。

 

 のこっている写真から本当に美少女だったりしますが、恐ろしいことにロマノフ四姉妹のなかでは一番微妙とかいわれて道化師なんてあだ名でした、二番目の姉がヨーロッパ一の美姫とかいわれているとそうなるかな。ロシアはおそロシア(笑)


 あと見てくれるだけでもとてもうれしいですので、琴線にふれたらナイスやコメント、ブックマークよろしくお願いします!!

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