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夢見る執事(軍人)とお姫様 ~イパーチェフを越えて~  作者: 七月 七日(なつきネコ)
3/11

夢の中のお姫様 2

 赤いカーネーションは日本やアメリカでは母の日に母親に送る物ですが、ロシアだと若干変わります、墓前に供えたり、また、兵士が帰還した時に渡す花でもあります。


 ここでロレンツに手渡し事により、彼の戦いが終わったことの象徴になります。

 俺の傷はたいしたことがなく、軽いリハビリを続け様子見ということになった。

 改めてみても白い部屋。

 彩りはさきほどのカーネーションの赤。


 レジーナが甲斐甲斐しく、俺の服をたたんでいる。

 家事がうまい妹に羨ましいといわれるが、見張られているみたいだ。


「兄さんはもっと私に感謝するべきだよ」


 などと調子に乗り出すから困ったものだ。


「記憶があいまい。」


 しかし、俺が一人残り、撤退戦をおこなうことがなにかおかしい。


「俺の戦いの最後の記憶にあるのが、雪が降り続ける荒野だった」


 そんなふうに俺が口をひらくと、心配そうに俺をみおろした。

 なにかまちがったことを行ったのかと、警戒する。

 が、レジーナは目じりに涙をうかべていた。


「兄さん。まだ記憶があいまいなの。ヴォールグラードは大都市なのに」


 慈悲深くさとされるとそれ以上なにもいえなくなり、俺はだまりこむ。

 しかし、記憶のなかにあるのは凍った岩場をふみつけた感覚。 

 俺がおかしいのか、記憶がおかしいのか。


「三年はながいな」


 オッドゲイルがつぶやく。

 その三年という言葉に、自分の中で違和感がつのっていく。

 

 体はすぐに治ったというが、意識を取りもどすのに三年もかかった。

 しかし、その三年になにがあった?

 今わかるのは、戦争に勝ったということ。


「……なにか、今までのことがしりたいんだが」


「そうだね。少し待ってて」


 レジーナは耳元の端末でコールをおくる。

 耳元につけている端末はC・ie(人工知能)をつなげたネットワークをあやつることができた。

 これのおかげで、生身の人間がオートマトンに命令をおくることができる。


 端末における命を受けたオートマトンが俺達のまえにあるいてきた。

 オートマトンは人間そのままだ。ただ、頭部の送受信用のアンテナと背中からでるコードだけが人とのちがい。


 自然な笑顔から三年の進歩がわかる。


「寝ていた時のことがわかる資料を持ってきてくれ」


「かしこまりました。部門は資料・歴史ですね」


 彼女が検索すると、手持ちのカートから。

 『三月帝国(マルート・イムビェリヤ)十年史』という本をとりだした。

 その分厚さは百科事典なみ、重量は八百グラムぐらいあるのではないだろうか。


「ねぇ、もう少し読みやすいものでいいんじゃないかな」


 レジーナの困ったように笑う。

 意識をとりもどした人に渡す本の重量としては最悪だ。

 ページ数としても千ページを超えるかどうかという厚み。

 しかし、ここまで便利になり違和感のないオートマトンをみていると三年の月日をおもう。


「ほとんど、オートマトンは人間とかわらなくなっている」


 俺のつぶやきにレジーナが笑う。


「なんというか、床若の国にいって帰ってきたら三百年たっていたオーシンの話を思い出すな」


 オーシンはケルト神話の騎士だった。

 ある時彼は、狩の途中で美しい女性に結婚をもうしこまれ、オーシンは異界にわたり三年の月日をすごした。


 やがてオーシンに里心がつき国にもどるが、そこは三百年の月日がたって故郷は滅んでいたという話。

 たしかに、俺は三百年ぶりに帰ってきたオーシンというわけだ。


「さすがに三百年は疲れたね」


 長話をするほどの体力は回復していない。


「じゃあ。寝かしてもらおうか」


 なんだか、異物感がただようが、目覚めたばかりのせいか。

 けど、三年ぶりにおきたにしては対応があっさりとしすぎている。気のせいか。

 そんな考えのまま、俺の意識は闇におちた。


 この辺りからSF要素がてできます。オートマトン、いわゆるロボットですね。

 今のところ、精巧なオートマトンはでていませんが。AI技術の発展により代わっていきそうです(笑)


  ロレンツが戦っていた戦場のモデルは第二次世界大戦の独ソ戦、戦場はスターリングラードのイメージですね。

 スターリンVSヒトラーという、独裁者同士の後世的にどちらも負けてほしい戦争だったりします。

 

 ちょっと前の本屋大賞になった「同志少女よ 敵を撃て」の舞台で、つまりこの世界のモデルは戦後すぐの時代だったりします。


 あと見てくれるだけでもとてもうれしいですので、琴線にふれたらナイスやコメント、ブックマークよろしくお願いします!!

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