夢の中のお姫様 1
あの激戦から、目を覚ましたロレンツはこれからどうなるのか!
どの激戦なんだとなりますが、そういうツッコミはご容赦を、記憶の琴線にふれる彼らはいったい?
「おい。大丈夫か。ロレンツ」
声がきこえる。
長い夢から覚めるていく……
俺はたたかっていた。
そう、ひとりで雪のなかで。
けれど、いつの間にか何もみえない………
意識がかたちを戻していく。
まぶたをあける。
視界をの中にはたくさんの心配そうにみている瞳。
「ここは……?」
十代の少年たち……
だれだ、思いだせない。
やがて、一番の問題にたどつく。
俺はだれだ……
ここはどこ………
何を守ろうとしていた。
俺はなに。
「兄さん!」
混乱する思考をきるように、少女が俺をだきしめた。
ウェーブがかった金髪に翠瞳、スタイルのいい体を制服で包んだ姿………そうだ、彼女の容姿は記憶の琴線にふれる。
そうだ! 彼女は俺の妹だと記憶がつながる。
そう、彼女はレジーナだ。レジーナ・イリヤノヴナ・モギルヌィー。
思い出した!
ここにいるのは連隊の仲間たち……
ともに戦った味方。
俺はロレンツ・イリヤノビッチ・モギルヌィー。
そして、砲弾の直撃をあたって。
「……死んだ?」
その疑問を俺の脳裏からとりだした。
「ちがう、生きてたんだよ。大変だったんだけど」
レジーナが教えてくれる。
眼の前にはじける光、それで生きていたのか俺は。
四肢がくだけたはずなのに。
けど、俺は生きのこった。
そして、あのときの仲間がそばにいた。
一人も欠けることなく。
「た、戦いはどうなった!?」
「えと、ええっと」
混線する思考が伝染し、レジーナは言葉につまっていた。
いのちをかけて守ろうとした防衛戦がくずれ、祖国が滅びていたら。
「………戦いはおわった」
答えたのは班長のオッドゲイルだ。
いつみても小憎たらしいほどの美少年、もっとも信頼していた仲間……だ。
こいつがいうのだから、まちがいない。
オッドゲイルがいなければ、切り抜けられなかった。
ここで、初めて安堵する。
落ち着き、俺はベッドに体を倒した。
「生きていてよかったな。ロレンツ」
「ああ。そうか」
「そうだよ。すごい怪我だったんだから」
溢れる涙をぬぐってレジーナは俺の状態を伝えた。
俺の体の負傷は完治している。
足や腕などは新しく生えたのかというほど真新しい。
というか、指は生えている……ような。
医療技術の進歩はすさまじい。
ふと、涙を流したままのレジーナの髪をなでる。
「あいかわらず。レジーナは泣き虫だな」
自分の名前が呼ばれたことにより、レジーナはフワッと笑ってくれた。
これで、安心してくれたんだろう。
「ほんと、無事でよかったな」
「心配かけさせやがって」
「お前が一人で守るといったときは、本当に冷や冷やした」
オッドゲイルは口にする。
皆を逃がすために必死だった。
しかし、夢の中のようで………
「おかげで、お前は鉄十時勲章をもらったんだ。うまくやったな」
オッドゲイルが俺の肩をたたく。
あの、戦いがそこまで過大に評価されていた。
「あ、あれは、みんなのおかげで、俺がもらうわけには」
反論するが、皆は首をふる。
そうして、労わるように言葉を続けた。
「お前がねばったおかけで、敵はひいたんだぞ」
「そっか」
俺は満足する。与えられたことはこなせたのだと。
これで、あとは掃討戦。
敵国を国境から排除すればおわり。
「また別の戦地にとばされるのがオチか」
ため息をつく。
ここで皆がおかしな話をきいたというように互いに手をあわせた。
なにか、俺のしらない事実があるみたいだ。
「あのね。兄さんが倒れてから三年。もう戦争は終わったの。私たちが勝ったの」
ていねいな説明に理解がおいつかない。
「へっ?」
間抜けな声がもれた。
理解ができない、そういえば三つ年下のレジーナも大きくなった。
3年………
いや、そこは問題じゃない、問題の本質はどこだ。
違う。
その思考をさえぎるように。
「もう戦わなくていいのよ」
そこに慈しみこめた声でレジーナはいう。
「勝てたのか」
そうか、あの戦いは終わった。
実感わかない。
「ああ、そうだった」
思わず力がぬける。
もう、あの地獄に戻らなくてすむ。
「そうだ。兄さんのために用意したの」
赤いカーネーションだった。
この国では勇気と勝利の明石、戦場帰りの軍人に送られるものだ。
それは家族から受け取るために、軍人は戦地で戦った。
「ありがとう」
今までの苦労がむくわれたような気がして、思わず俺は涙を流す。
レジーナから、俺はカーネーションを受けとった。
戻ってきたロレンツ、そして、昔からの仲間たち……
仲間の絆を感じさせてくれます。
あの突撃から3年、どのように物語が始まるかこうご期待
あと見てくれるだけでもとてもうれしいですので、琴線にふれたらナイスやコメント、ブックマークよろしくお願いします!!