十話 自爆怪獣ソーイの最後
自爆怪獣ソーイはこの色彩学園地下にある巨大空洞コクーンの調査をする飛行手榴弾を回収し、頭にドッキングさせた。このマザー手榴弾こそが自動で動く怪獣などのマザーコンピューターであった。戦闘の最中にデータ収集をされていた事に気付かなかったカラーアンデの胸のカラースターはアンノウン♪ アンノウン♪ という音と点滅を繰り返しており、活動限界時間まで残りわずかだ。
「ボンボボボン」
そして、カラーアンデを抹殺する為に自分の体内にエネルギーを集める自爆怪獣ソーイは爆発を起こす。それを回避したカラーアンデの近くに接近し、その身体を掴み取ろうと手を伸ばした。それをされた瞬間、カラーアンデの敗北が決まってしまうので必死にその悪魔の手をかわしつつ、自爆と接近を繰り返す両者の戦いは終わりに近付いている。
「どこまで逃げても逃げられないぞ。俺の自爆エネルギーはほぼ無尽蔵。一定時間あれば回復するし、エネルギー切れを待つのは不可能である。自爆怪獣の同族の中でも、俺は自身の力をパワーアップしているのですから最強です」
「良い事を聞いた。カラーカッター!」
「ムダな事を」
苦し紛れに放つカラーアンデの頭から放たれた紫の硬い頭髪のソフトモヒカンカッターは避けられる。
「君に勝てば俺の名も上がる。つまり、やがて来る怪獣戦国時代の王に私はなれるという事ですよ」
「王? 神ではないのか?」
「何事にも順番はあるのだ。順序とは秩序で有り――」
「カラァ!」
放ったカラーカッターを戻し、ソーイの背中を切り裂いた。しまった!? という顔のソーイはこの勢いのままカラーアンデに抱き付いてやろうと考え、抱き付く。いや、それはカラーアンデからの抱擁だった。
「き、君から抱き付いた? 一体何を?」
「貴様の得意技さ――おおおーーっ!」
「こ、これは――」
大きな爆発が起こり、その中心にいたカラーアンデとソーイは爆炎に包まれる。その光景をツルコは見据え、この戦いはカラーアンデの勝ちだ……とワンレンの髪をかき上げ口元を笑わせた。
自爆により黒焦げになる二人の巨人はフラついてるが、立ったままであった。
「くそっ! この俺の自爆技を無理矢理起こさせてるのか。エネルギーが集まると自動で自爆してしまう俺はコントロールしないと自分にもダメージが……」
「やはりな。さっき自爆のタイミングの話をしていたが、貴様の意図しない自爆においてはかなりのダメージを受ける。ならば自爆を私の意志で起こさせるだけだ!」
胸元のカラースターで揚げられた唐揚げを食べ、最後の一分に全てを賭けるカラーアンデはソーイに抱きついたまま全エネルギーを送る。流石にこれはマズイ! と、全力でこのカラーアンデから離れようと動き回る。
「ふ、ふざけるなよカラーアンデ!? こんな事をしていたら君とて死ぬぞ? こ、こんな事をする敵は見た事が無い。き、君は狂っているのか!?」
「自爆エネルギーのトレーニングは積んでるようだが、根本的に足りない所がある。戦闘中は敵が何をしてくるかなどはわからない」
「な、何が言いたい?」
「戦闘経験の少なさが自分の弱点を知れぬ盲点だったなという事さ」
「そんなものは自爆怪獣の私には似合わぬモノだ。始祖怪獣を舐めるなよ――」
「なら最後に最高の花火を見せてみろ! ――カラートルネード!」
そのままカラーアンデは全エネルギーをソーイに注ぎ込み、回転させて上空に打ち上げた。コクーンの上空にて迷彩柄の怪獣は自分の自爆技をコントロール出来ずに本当の自爆にて爆発してしまうのであった。
『チュワッス!』
と、カラーアンデとツルコは二人で見つめ合いVサインをした。すると、全ての力を失ったソーイは干からびたかりんとうのような姿で落下して来る。最後に情報を吐き出させようとカラーアンデは自爆怪獣に近寄った。
「貴様はこのコクーンへの侵入を仕事と言っていた。依頼主は誰だ? 始祖怪獣の貴様は何を狙っている?」
「……私を含めた始祖の怪獣達は動き出している。次は四番目の始祖怪獣が現れるだろう。最後にこれから彼との取引材料だった仕事の結果を渡さないとな……ずっと観察していたのか。抜け目無い怪獣だよ君は」
「何だ? 誰と話している?」
「頭上の悪魔さ」
頭から放たれたマザー手榴弾に内蔵されるデータは上空に飛ばされ、最後の自爆効果により一気にコクーンの天井付近まで飛んだ。そのコクーンの天井に張り付いている黒い蛇のような存在がデータを受け取ったようだ。カラーアンデの青い瞳に謎の怪獣が映っていた。
「あ、あの怪獣は……」
蛇の形をしたドス黒い闇のような黒い姿の怪獣。邪悪な目が金で縁取られ、まばゆい黄金の一本ツノをした怪獣がカラーアンデを見下ろしていた。これが最近起きていた全ての事件の犯人か……と思うカラーアンデは敵の動きに注視した。
「さらばだカラーアンデ。始祖が集いし宴はもう始まっている。この青き地球は生贄となり、全ての怪獣へと捧げられるのだ……」
その言葉でカラーアンデは視線をソーイに向ける。もう一度空を見上げると、その謎の怪獣は姿を消していた。そして、自爆怪獣ソーイも消滅した。人間姿に戻るアンデは、暗い空にしか見えないコクーンの黒い屋根を見上げる。
「あの金ツノの蛇怪獣。アイツがこの最近起きた一連の事件の黒幕か。そして、始祖の怪獣が動いている……やはりこの事件はまだ終わっておらず、色彩学園で何かを起こそうとしている。全てはあの金ツノ黒蛇怪獣が知っているのか」
ふう……と溜息をついたアンデは駆け寄って来るツルコに手を振る。そして、コクーンへと続く列車内部を戻る黒い蛇型の金ツノを生やした怪獣は言う。
「通常の戦闘だけでは倒せないあの自爆怪獣を退けるとは。どうやらカラーアンデは一筋縄ではいかなそうですね。小生はそれでも全ての始祖の代表として全てを手にするのです。クフフフ……」
金色のツノの蛇のような怪獣はその身体の色と同じ列車通路の闇に姿を消した。




