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姉がヒロインで何がわるい。  作者: 星空 隼
7/8

第六話 休日(夜)

 電車を降り、家に向かって歩き始める。

 すると、雪穂姉がこんなことを言い出した。


「ねえ真、なんか物足りなくない?まだ何かしたくいない?私はもう少し遊んでから帰りたいんだけど、真はどう?」

「今からどこかで遊んで帰ったら、家に着くのが遅くなるから別にこのまま帰ったんでいい。けど、あんまり時間がかからないならどこかに寄ってもいいよ。」

「ならカラオケはどう?二時間なら九時より前には家に着くし。」

「一時間ならいいよ。」

「わかった。きまりね!」


 こうして、カラオケに行くことになった。

 しかし、このときの俺は気づいてなかった。

 二人でカラオケに行って、一時間で時間が足りるわけがないということに。


 カラオケといったら、採点勝負が基本だろう。

 例にもれず、俺たちも勝負することになる。


「まずは私からね。」


 そう言って、雪穂姉は歌いだした。

 もちろん、アニソンである。

 雪穂姉が歌っている間に、何を歌うかデンモクでいろいろと検索しながら考える。

 一応勝負だから負けたくない。

 けど、せっかくカラオケに来てるんだから、高得点が取れそうな歌を歌うより、好きな歌を歌いたい。

 結局、好きな歌を歌うことにした。そして、やはり一曲目は負けた。

 こうして勝負を繰り返していると、あっという間に一時間経つ。そして、決着がついていなかったためもう一時間延長することになる。


 結果は俺の負けだった。

 けれど、悔しさはあまり感じなかった。俺はかなりの負けず嫌いのはずなんだけど。


 カラオケを出ると、外はすでに日が落ちていた。夜空は晴れていて、三日月と星がよく見える。

 帰り道では、今日一日の話、主にさっきまでしていたカラオケの話になる。


「真ってけっこう歌うまいんだねー。姉弟なのに全然知らなかった。」

「そう・・なのか?自分じゃ歌がうまいとかよくわからないけど。」

「平均九十点はうまい方だと思うよ。」


 そう言って、雪穂姉はふいに上を向いた。そして、夜空を見てつぶやいた。


「月が綺麗だね。」

「うん、星もきれいに見えるよ。」


 俺はそう返していた。すると、雪穂姉は急に俺の方見る。


「それにしても、久しぶりに楽しく休日を過ごせた。ありがとね真。」

「別に感謝されるようなことは何もしてないけど。」


 俺がそう答えると、雪穂姉は俺より少し前に行き、手を後ろで組んで、振り返って満面の笑みでこう言った。


「真と一緒だったから楽しかったんだよ!休みが合えばまた一緒に二人で出かけようね。」


 破壊力抜群だった。


 星華のことが好きな俺が、ころっと雪穂姉のことを好きになってしまいそうになった。姉弟である俺でさえこのざまだ。たぶん他人であるほとんどの男は、今ので恋に落ちてしまうだろう。

 それほどの破壊力だった。ぶっちゃけ、押しキャラのデレくらいの破壊力だった。

 雪穂姉の強烈な一撃をくらった場所が家の近くでよかった。なぜなら、照れているのをからかわれないで済んだからだ。


 家に帰ると両親と星華は夕食を終えていた。だから、雪穂姉と二人で食事をする。ただ、会話はなかった。俺としては先ほどの一件があるから助かったが、雪穂姉が話しかけてこなかったのは謎である。


 食事を終え、風呂に入り寝る準備をする。今日が休日だったとはいえ、明日からまた部活が始まる。朝練があるから早めに寝なければたぶん起きられない。そう思い早くから布団に入ったのに全然寝付けなかった。


 確実に雪穂姉のせいである。


 あんな男を落とす一撃必殺のようなやつをくらったら、落ちなくてもすぐに思い出してしまうに決まっている。

 そして、思い出すたびに照れてしまう。こんなに胸がどきどきと高鳴っているのは、星華とのあのデート以来だろう。

 なぜ俺は自分の姉ばかりにどきどきしているのだろうか。かわいい子なら学校に何人もいるのに。

 自然に雪穂姉のことから離れ違うことを考えていた俺は、いつの間にか眠っていた。


 この日は俺も、久しぶりに楽しく休日を過ごすことが出来た。



 

 






 

 

 

 

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