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命ある者の侵略戦と、無き者の防衛戦

「何の音?!」

大広間に居たザムアが、音のした方向に目を向ける。

音の方向は、壁になっているが、その衝撃で振動が続いている。

「表の方だな。」

そう言って、ファントムロードは錫杖を振り上げて、目の前に霧の球体を発生させる。

その霧の球体が、わずかにネクロコリスの外の風景を映し出す。それを見たファントムロードは、驚愕の表情を浮かべる。

「なんだ・・・あれは?!」

「どうしたの?!」

球体は、作り出したものにしかその内容が分からない。ザムアはファントムロードに問いかける。

「アナスタシス教団だ。周囲にかなりの数が居る。」

「・・・友好的に話し合い・・・じゃなさそうね。」

「あぁ、この様子だと、このネクロコリスごと浄化させるつもりだろう。」

それを聞いて、私とザムアは言葉を失う。やっぱり、あいつは殺しておくべきだったのかもしれない。

自分の考えが裏目に出てしまったファントムロードは、見るからに落ち込んでいる。

そして、ゆっくりと言葉を放つ。

「ザムア、ハール。すまないが、この子達を頼めるか?」

ファントムロードは、部屋の中で不安そうにしているファントム達を見る。

「・・・嫌よ。」

ザムアがそう言い放ち、ファントムロードは表情を曇らせる。

「あなた、生贄になるつもりでしょ。」

「私の判断ミスだ。私の命1つで済むなら、安いものだ。それに、生贄になるのではない。最終兵器になるのだ。」

ファントムロードは、自分の両手を広げ、自信を見せる。

それとは対照的にザムアの表情は硬い。そして、ゆっくりと言葉を投げかける。

「どちらにしろ、貴方と言う存在は消える。それは、貴方を頼って集まった皆の期待を裏切る事になるわ。」

ファントムロードは、黙り込み、俯く。

「ならば、どうすればいい・・・古の魔王よ。」

絞り出すように、ファントムロードがザムアに問いかける。

「足掻くのよ。あらゆる手段を使ってね。」

そう言って、ザムアは右手の指輪に手をかざす。

「冒険者ギルド、聞こえる?緊急事態なの、助けて。」

『こちら、プルロア冒険者ギルト。ザムアさん、どうしました?』

ザムアが冒険者ギルドに通信を繋ぐ。そして、今の窮地を告げる。

「ネクロコリスに、アナスタシス教団が攻めてきてる。このままだと、ここに住む者達が全滅するわ。」

『分かりました。ザムアさんはどうしたいのですか?』

助けを受けたギルドが、ザムアに決断を求める。でも、ザムアは迷いなくギルドに対応を告げる。

「依頼を出すわ。緊急指定依頼。冒険者の指定は、私。」

『分かりました。依頼内容は?』

「ネクロコリスの防衛。アナスタシス教団の排除よ。報酬は、依頼者の全て。ギルドにはネクロピースでどうかしら?」

少しの沈黙の後、指輪から答えが返って来る。

『依頼を受理しました。ザムアさん、気を付けて頑張ってください。』

「ありがとう。」

ザムアは、自分自身に、ギルドの緊急依頼を出す。

緊急依頼は、ギルドの依頼で上位の優先順位になり、その依頼遂行には、実力のある冒険者にギルドから直接依頼されることもある。

そして、指定依頼は、依頼主が依頼を受ける冒険者を直接指名する依頼だ。

ザムアは、自分の出した依頼を緊急とし、それをザムア自身に指定した。これは、どういう事かと言うと・・・。

「来たわね。」

依頼が受理された瞬間、指輪が赤く変色する。それを待ち構えていたザムアが、指輪に手をかざす。

すると、指輪から見慣れない物が浮かび上がる。そこには、ギルドの指輪を使ってできる事の全てが表示されていた。

そう、緊急依頼を自分自身に指定する、それは、冒険者ギルドの全てのサポートを自由に受ける為の方法だ。

そして、ザムアは早速その機能を使って、シャウに通信を試みる。

「シャウ!聞こえる?!緊急事態よ!!」

ザムアの呼び声に、シャウがすぐに答える。

「どうした?!」

「アナスタシス教団が、ネクロコリスに侵攻して来たわ。恐らく、ネクロコリス全体を浄化させるつもりね。」

「まずいな・・・。」

ザムアの短い説明で、事の重大度を理解してくれるシャウ。

「だから、出来るだけ早く来て!そして、外の様子を教えて。」

「わかった。お前たちはどうするんだ?」

「少しでも長く抵抗して見せるわ。」

「・・・死ぬんじゃないぞ。」

「お互いにね。」

そうして、通信は途絶える。そして、小さく頷いたザムアが私達に向かって笑顔を見せる。

「さて、急いで準備しないとね。」

「迎撃か?」

「それもあるけど、相手が絶対に入ってこれない所に行きましょう。そこを拠点にするわ。」

その言葉に、ファントムロードはハッとする。

「ネクロピースか!」

ファントムロードの答えに、ザムアは頷く。

「私達の最大の武器がそこにあるわ。急いでいきましょう。」

敵が浄化の魔法を完成させるまでは、まだ時間がかかるはず。私達は急いで地下のネクロピース鉱脈へ向かった。

途中、何度も振動を感じたが、今はそれを気にしている場合ではない。

そして、私達はネクロピース鉱脈にたどり着く。

「ハール、ネクロピースの採掘をお願い。」

ザムアの頼みを、即座に聞き入れた私は、ネクロピースの鉱脈に向けて、何度もピッケルを振り下ろす。

そして、鉱脈の欠片をザムアが拾い上げて、ネクロピースを探り当てる。それを、私達の道具袋に詰め込む。

「これで、私達は毒もちね。」

必殺の武器だが、これを持っている以上、シャウとは合流できない。でも、それは今はどうでもいい事ね。

「次は、相手をひっかけるトラップね。簡易的な物しかできないけど。」

そう言って、ザムアは自分の道具袋を探り、死体から回収したギルドの指輪を取り出す。

そして、その指輪に、自分の赤く光る指輪を近づけると、近づけた指輪は淡く白く光り輝き始めた。

「これで、この指輪は一時的に通信が出来るようになったわ。」

ザムアが私にその指輪を手渡す。そして、試しに、ザムアが小声でつぶやく。

私の手の中の指輪が、その声を増幅して発した。

「ファントムロード、これは持っていられるかしら?」

「常に持っておくのは、厳しいな。」

「分かったわ。なら、ここに置いておきましょう。」

ザムアが、さっき掘ったネクロピースの鉱脈を指さす。私は、それに従ってそこに指輪を置く。

「ここなら、まず安全のはず。これは、私とファントムロード達用の通信回線として使うわ。」

そう言いながらも、ザムアはさらに指輪を通信機器化していく。

「ハール、この指輪をそのバケツの中に入れて。それを持って大広間に行くわよ。」

私は、ザムアからさらに指輪を受け取り、指輪を底に仕掛けたネクロピース入りのバケツを持つ。

「ファントムロード、皆を頼んだわよ。」

ファントムロードの側に寄り添う、子供のファントム達。

「あぁ、わかった。」

ファントムロードの答えを聞いて、私とハールは安心して迎撃に向かった。

「ハール、ちょっと待って。」

ネクロピースがある地下に続く扉を抜けた先で、ザムアが先を歩く私を呼び止める。

「この扉、封印するわ。」

ザムアは、自分の道具袋から、シールの束を取り出す。あの道具屋で買い取らされた封印のシールだ。

「こういう時に使うのよね。」

ザムアが閉じた扉同士をつなげるようにシールを張り付ける。

そして、シールに指をあてて、ザムアが魔力を込める。すると、シールが一気に扉と融合する。

「これで、開かなくなったかしら?」

ザムアが扉に手を触れる。さっきまで簡単に開いていた扉が全く開かなくなっていた。

その一連の行為を横目に、私はバケツに入っていたネクロピースを数個、扉の付近へ設置する。

「うん。それじゃあ、行くわよ。」

私達は、次のトラップを仕掛けるために、大広間に向かう。しかし、どうやら、時間が来たようだ。

鉄同士が当たる音が、大広間の方から鳴り響いている。

私達が避難した直後に、大広間をアナスタシス教団が占拠したのだろう。

「ハール・・・ここで迎え撃ちましょう。大広間は、ゆくゆく取り戻す方向で。」

大広間から、ここに来る道は一本しかない。ここで待っていれば、アナスタシス教団がやってくるのは目に見えている。

私は、その作戦を受け入れ、バケツに入っているネクロピースを一掴みし、前方の通路に振りまいた。

「頼りにしてるわよ。」

改めて言われると、少し照れるわね。でも、言われるまでもないわ。

私は、ゆっくりとザムアの前に立ち、暗い道を見据える。さて、お姫様の騎士・・・久しぶりにやりますか!

金属音はゆっくりとこちらに近づいている。私の後ろで、ザムアは小声で呪文を唱えている。

この呪文が終わったら、ザムアは本気で戦える。終わるまでは何があっても邪魔はさせない。

だけど、さっき投げて置いたネクロピースは、しっかりと仕事をしてくれたようで。突然ガラガラと言う金属音が鳴り響き、再び静寂が訪れた。

私は、ゆっくりとその音の方へと向かう。そこには、6体ほどの全身鎧が倒れていた。

「ハール。」

落ち着いた声で、ザムアが後ろから話しかけてくる。

「効果抜群ね。」

私は、一番手前で倒れている兜に手をかけ、兜を脱がせる。

「なるほど・・・こうやって死ぬのね。」

ネクロピースの力で死んだ者の姿を見るのは、私もザムアも初めての事だった。

その犠牲者は、短い髪の女性で、口からは血が混じった赤い泡、目と鼻からは血が流れており、苦悶の表情を浮かべていた。

「強いわね、この毒性。近寄っただけでこれだもの。」

私がこの通路に撒いたのは、ネクロピースの原石。依頼を受けて持ち帰った物とは量も毒性も桁が違う。

気付いた時には、手遅れだっただろう。

「今なら、大広間まで行けるかもしれないわね。」

ザムアの言葉に、頷いた私だけど、少し試してみたいことがある。

私は、兜を脱がせた死体の側に屈みこみ、鎧を脱がせる。

鎧は、特に浄化の付与はされていないようで、問題なく触れることが出来た。

「ハール、何してるの?」

ザムアの疑問に答えるように、私は自分の鎧を脱ぎ、アナスタシス教団の鎧を身に着ける。

そして、兜をかぶり、バイザーを上げてザムア方を向く。その顔は、そこで倒れている女性と同じになっていた。

これで、どこからどう見ても、アナスタシス教団の騎士だ。

「いいわね。これが出来るなら、罠も色々と仕掛けられる。」

ザムアも女性の側に屈みこみ、その指に着けてある指輪を抜き取る。そして、私に手渡した。

私は、その指輪を女性と同じ部位に身に着けた。これで、私はこの女性に成りすましたと言う事になる。

「ハール、ちょっといい?」

ザムアは私の側に立ち、小さな声で作戦を告げる。その内容は即興でやるには難しいけど、やってみる価値はありそうね。

「大広間、取り返そう。ハール。」

頷いた私を見たザムアは、笑顔を見せる。

そして、私達は金属音が鳴り響く大広間の前に立った。

私は、大広間の扉に手をかけ、少しだけ開け中を覗き込む。

大広間の床には、大きな魔法陣が描かれており、その周囲には鎧を着たアナスタシス教団の兵士の姿が多く見て取れる。

魔法陣の中では、数名のローブを来た司祭がザムアの作った鉄板に手をかざし、何かの魔法を唱えているようだった。

「何をしてるのかしら・・・?」

ザムアも一緒に覗き込む。しかし、ザムアも中で行われている事は判らないようだ。

「ハール、作戦通り、行ってみましょう。」

私は、ザムアに頷いて見せ、バケツの中のネクロピースを口に含む。そして、扉を開けてわざと音が大きくなるように倒れこんだ。

突然開けられた扉と、私が倒れる音で中に居た全員がこちらに振り向いた。

「大丈夫ですか?!」

そして、その中の騎士の1人が、私に駆け寄り、鎧を揺さぶる。声からして、女性のようだ。

「た、大変よ・・・部隊が全滅・・・ネクロピースが・・・私も・・・。」

私は、ザムアの声に合わせて口をパクパクと動かし、苦しそうな表情を見せる。そして、手を口元にあててわざとらしく咳をするそぶりを見せる。

「気をしっかり持って!!」

「わ、私はもう・・・逃げて・・・。」

ザムアのセリフが終わると同時に、私はうつ伏せに倒れる。その時に、口に含んでいたネクロピースを地面に置く。

「ヒ・・・。」

騎士がヒーラーを呼ぼうとするが、声が出ない。さらに、立ち上がろうとするが立ち上がれない。体の異変に気付いた騎士だが、もう手遅れのようだった。

私の隣に騎士が倒れこみ、その拍子に兜が外れる。その表情は、この鎧の持ち主と同じだった。

一連の出来事を目の当たりにした周囲の人間たちは、一様にざわめき始める。

そして、倒れている私達を助けようと他の騎士とローブを着た者達が駆け寄ろうとする。

「待て!!」

その動きを奥に居る少し高級なローブを来た人間が止める。近づいてくれれば、一網打尽にできたのだけれど、意外と冷静ね。

そう思いながら、私は更にネクロピースを口から吐き出し、即死トラップを完成させる。

これで、この大広間からは生きている者は出られなくなった。出られたとしても、扉の外にはこれよりももっと量の多いネクロピースが準備されている。

と、ここまではいいのだけれど・・・私はどのタイミングで逃げようかしら・・・。

「ハール、聞こえる?これから、外の通路で少し暴れるから、騒動に紛れて脱出して。」

ザムアが、指輪を通して次の作戦を伝えてくる。暴れるって、何をするのかしら?

そう思っていた私だが、次の瞬間、大広間の扉が大きな音と共に揺れる。

「今度はなんだ?!」

全員の動きを止めた男が、大声を上げる。しかし、扉の振動と音はなおも続き、大広間の中にいる人間全員に不安を与える。

「・・・も、もう嫌だ!!」

ローブを来た気の弱そうな男が、大声で叫びしゃがみ込む。それを合図に、周囲の様子が明らかに変わる。あと一押しで、パニックを起こして制御不能になるわね。

幸い、叫び声をあげた男の方に視線が集まっている。私は気付かれないようにネクロピースの欠片を中央付近に指で弾き飛ばした。

不意に、中央で青く光る物体が出てきた事に、周囲が驚く。そして、知識のある者が真っ先に声を上げる。

「ね・・・ネクロピースだ!!」

その言葉が最後の一押しになった。周囲の秩序は全て崩壊し、騎士も魔導士も全員が我先にと大広間の扉に殺到する。

もちろん、地面に倒れている私なんてもう眼中にない。私は逃げる人間たちの邪魔になっていたのだろう。隣の騎士と一緒に扉の前から蹴り飛ばされ、隅に追いやられる。

私は目立たないようにゆっくりと立ち上がり、誰にも気づかれない部屋の隅、倒れた金属の棚の裏に身を隠す。

逃げ出そうとした人達は、扉前の即死トラップのせいであっけなく命を落としていく。うん、こういう時こそ、冷静に行動しないとダメなのよね。

それにしても、こんな状況になっても、冷静な人はいるもので、私は棚の影からその人の様子をじっとうかがう。

「死者のトラップ・・・あいつの言っていた、アンデッドの冒険者か?」

冷静な人はそう言いながら、鎧だった板に手を伸ばして呪文を唱える。

「こちらムース、これよりポータルで帰還する。」

ムースと名乗った人がその板に乗る。すると、一瞬でその姿が消える。なるほど、あれは瞬間移動を可能にする何かなのね。

それを見届けた私は、改めて大広間の扉を見る。扉は開かれており、何名かは部屋を出れたのだろう。まあ、出た直後に倒れてると思うけど。

そして、視線を部屋の内部に向ける。さっきの鎧は今もなお光っており、その効果が続いていると予想される。

それに気づいた残されたわずかな人間は、急いでその鎧に飛び乗り、姿を消していった。

大広間で、生きている人間は誰も居ない。どうやら、奪還作戦は無事に成功したようで、私はほっと胸をなでおろす。

その足で、私は扉の外で待っているザムアを呼びに行く。

「ハール!よかった。成功ね!」

ザムアの笑顔を見て、私は笑顔を返す。

「でも、こんなにも上手く行くなんてね。ちょっと拍子抜けよ。」

その言葉に、私は小さく頷く。確かに、アナスタシス教団がここを攻めるのは二度目、相手も、私たちが居る事なんてわかっていたはず。

それに、あの魔導士があの鎧をポータルと呼んでいたが、それが一体何を意味するのかそれが分からない。

私の表情が、深刻な顔をしていたのだろうか、ザムアが心配そうに私を見つめる。

「何か、気になる事があるのね?」

私は、小さく頷く。でも、その懸念をザムアに伝えることが出来ない。このもどかしい気持ちは、どうしたらいいのかしら。

「ここに居て、様子をずっと見ていた貴方が気になってる事・・・多分重要だと思うから、教えてもらえるかな?」

ザムアはそう言ってくれるが、どうすればいいか・・・。私は、今もなお不気味に光っている鎧を指さす。そして、足元に落ちている石を拾い上げて、それに投げた。

「え・・・あれって?」

本来なら、石を弾く音がするはずだったのだが、石は音もなく消える。それを見て、ザムアは表情を変える。

「・・・あの石、どこに行ったの?」

私は、ザムアの疑問に対して、入り口の死体を指さす。

「あいつらの居る場所・・・?」

ザムアが私の考えを読み取ってくれる。本当に、ザムアが仲間で良かったと思う。

「と言う事は、逆もあると言う事ね・・・。あっ!!」

ザムアが何かに気付いたように、大声を上げる。私の懸念事項にたどり着いてくれたようだ。

「ハール、判ったわ。この大広間もトラップにしてしまいましょう。」

ザムアがそう言うと、バケツに入ったネクロピースを大広間の中央に置く。これがある限り、大広間全体は生物に対しての即死トラップになる。

「鎧が何かのキーになりそうね。ハール、その鎧も危ないわ。」

私もそう思っていた。この鎧が、アナスタシス教団の何かに利用される可能性ある以上、これ以上は使っていられない。私は鎧を脱ぎ、バケツの隣に置く。

その作業が終わって、私とザムアは次の作戦を考える。まだ、アナスタシス教団の脅威は去っていない。むしろ、ここからが本番だろう。

その時、再びネクロコリスに振動音が響き渡る。

「この音も、気になるのよね・・・。」

恐らく、ネクロコリスの外で何かをやってるのだろうが、戦力も何もかもが分からない状況で表に出るのは得策とは言えない。

「せめて、シャウがいてくれたら表の状況が判るのだけれど・・・。」

連絡をしてから、まだ2時間ほどしか経っていない。シャウはまだ来れないだろう。

「・・・ネクロピース、足りなくなったわね。扉も封印しちゃったから戻れないし。」

腕を組んで考えを巡らせる。しかし、いい案は思い浮かばない。

「仕方ないわね、後は、この入り組んだ地形を利用して行きましょう。」

ザムアの案に頷いて答え、私達はさらなる迎撃の準備に入った。

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