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ななつめの夜
1匹に噛みつかれた。
牙が腕の辺りに食い込んでくるこの感触が電流のように伝わってくる。激痛が走る。
「やめろ!」
無理にはずそうと頭を殴るもののその牙は腕にもっと深く強く食い込んできた。
はずすことも
許されずそれどころか1匹だけでなく、
もう1匹、もう1匹と俺にヨルは噛みついてくる。
「うぁああっ」
俺はポラリスを見た。
その彼女に掠れた声で求めた。
「助けて…助けて…」
目の前にいるポラリスという女性は金の瞳を俺に差し向ける。まるで虫けらでも見るようなそんな顔でだ。彼女はこう言葉を放った。
「お前は…ハズレだったな。」
翻すマントの音が嫌に耳に入ってくる。
今や、俺にできることは何もない。
絶望という名の音、鼓動が
心臓が、俺に響かせ伝えててくる
もうだめかもしれないと。