7/11
むっつめの夜
小さな悲鳴にも似たその声で俺はそこから動けなくなっている。
「早くしろ!」
そこで怒声が響き渡った。
「早くするんだ!!」
その声は俺に向けてのものらしい。
振り返るとその声の主がいる。
黒髪、金眼。
身に付けているのは金の鎧。白いマントが黒の世界に目映く光っている。
そんな女性がそこにはあった。
女性は叫んだ。
「お前を召喚したのはこの私。ポラリスだ!!
お前の前世の力でヨルを撃て!」
「前世の力!?」
ポラリスと言うその彼女が言った前世の力。それはなんだ?何のことかわからない。そんなこと聞いたことがない。
暗闇の中、恐怖だけが勝っている。
震えあがり何もできない。ここから動くことさえ叶わない。容赦なく、ヨルと呼ばれた獣共は牙を向けて俺めがけて襲いかかってきた。