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むっつめの夜


小さな悲鳴にも似たその声で俺はそこから動けなくなっている。


「早くしろ!」


そこで怒声が響き渡った。


「早くするんだ!!」


その声は俺に向けてのものらしい。


振り返るとその声の主がいる。

黒髪、金眼。

身に付けているのは金の鎧。白いマントが黒の世界に目映く光っている。

そんな女性がそこにはあった。

女性は叫んだ。


「お前を召喚したのはこの私。ポラリスだ!!

お前の前世の力でヨルを撃て!」


「前世の力!?」


ポラリスと言うその彼女が言った前世の力。それはなんだ?何のことかわからない。そんなこと聞いたことがない。


暗闇の中、恐怖だけが勝っている。


震えあがり何もできない。ここから動くことさえ叶わない。容赦なく、ヨルと呼ばれた獣共は牙を向けて俺めがけて襲いかかってきた。

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