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大富豪の息子

不定期投稿です。よろしくお願いします。

 株式会社ZAZATOWN。俺のじいちゃんが立ち上げた会社で、年商100兆の超大企業だ。今は親父が後を継いでいて、俺はこのまま何もしなくても次期社長確定だ。だが何もかも好き放題というわけではない。次期社長として相応しい品格を身に着けるべく幼い頃から礼儀作法や教養はいやというほど身につけさせられた。毎朝六時に起きて剣道の稽古。それ以外にも武道といわれるようなものは一通り身に着けたし、茶道や華道もお手の物だ。学校から帰れば待っているのは鬼家庭教師のレッスンで、放課後に友達と遊んだ記憶なんてほとんどない。学校で話しかけてくる同級生もほとんどが金目当ての汚いやつで、俺には友達と呼べるようなやつは誰一人としていなかった。そう。今日までは!


 この春から俺は大学生になる。親父のもとから離れたい一心で、日本を代表する東京の大学を受けずに京都の国立大学だけを受験した。見事合格した俺は4年間の一人暮らしの権利を手に入れたのだ!そして今日は入学初日。華のような大学生活を想像すると、今からワクワクが止まらないぜ!


 入学式で新入生総代を務めた俺は早速注目の的になっていた。今までは親の七光りで注目されていただけだったのでこうやって自分が認められるのはなんだか新鮮な気分だ。

 「なあ、あんた今日代表で挨拶してたよな?えっと、確か、、」

 「今泉雄一だ。よろしく。」

 「そうだ。今泉雄一だ!俺は横山竜。竜でいいぜ!」

竜と名乗るその青年はいかにも体育会系って感じの好青年で、短めに切りそろえた髪とはにかんだ笑顔がとても眩しかった。

 「ああよろしく!俺も雄一って呼んでくれ。」


 結局、初日に仲良くなった竜とはその後も行動を共にすることが多く、竜の親しみやすい人柄に多くの人が集まり、俺にもたくさんの友達ができた。くうー!これぞ夢にまで見た大学生活だぜ!


 初夏を迎えるころ俺たちはとあるゲームに熱中していた。

                   『ユートピア』

登録者数100万人を超える人気MMORPGであり、魔法のあるその広大な世界は俺たちをどこまでも虜にした。厳しい家庭環境のもとで育った俺はもちろんこんなゲーム初めてで、気づいたら、、、、、

                『100億円』課金していた。

 「やばい。。どうしよう。。。もしものためにって親に持たされてたカードで100億も課金してしまった。。。経験値効率を上げるアイテムに、最強武器は全種類レべマ。魔法スキルに回復アイテム、ゲーム内通貨に至っては俺以外の全プレイヤーの合計より多いなんて。。。いくらなんでもやりすぎた。。。」

当初はみんなで足並みをそろえて楽しくプレイしていたのに、いつの間にかみんなと遊ぶアカウントと課金アカウントを使い分けるようになっていた。課金額が1億を超えたころにプレイヤーレベルが世界1位になり、100億を超えた今2位に476レベルの差をつけ、765レベルになっていた。週に一度更新される最難関ダンジョンのボスをソロの一撃でなぎ倒すこの強さはもはや伝説となり、ネットでは様々なうわさがまことしやかにささやかれていた。


 「まじだって!昨日協力プレイでよ、yuichiとやったんだって!」

なにやらクラスで興奮気味にユートピアの話をしている。

 「いやー偽物だろ。大体よー、彰吾みたいなビギナーのパーティーにあの伝説のプレーヤーが入ってくれるわけないだろ!」

彰吾は比較的最近始めたばっかりで、レベルはまだ20そこそこってところだ。彰吾の話を聞き流す竜たちは一般プレイヤーの中ではかなり高レベルの100レべプレイヤーだ。

 「本物なんだって!昨日イベントの最深部クリアしたんだぜ?ほら!」

彰吾は慌てながら、証拠のスクショを見せびらかした。

 「ま、まじかよ。なあ雄一はどう思う?そういえば昨日ログインしてなかったな。」

 「いやーどうだろうな。そこそこの高レベルプレイヤーならビギナーかばいながら最深部勝てるし、なりすましって可能性もあるよな。」

もちろんこれはなりすましなんかじゃなくて正真正銘yuichiなんだけど。

 「まあ、この話は置いといてよ!このあとうちでやろうぜ!」

竜がそう切り出し、みんなで竜の家に向かうことになった。まあ、いつものことなんだけど。


 夜中までみんなでやり続けてさすがにおなかが減ったので罰ゲームで買い出しに行くことになった。負けた俺は今こうしてコンビニへ向かっているところだ。


 ふいに頭痛が襲う。

「ってえ。さすがにやりすぎたかな。」


 グラン

視界が揺れる。


あれ?歩けない。な、んだこれ。視界が、ぼやけ、、


 プツン-


 「...て。起きて。」

耳をくすぐられるような甘い声で目が覚める。

 「よかった、、大丈夫ですか?」

なんだこれ、これは一体。。。確かコンビニに行こうとして。。。

そこはまるで中世ヨーロッパの宿屋のようなそんな場所だった。そして心配そうに俺を見つめる少女を俺はどこかでみたことがあるのだが。。。

 「あ、あなたは?」

心配そうに見つめていた少女がニコリとほほ笑む。その瞬間。思い出す。

これは、この人は、、、、、!

 「私はシエル。この町で宿屋をやっています。」

間違いない!この人は『ユートピア』内で死んだときに戻る宿屋のシエルさんだ!よく見ればこの宿屋ゲームそのままじゃないか!


 宿屋を飛び出してから俺は様々なところを調べた。だが調べれば調べるほど明らかになっていく。

 この世界は十中八九、いや、完全に『ユートピア』の世界である。


 順風満帆の未来が待っていたはずの俺は100億課金したゲームの世界に入ってしまった。



読んでいただき、ありがとうございます。ぜひ次話もよろしくお願いします。

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