アヴィー・サンシャイン・キャット
ぽかぽかお昼の太陽がちょっと傾いてきたかにゃぁ。
お空が、ちょっとオレンジ色。もうすぐ夕方だにゃぁ……。
私は、お昼はぽかぽか暖かくてちょっと眠くなる、夕方より後の方が得意なのにゃぁ。
「そろそろランプをつけようか……お願いねリリー」
そろそろ、暗くなってきた頃。マリーねぇには手元が見えにくくなる暗さにゃぁ。
でも、マリーねぇの髪綺麗にゃぁ。お日様と同じぽかぽか色にゃぁ。
「マリーさん、アインって呼んでください!」
そんな風に、怒ったふりしてどっちも気に入ってるのバレバレにゃ。
ホントは、どっちでも嬉しいのみんな知ってるにゃぁ……。
「あぁ、ごめんね。そうだね、新しい妹も生まれるんだしね。余計にそっか」
もうすぐ新しい妹にゃぁ。
楽しみなのみんな一緒にゃ。マリーねぇもちょっとワクワクしてるような声にゃ。心ぽかぽかにゃ。
アインねぇがランプ入れたみたいにゃ。ゆらゆら見たらまた眠くなってくるにゃ。
「ええ、私、ツヴァイちゃん、そして今からはドライちゃんも一緒です。私としてはゴールドでもいいのですがね、それだとみんなゴールドなので困ってしまいますね」
ゴールドとかよくわからないけど、みんな家族にゃ。それは変わらないにゃ。
「マスター、もうすぐアーティファクト・ドライの完成です。一度休憩なされては?」
ツヴァイねぇはちょっとぶっきらぼうな言い方をするねえねにゃ。
だけど、気持ち優しいのはしってるにゃぁ……。
「大丈夫だよ、ツヴァイちゃん。みんなに早くこの子を紹介したいから、私、頑張る!」
にゃぁ……。もうすぐにゃぁ……。楽しみにゃ……。
ふにゃ。猫丸出しじゃん。
またからかわれる、前に誤魔化せー。
「どんな子!? どんな子!?」
ピョコんとマリーねぇの膝に頭を乗っけてみた。
私だけが知ってる、一番あったかい場所。私の特等席。
真似しようとする人いないんだけど……。
「この子はね。とっても人の気持ちを考える子。きっと、素敵な子になってくれると私は信じてるよ。」
こうすると撫でてくれるのがとっても落ち着く。
耳はちょっとくすぐったいけど、それもなんかきもち良いんだよ。
「アヴィーちゃん。あまり邪魔をしたらダメですよ」
と言う、アインねぇ。本当は怒ってないの知ってるんだよ。
こんど、アインねぇの膝の上にも失敬しちゃおう。
「マスターはちょっとだけそうしていることを推奨します」
と言う、ツヴァイねぇ。もっと言ってやるといいんだよ。
「怒られちゃった……」
なんてね、あんまり邪魔しちゃうと悪いから私はおとなしくしてようかなぁ。
「そうしてると、アヴィーちゃんは本当に猫みたい」
そんな風に笑うマリーねぇ。
「にゃ!? 猫じゃないよ!」
ふにゃ。やっちゃったにゃ。
「猫じゃないという割に、にゃって言っちゃったじゃない……。」
思わず素がでちゃった。いけないいけない。でも、マリーねぇも笑ってるし別にいいことにしておこう。
お日様も傾ききって空が真っ赤。私、夕方ってなんか嫌いなんだよ。胸騒ぎがするから。
「そろそろ、仕上げよっか。この子の名前はドライ。ドライ・クラジオラス・ゴールド。私たちの、新しい妹だよ。」
マリーねぇがいうと、横たわっていた桜色の髪をした子が目を覚ました。さらさら、ツルツルの髪は少し羨ましい気がするんだよ。だって、私のは毛が細すぎてお手入れ大変だから。
目を覚ました子は周りをぼーっと見回している。寝ぼけてボロ出すといいにゃ。
「おかあさん……?」
ドライ今マリーねぇのことお母さんって言ったにゃ。
分けてはあげるけど絶対渡さないにゃ。って、まだ猫丸出しになってるんだよ。
マリーねぇ、嬉しそう。頑張って作ってたの知ってるんだよ。夜遅くまで、ずっといじってたの知ってるんだよ。
「私はマリー。あなたはドライ、私たちの妹……。」
自己紹介だね、マリーねぇ私はこの中で一番新参だからねえねたちに自己紹介の順番は譲るんだよ。
「私はアイン、あなたのお姉さんだよ。」
アインねぇ、そんなこと言うけど実は寂しがり屋なところもあるんだよ。
「私はツヴァイ、二番目に作られた。」
ツヴァイねぇは、ちょっとしんぱいだよ。初対面では勘違いされやすいかなって。
「私はアヴィー、猫じゃないよ!」
ツヴァイねぇ、自己紹介はこうやるんだよ。
コンプレックスも武器にゃ。
って、マリーねぇはスキあらば喉ゴロゴロさせるにゃー。
「また猫扱いするにゃ!!??」
あ、微妙な空気にゃ。笑っていいにゃ、笑ってくれにゃ。私まっさきに笑うにゃ。
なんだか、いつもドタバタだよ。でも、私らしいからよく決まってるかな。
「マスター、私、アーティファクト・ツヴァイは単独による探索任務を開始したいと思います」
ツヴァイねぇは不意に、そんなことを言い出したにゃ。なんでにゃ、誰もそんなこと望んでないにゃ。
「なぜ?」
マリーねぇ怒ってるにゃ。きっとツヴァイねぇを守りたいにゃ。私もにゃ、出て行くのいやにゃ。
「私には、私を超える性能を持つ後継機としてのドライの存在があります。よって、私はこの機により多くの情報を収集し移住候補地を探索することが懸命だと思います。そのために、どうぞ私をお使いください。」
なんでそんな顔するにゃ、自分はもういらないみたいなことなんで言うにゃ。
「使う、なんてそんな道具みたいに……。」
マリーねぇ、そんなの言われたら悲しいにゃ。私も、我慢できないにゃ。
「嫌だ! 私は、ツヴァイねぇのこと道具だなんて思ったことない! 家族だって、一番近い、一個上のお姉ちゃんだってそう思ってた! だから、絶対嫌にゃ!」
なんで、私牙むき出しにしてるにゃ。怒って、怒鳴って威嚇して。なんでにゃ。私が伝えたかったのは、大好きだって気持ちなのに。なんで怒っちゃうのにゃ。
「ねえ、ツヴァイちゃん。少し、私とお話しよう。」
ごめんね、アインねぇ。私どうしたらいいかわからないにゃ。
だから任せるにゃ。
きっとツヴァイねぇ、困ってるにゃ。本当に出て行っちゃったらいやにゃ。
こんなのが、最後なんて嫌にゃ。
もう、外真っ暗にゃ。お月様綺麗にゃ、仲直り助けてくれないかにゃぁ……。
「おかあさん……これ何かな? 暖かい、と冷たいの間でなんだかとっても不安定で、壊れそうで。」
ドライは唐突だったにゃ。だけど、私その気持ちなんだか分かるにゃ……。
押しつぶされそうになるの、大嫌いにゃ。
「そういう、気持ち……かな? ごめんね、うまく言い表せないよ」
私にもわからないにゃ。だけど、この気持ち大嫌いにゃ。吐き出して、スッキリしたいけどどうしていいのかもわからなくなるにゃ。
「そういう気持ち……。そういう気持ちに、なっちゃったよね……」
急に、抱きしめられたにゃ。混乱したにゃ、ナマイキにゃ、妹のくせに私の気持ちのこと言ってたにゃ。
「なに……?」
ドライは私を撫でながら優しい声で言ったにゃ。
「そう見えただけ……。そういう気持ちになっちゃって、最初に言葉が出ちゃって。本当は、もっと伝えたかったよね……。」
ぶつけていいのかにゃ。おねえちゃんなのに甘えてもいいのかにゃ。
だけど、気持ち、溢れ出して止まらないにゃ。
「そうにゃ! そうにゃ……! 否定したかったんじゃない……、ただ一人で頑張ろうとするツヴァイねぇが苦しかったにゃ……」
ドライは優しかったにゃ。何度も私の頭撫でて、落ち着くまで強く抱きしめてくれたにゃ。
そのせいで、辛い気持ちが全部押し出されて言葉とまらなくなっちゃったにゃ。
「ドライ……?」
ドライは強い子にゃ。おねえちゃんの辛い気持ち全部わかって受け止めてくれる子にゃ。
大丈夫にゃ、マリーねぇ。マリーねぇも、きっと同じ気持ちにゃ。
「なんとなくだよ、お母さん。なんとなく、悲しい気持ちもこうやって、押し出しちゃえるんじゃないかなって……」
その通りだったのにゃ、全部流れちゃったにゃ。
これでいつもの私に戻れるにゃ。
ドライ、ありがとう。
「そっか……。」
「あの子の言葉は、口から出るときは暖かいのに、人に届くときはとても冷たかった。お母さんは、それもわかってるんじゃないかな? お母さんにもそういう気持ちあるんじゃないかな?」
「うん、そうだね。」
「じゃあ、お母さんもおいで……。一緒に全部吐き出そ?」
「うん……」
だけど、やっぱりドライはちょっとナマイキだと思うんだよ。
一番最後に生まれて、みんなの気持ち全部理解しちゃうなんて。
……ちょっと、ずるいにゃ。
アヴィーちゃん、作者の中で萌えキャラ度ナンバー1です。
地の文でもセリフでも口調がぶれるのはわざとです。
理由は、私が書くのが先か、皆さんが気付くのが先か、どちらになるでしょうか……。