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レジ係、ラブストーリー

レジ係と手品の話


-とあるドラッグストア-




レジ係「ポイントカードはお持ちでしょうか?」




客の男「……いえ……持ってません」




レジ係「はい、失礼いたしました」ピッ、ピッ




客の男「あの……」




レジ係「はい、どうかなされましたか?」




客の男「いえ、その、大変言いにくいことなんですけど」




レジ係「……?何でしょうか?」




客の男「最近、手品を練習していましてね」




レジ係「わー、凄いですね。お支払いは724円になります」




客の男「あ、じゃあ千円からでお願いします……友達に見せたら凄い凄いと大絶賛でして……是非とも沢山の人に見てもらいたいと思ってるのですよ」




レジ係「へー、すごーい。276円のお返しです」




客の男「あ、ありがとうございます……あの、良かったら見てもらえませんかね?」




レジ係「……今ですか?」




客の男「はい、もしよろしかったらでいいんですけど……」




レジ係「今はちょっと厳しいですかね」




客の男「そ、そうですか」




レジ係「だって、めっちゃ今レジ混んでますからね。流石に、ちょっと……」




客の男「あー、そうかそうか。じゃあ、明日にでもまた来ます」スタスタスタスタ




レジ係「(めちゃくちゃ速足だな、この人)ありがとうございましたぁ」










-翌日-






レジ係「(あ、手品の人だ)商品をお預かり致します」




客の男「い、いま、僕以外にこのレジにお客さんはいませんね」




レジ係「は、はぁ。そうですね」




客の男「ということは……やっちゃっていいってことですね」




レジ係「……何をですか?」




客の男「手品に決まってるじゃないですか!」




レジ係「(急に大声だなぁ)……決まってるんですね。528円になります」




客の男「あ、じゃあ千円からで……というわけで、外に出てもらってもよろしいですか?」




レジ係「え、ここでやるんじゃないんですか?」




客の男「あ、当たり前じゃないですか!僕の手品は大掛かりなんです!ぼ、僕の家じゃないと見せられません!」




レジ係「い、家!?さ、流石にお客様の家に行くのはちょっと出来かねます……業務中ですし」




客の男「じゃ、じゃあ業務中じゃなければいいってことだな……今日いつ上がりなの?」




レジ係「い、いやそういう訳にはいかなくて……あはは...困ったなぁ」




客の男「あん?どういうことだよ!俺が、お前を困らせてるっていうのか?客の言うことが聞けねぇのかよ!あん!」




レジ係「(ブチッ)……ワカリマシタ、オキャクサマ。では、その前に私の手品を見てもらってもよろしいですか?」




客の男「おん?何だよ、見せてみろよ。だけど見せたら、何時に上がりなのか教えろよ」




レジ係「オキャクサマ、口を開けてくださいませんか……?」




客の男「お、いいぞ」かぱっ




レジ係「」シュパッ(何かを飛ばす音)




客の男「ぐわっ、な、なんだこれ。何かが口に入った。ぼりぼり……薬か……?」




レジ係「それは、あんたにお似合いの薬よ!味わいなさい!」




客の男「く、な、何を食わせたんだ。教えろ!」




レジ係「バフ〇リンよ!」




客の男「ば、バフ〇リン……!?」





【バフ〇リン】……頭痛薬。成分の半分が優しさで出来ている





客の男「う、うわぁ。なんだか、心が安らいでいくぅぅ」しゅわわぁぁ(男が冷静に戻る音)




レジ係「お客様、いかがなされましたか?」




客の男「……いや、さっきは失礼な物言いをしてしまったようだね……すまない、手品の話も忘れてくれ」




レジ係「……よ、よろしいのですか?」




客の男「ああ、いいんだ。ホントは貴女を家に連れ込んでエロいことがしたかっただけなんだ。申し訳なかった」




レジ係「いえ、いいんですよ(なんて、正直なクズなんだ)」




客の男「それにしても凄い手品だな。このエロの化身である私の性欲を抑えるだなんて」




レジ係「いえ、すごいのは私じゃなくてバフ〇リンですよ」




客の男「確かにそうだ!よし、そのバフ〇リンってやつを一つ追加で貰おうかな」




レジ係「ありがとうございます。では、498円になります」




客の男「ありがとう、店員さん。……もうここへは来ないことにするよ。迷惑をかけたからね……」スタスタスタ....




レジ係「お、お待ちください……!」




客の男「え……(まさか、こんな僕のことを許してくれるっていうのか……!?)」




レジ係「お金が……足りてません」










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