第4話 俺のステータス低すぎ
ステータスという概念の情報。
ゼキエーレが良い宿があると言ったので町を歩いていたが、ある物が目に入り立ち止まった。それは、日本では見ることのない――いや、現代の地球では絶対に見ることが出来ない店だ。
「なぁ、ゼキエーレ」
『なんだ』
「……奴隷、いるのか。この世界」
『いるな』
「……マジか」
『マジだ』
真顔で奴隷商を見つめながらゼキエーレに聞いてみたが、本当にいるようだ。
素晴らしい。これを知れただけで夢が広がる。異世界転生と言えば奴隷、なんて穢れた偏見のある俺だからこそ興奮するシチュエーションだ。
いや、落ち着け俺。奴隷はとってもお高いんだ。今すぐに手が出せるものでもない。見て見ぬふりをして、真っ直ぐ歩いて、ここから立ち去る。
『とか言って、真っ直ぐ進んだ先には奴隷商だが?』
おっと、危ない。奴隷商に入ってしまったらなんやかんやあって買ってしまいそうな気がする。
「宿だよな、宿。うん、宿……」
『奴隷、ほしいんだろ』
「ほしい。ほしいけどさぁ。お金がない。今のままあそこに入っても、ただ見るだけで欲求が溜まるだけだ」
『金か。当面の生活金はアイテムボックスに入れておいたが、それでは良い奴隷は買うことは出来ない。やはりここは、冒険者となって金を溜め、ついでに名声も上げておけ』
「そうだな。そうしよう。まだ日は高いし、宿は後回しだ」
俺はそう決断すると、足早にギルドへと向かった。
で、ギルドってどっち?
『はぁ……こっちだ』
ゼキエーレに呆れられつつも、来た道を戻る形でギルドへと向かう。どうにもゼキエーレに呆れられることが多い気がする。そんなに俺は変な行動をしているだろうか。自覚できない以上、俺にはどうすることもできないな。
ゼキエーレによる静止に声を聞き立ち止まる。ここがギルドらしい。ギルドへ到着下と言うが、そこはあまりにもそれらしからぬ外観をしていた。
ギルドと言うと、俺のイメージは酒飲み場と言った感じだ。厳つくいい加減な冒険者が、仲間とジョッキを酌み交わし楽しく騒ぐ、そんな場所だとばかり思っていた。
けど違った。この世界の冒険者ギルドというのは、本物の役所のような見た目だ。キチッとした雰囲気があって、入るのに少しばかり勇気がいる。
けれど、入らなければ話にならない。
そう思い、握りしめていた拳を解いて扉を開ける。中も想像通りの作りだ。役所のようで、正面に受付があり、扉付近にはソファなどの休憩スペース、壁際には依頼書が張ってあるだろう掲示板。
『私の息子よ。冒険者登録をする前に、少し見てもらいたいものがある』
さっそく受付へと足を進めたのだが、ゼキエーレに止められソファに座る。見せたいものとはなんだろう。
『お前がこの世界で何がしたいのか。それは知らないが、何にせよ力は必要だ。だから、こう言う物を作ってみた。どうだ』
そう言って、ゼキエーレは俺の目の前に青白い画面を表示した。そこには、俺の今の名前やレベル、その他には数字なんかが書いてある。
「これって、ステータス画面か」
『そうだ。よく見てみろ』
内容はこうだ。
―――――――――
ソウマ・ゼキエーレ
LV100
HP 1億/1億
MP 5000万/5000万
STR 10000
DEX 10000
VIT 10000
INT 10000
AGI 10000
MND 10000
スキル
【異空間倉庫】【神の加護】【転生】
スキルポイント
残り:10
―――――――――
ふむ、なんだかおかしいな。俺のスペックってこんなに高かったか? こんなに強いんだったら、俺はグリーンウルフに余裕で買っていただろ。絶対間違ってるよね、これ。
『それはステータスを更新したからだな。あの時はまだ体に力が反映されてなかったんだろう』
まぁ、それなら仕方ない。百歩譲って仕方がないことにしておこう。しかし、それでもこのステータスには納得がいかない。俺の基本スペックがここまで高い理由が分からん。何故だ。
『私の魂とお前の魂との融合の影響だろう。私の力の一部が反映されてしまったんだ』
こ、これで一部かよ。一部にしては、大きすぎる力だとは思うが……おいおい、これじゃあ最初からヌルゲーだぞ。
この世界はもう余裕でクリアしたも同然じゃん。
こう言ってはアレだけど、ちょっとつまんなくない?
『安心しろ。そのためのスキルだ。【転生】を使え。そうすればLV1 に戻る』
言われた通りにスキルを使ってみる。使い方は念じれば影響が出ると言っていたが、さてどうなる。
スキルを使ったつもりになってから、画面を見てみた。すると、そこにはLVが1となったステータス画面が表示されていた。
―――――――――
ソウマ・ゼキエーレ
LV1
HP 75/75
MP 50/50
STR 15
DEX 12
VIT 5
INT 20
AGI 8
MND 5
スキル
【異空間倉庫】【神の加護】【転生】
スキルポイント
残り:110
――――――――
弱っ! これが俺の本来の力。ここまで弱いと、グリーンウルフに負けず劣らずな戦闘をした自分に納得してしまう。そう思うと、あの戦いでの勝利は意外と奇跡に近いものがあるのでは?
そうゼキエーレに聞いてみると、ゼキエーレはグリーンウルフは集団で襲ってくるのでCランクの魔物だ。けれど、単体ではDランク相当の弱い魔物だ。
と説明してくれた。そうなると、俺の今の実力で言うとDとどっこいどっこいか。
それよりも、【転生】の効果について詳しく聞いていなかった。さぁ、説明してもらおうか。
『転生、つまりは生まれ直しだ。ルビも振ってあるだろう。リセットだよ。ステータスを一新するんだ。発動条件があって、LV100の時以外は使えない。要するに、レベルがMaxの時に使えるってことだ』
なるほど。レベルが上げきらないと使えないスキル、か。いつもは使えないスキルではあるだけに、何か特別な効果があるはずだ。
『レベルを100まで上げ、スキルを使った時の特別な効果……それは、スキルを継続したままもう一度レベルを上げれるということだ』
でっていう。
『分からないか。スキルポイントっていうのがあるだろ。それはスキルを獲得するために私がお前の為だけに作ったものだ。そして、そのポイントはスキルに応じて必要量が変わる』
俺の為って、このためだけに世界の理を捻じ曲げる勢いで創り出したのか。まるで、ゲームのように俺が世界を楽しめるように。
何というか、ありがとう?
『感謝はいらん。これはお礼のほんの一部だ。話を戻すが、転生を使うとレベル分の、100ポイント獲得できる。そして、スキルを継続したままだ。レベルが上がればスキルポイントを得られる。ほぼ無償で100ポイント手に入れ、これからもレベル上げでポイントを得られるんだ』
それって、無限にポイントを獲得し続けられる、んじゃないか。そうなると、おそらく俺は存在する全てのスキルを得る権利を得たも同然だ。そんなチート、ありのなのか。
『このスキルの凄いところ、理解していただけたかな』
「あぁ、凄い。凄すぎる」
これがある限り、時間を掛ければ俺はこの世界で最強になれる。俺TUEEEEできるぞ。
まぁ、異世界最強とか目指すとかはあんまり気が進まないし、対人戦はそんなに魅力的ではない。強くならねばならないというのなら、俺はどこまでも強くなろう。それができる。
この先、どれだけ強くなれるのか。なんだか育成ゲームをしている気分で楽しい。取り敢えずの目標は、冒険者になってレベル上げだな。
俺はソファから立ち上がり、受付へと足を進めた。




