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第3話 ゼキエーレっていう神様

ゼキエーレっていう名前は造語です。

「俺ぁ、色んな国や地域を回って来たが、お前みたいなバチ当たり野郎は初めてだ」


 大声を上げて驚きを露わにしたアードールの次のセリフだ。

 アードールはBランク冒険者であり、各地を転々としているのは想像できる。だが、どの辺りがバチ当たりなのだろうか。本人からも止められたとはいえ、ゼキエーレという単語が禁句指定にでもなっているのか?


『言い忘れてた私が悪かったが、忠告を無視とはヒドイな』


 聞こえてたけど反応に遅れたんだよ。悪気はない。

 というか、どうしてこんなに驚かれるんだ。名前を名乗っただけだろう。驚く要素が感じられない。


『それなら、そこの親切な方が教えてくれるさ』


 ゼキエーレがそう言い終わると同時に、計ったかのようなタイミングでアードールが話を始めた。


「世界の最高神であり、人族全ての神。そんなゼキエーレ様の名を姓に持つなんて……お前、教会に殺されるぞ」


「かみぃ?」


 確かに、日本で暮らしていた時も急に夢に出て来たし、異世界に転生させてくれたし、力もくれたし、あれ?


 ゼキエーレって神様だったのか!


『今更過ぎだろ……』


 言ってくれなかったからどっかの精霊かな、と思ったり?


『精霊もいるにはいるけど、こんな力はもっていないはずだ。ま、別に崇拝しろとかは言わないさ。今まで通り接してくれ』


 了解。気軽にね。うん、気軽に……天罰下さない?


『下すか、馬鹿野郎が。ほら、会話を再開しないと怪しまれるぞ』


「おっと、悪い悪い。ちょっと会話……じゃなくて、考え事をしてた」


「考え直したか? 偽名」


 ゼキエーレという姓、偽名に使ったんだと勘違いされている。神様の名前を使っているだ、サイコパスに見られてもおかしくない。教会とやらもあるようだし、異世界の文明レベルが中世ヨーロッパ程度だと考えると宗教が重んじられるのも分かる。

 つまり、このまま名乗り続けていると、俺は少なからず教会には命を狙われる。異端者だぁ、とか言って殺されかねない。それは非常にマズイ。やめておこう。


「いや、本当に申し訳ない。本名なんだが、発音が悪くてな」


「と言うと、お前は異国の者か。顔立ちからそうとは思ってたが、どこだ?」


「国は……」


『一応言っておくと、ここはビクタール王国っていう国だ。他にもいくつか国はあるが、そうだな。取り敢えずは帝国が出身だと言っておけ』


「て、帝国だ」


 ゼキエーレのアドバイス通りに帝国出身だとうそぶいておく。正直、帝国だとか王国だとかは全然分からん。

 俺が帝国と言葉を使った瞬間、アードールの表情は少し険しくなったのが分かった。どうしたのか聞いてみると、こんなことを言われた。


「お前、本当に世間知らずだな。王国と帝国は昔から仲が悪かっただろ。俺ぁ、王国生まれだからよ。お前んとこの帝国は、あんま好きになれねぇんだよ」


 そんなことを言われましても、知らんがなとしか言いようがない。

 ただ、ここで王国と帝国は仲が悪い、ということが学べた。これからしばらく王国で活動することになるだろう。帝国のことを口に出さないよう、極力注意するようにするか。


「アードール。この先にある町、これから行くのか?」


「そうだが、お前もだろ。一緒に行くか」


「あぁ! ありがとう」


 話題を無理やりに変えたが、アードールも続けるつもりがなかったのか話題の転換に乗ってきてくれた。

 俺はアードールと共に歩き、町へと続く道を歩いた。歩きながら、5分となかったが話をした。この王国のことを全般に聞いたが、他には冒険者のことなんかも聞いた。ゼキエーレに聞けば一発な気がするが、相手は神様だし聞きにくい。それに、出来れば現地の人間の声と言うもの必要だ。


 王国のことだが、どうやら現在は平和なようだ。戦争もなく、大きな変化はない。未だに帝国とは睨み合いを続けており、前回の戦争から10年経っていると言う。

 戦争と言っても小規模なもので、国境の辺りで小競り合いを繰り返すだけらしい。

 ただ、その国境に新たな国「十字聖教国家」という国と、そこから独立した「聖ピューレ独立都市」の二つが建国されてからは小競り合いも少なくなったらしい。なので、今が一番落ち着いている。


 続いて冒険者についてだが、この職業はやはりと言うべきか、依頼を受け魔物を狩って金を稼ぐのが一般的らしい。

 偶に依頼の中にはパレードの警備や、要人護衛なども混じっているようだが、それはAランク以上の信用と実力をもった冒険者しか受けられないようだ。

 冒険者のランクはF~S。その上のSSやらSSSもあったりしたらしいが、今ではそれ程の実力者がいないため実質廃止なんだとか。


 ここまで話を聞いて、町へと到着してしまった。門の前で身分証の提示なんかをすると思い焦ったが、戦時中や警戒中でなければしないようだ。ホッと一安心。

 町の中は活気を感じるくらいに人が多く、人やら物やらが常に行き来している。馬車なんかも走っていて、それには荷馬車が多く、貴族なんかが乗っていそうな馬車はない。

 店よりも露店が目立ち、商人よりも武装した人が目立つ。この町は商人の町というよりも、冒険者などの町なのかもしれない。


「それじゃ、俺はギルドに行くからよ。ここで、お別れだな」


「そうか。けど、俺もギルドに顔を出すつもりだからな。これで最後じゃないぞ」


「なら、またな」


「あぁ、また」


 アードールと別れ、一人町の通りに立つ。


『で、これからどうする?』


 一人となった俺にゼキエーレがそう聞いて来る。

 町に来たからやりたいこともあったが、まずは、大事なことを済ませよう。


「宿でも見つけようか」


『それがいい。いい宿を知っている』


 歩き出した。ゼキエーレの案内で町を歩く。


 異世界を楽しもうと、そう思って歩き出した一歩だった。


感想もらうには、もっと話数がないとダメだと気が付いた。


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