第30話 依頼仲間と悲鳴
進まない、話が(エセ倒置法)
町を出て真っ直ぐ歩くと見えてくる、俺が目覚めた場所でもあある思い出深い森。
そこに村を作っていると言うオーク討伐と、また村の破壊が今回の依頼内容だが。
今日はいつもとは違う気持ちで町の外である草原を歩いている。
なんて言ったって、俺は今1人じゃないからな!
後ろで2人並んで歩く、ルークとロペの姉弟がいる。
どれだけの戦力になるかは分からないが、パーティーで行動するのは初めてだ。
「それじゃ、一応自己紹介でもするかー」
「おとう……ルーク、そんな間の抜けた言い方はしないの!」
ルークは初めて会った時からの印象より少し違う、変にテキトーというか何というか、子供らしくなくて可愛げのない少年だ。
対してロペはルークの世話をするので大変そうではあるが、世話焼きな所がとても好印象。
今日初めて会った2人だが、見ていて微笑ましくつい頬が緩む。
「じゃ、最初は僕から行かせてもらおうか」
俺の中ではテキトーの名をもらってしまったルークの発案により、目的地まで到着す間が自己紹介タイムとなった。
「僕の名前はルーク。儀式魔法というのが得意で、基本は点より面の攻撃をする。後方支援が主だけど、近接が苦手なわけではない。そこは安心してくれ」
ルークの容姿は普通にイケメン。
まだ小学生くらいの身長のくせして、顔はいっちょ前にイケてるメンズだ。
髪は金の短髪、サラッサラしていてイケメンが際立つ。
「儀式魔法、ってなんだ?」
「む? 君は儀式魔法を知らないのか。まぁ、マイナーな魔法だから仕方がない。これのことさ」
ルークはそう言うと、右の手の平に記された魔法陣を見せてくれた。
ヘビが太陽に絡みつく絵を中心として、見たこともない言葉と円で描かれている。
ルーク曰く、魔法陣はただの道具であり、これだけで魔法は発動しないと言う。
「魔法の発動には、儀式を行わなければならない。そのために必要なのが魔法陣と、贄さ」
「贄って、生贄とかのアレ!?」
儀式魔法って結構危ない魔法なんじゃ……。
俺の言葉を聞くと、ルークは吹き出し大声で笑い始めた。
「そんなものはとうの昔に廃止されているよ。確かに大きな儀式には最適だけど、いちいち生贄を用意するのは大変だろう?」
なんだ、少し安心した。
魔法を使うために生き物を殺すシーンなんて見たくないからな。
「僕の場合、魔力を贄として使ってるんだ」
「ん? それじゃあ、普通の魔法と何が違うんだよ」
「それは……これと言って違いはないよ。今はね」
「今は? それってどういう――」
「ほらほら、次はロペお姉ちゃんの番だ」
おおう、はぐらかされてしまった。
何だかルークからはゼキエーレと同じ雰囲気を感じる。
大事な部分を隠して教えてくれない。
ゼキエーレと同じ幼児体型な部分も、似た雰囲気を感じる要因なのかもしれないけれど。
そんなことを考えながら、ロペの自己紹介を聞く。
「私はロペ。おとう……ルークとは違って、精霊魔法が得意です。近接戦闘は苦手なので、いつもは後ろから魔法で援護します。回復もできるので、頼ってくださいね」
ロペはルークと歳の離れたお姉さんといった感じだ。
18、19歳とか、その辺りなんじゃないかな。
髪は肩までしかないが、フワフワとしている。おそらく癖毛なんだろう。
その髪がまたお姉さん気質を際立たせているなぁ。
う~ん、めんこい!
「ん? 精霊魔法?? これまた聞いたことのない魔法だな」
「儀式魔法に次いでマイナーな魔法ですから。精霊魔法はその名の通り、精霊の力を借りて使う魔法です」
「と言うと、もしかして精霊が見えてたり……?」
「はい、しますよ」
マジかよ!?
まさかまさかの精霊キター。
この世界がファンタジーだとは思っていたが、精霊までもが居ると言うのか。
しかし、見えていると言ったロペの視線が明らかに俺の頭上なんだがこれは?
「あの、ロペさん?」
「ロペでいいですよ。何ですか?」
「えっと、俺の頭の上に何かいますかね??」
「あー、はい。精霊が寝てますね」
「寝て……何の精霊ですか?」
「光、と闇っぽいですね。他にも居ますけど」
「え、そんにたくさんいるんですか!?」
「居ますよ。と言うかなんで敬語……」
俺の頭の上ってそんなに寝心地良いのか?
いやでも、普通の髪の毛だぞ。
ルークみたいにサラッサラでも、ロペみたいにフワフワでもない普通の髪。
それ以前に、精霊に好かれるようなことしたっけ?
俺の今までしてきたことと言えば……怪我ぐらいしか思い当たらない。
「なんで、俺の頭なんですかね」
「それは多分、自分と同じニオイがしたんだと思います」
「ニオイ、ですか」
「はい。光の精霊は同じ光の気質を持った人にしか懐きませんし、近付きすらしませんから」
となると、俺は光の気質がある男だということになるが……。
多分ゼキエーレとかが中にいるからそれに反応してるんだろ。
「それじゃ、最後は俺か」
「いや、君のことは大体知ってるから大丈夫だ」
「え、はい?」
流れ的に俺が最後だという事で、ビシッと自己紹介を決めようとしたのだがまさかのストップ。
ルークめ、俺の見せ場まで奪う気かこのイケメン野郎が!
「名前はソウマ、若干17歳のAランク冒険者でイゾア級の魔物を倒した功績あり。剣と盾を持ち、魔法も多少使いこなしている。と言っても、基本属性の火と水しか使えないようだけどね。これじゃ、まだまだAランクとしては力不足かな」
て、的確にして辛辣な俺の自己紹介(ルークver)
Aランクになったと言うのにかなり辛めの評価を受けて、しかもその内容が魔法力のなさを指摘されるという……俺もうタジタジじゃねぇか。
「でも、イゾアを倒したのは評価できる。アレを倒せるのは、人では不可能に近い。1人ではね」
「えぇ!? ひ、1人で倒したんですか!」
「そのようだ。たった1人で、それも魔法もろくに使えない男が倒した。これはかなり話題となっていたな」
「話題って、俺には何も聞かされてないぞ」
「当たり前だろ。僕の情報ルートなんだ。君が知っているわけないじゃないか」
そう言うルークはどや顔の上に人を見下した目で俺を見て来た。
ぶん殴ってやろうかとも思ったが、ロペが話しかけて来たので止めた。
「ルーク、ソウマさん、森が見えてきましたよ」
思い出の地、この森には色々な思い出があって、斬っても切り離せない間柄なんだな。
感慨深いものがあるぜ、なんて言おうとした矢先だ。
「キャー!!」
女性の悲鳴が聞こえた。
それも、森の中からだ。
「ロペ、精霊を飛ばせ。俺は先に行く!」
「あ、ちょっ」
悲鳴を聞くや否や、ルークが魔法を使って森へ突っ走って行った。
その後をロペが追う。
あれ今、口調変わってなかったか?
森に居る女性の安否と、ルークの豹変に戸惑いながらも、俺は2人の後を追った。




