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第22話 隣町の復興

便利スキル炸裂!

正直、これは実用的でほしいスキルです。

 ガラガラガラガラ


 ガタンッ


 ケツ痛ッ


 どうも、俺は今、隣町行きの乗合馬車によって運ばれている最中だ。

 乗合と言っても、俺以外の人は誰もいない。


 崩壊した町に行くなど、まったく誰も思わないことだろうから当たり前だけどな。


 まぁ、そんな誰も思わないことを思うのが俺。

 というか、依頼だから仕方がない面もある。


「しっかし、ガチャガチャとうるさいなこの防具」


 俺は自分の身に着けている鉛色の防具を見つめ、そうぼやく。


 モンタイト戦で身に染みた、防御力の低さ。

 それを補うには、まず防具を着ることだと俺は気が付いたのさ。


 うん、言いたいことは分かる。

 なんで今までそれに気が付かないんだよ、と言いたいんだろ?


 俺だって今思えばエリナが買ってきてくれた着替えの服の状態でモンタイトに、いや、あの時はドラゴンと思っていたか。

 つまり、通常の服でドラゴンに挑もうと思った俺の考えはあまりに間抜けだと思っている。


 でも、結果的に勝ったし良くね?


 それに、あの竜砲は生半可な装備じゃ防ぎきれなかった。

 今着ているこの、なんだっけ……鋼鉄の鎧とか言う名前の防具でも、多分溶かされていただろう。


 結論、あの服は動きやすかったので逆に正解だった。


 うん、そうだ。そういう事にすればいいんだ。


「自己完結したところで、これから向かう町についておさらいしておこう」


 メモ帳を取り出し、隣町についてのメモを読み返す。


 人口は襲来前の段階で約3万人、鍛冶師などが多く、鉄などの鉱石を買って武器や農具にして売ると言った商業が盛んらしい。


 しかし、ドラゴンの襲来によって鍛冶場は半数近くが崩壊。

 再起不能になった鍛冶師一家もあったのだとか。


 また、ドラゴンの襲来によって5000人以上が死亡、1000人以上の重軽傷者を出し、今でも数百人の行方不明者がいる。


 かなり悲惨なことになっているらしく、動ける人間が復興作業しているが瓦礫が多過ぎて再建などは一向に進んでいないらしい。


 他には……教会があるみたいだ。

 ドラゴンの襲撃の避難所になっていたらしく、聖ピューレ教会?という宗教によって建てられてた教会らしい。

 この宗教は十字聖教会に反発しているという情報もある。


 宗教方面はまったくの無知だから良く分からん。


 あとは、特筆すべき情報はないな。


「ふむ、これは大変そうだな。治療の手伝いは無理だが、瓦礫の撤去くらいはできるか」


 ちなみに、情報はすべてエリナに聞いた。


 エリナ曰く、

「きっと隣町へ行かれると思いましたので、事前に情報収集しておきました」

 ということらしい。


 まったく、末恐ろしい侍女だよ。

 俺の行動を先読みしてくるなんて、ちょっとゾッとしたりもした。


「お客さん、町が見えて来たぞー」


「ん? ……え、どこ?」


「あれだよ、あれ。土煙が立ち込めてる、あの場所だよ」


「はぁ? おいおい、マジかよ……あれは、町じゃねぇぞ」


 乗合馬車の御者が指差す先を見ても、そこには町なんてなかった。

 もっとハッキリと言えば、町の形をしたものなどどこにもない。


 あるのは、瓦礫と崩壊した建物のある、ただの荒れ地……もやは、ゴーストタウンに近い。


 この光景を前に、俺はこの依頼を受けたことを後悔した。



 ◆



 町の外から見えていた光景は、町に入っても変わらなかった。


 どこもかしこも瓦礫の山で、時々抉れたような跡があるだけ。


 これがちょっと前まで人が住んでいた町だとは思えなった。


 だが、町の中心部へと歩いていけば、少ない人数でせっせと瓦礫を撤去している人達がいた。

 殆どが男性だったが、女性も炊き出しのようなことをしている。


 俺は彼らに近付き依頼主の話を聞いた。


「おや、こんな町に旅人か? 珍しいな」


「いや、俺は依頼を受けて来た者なんだが……」


「依頼? あぁ、それならアイツだよ」


 男はそう言うと、瓦礫を片手でポイポイと山積みにしてはそれを抱えて運ぶという、人間離れした怪力男を指差した。


 見たところ20代後半のお兄さんとおじさんの中間くらいだ。

 身長は俺よりも高く、190cmはあるだろうか。


 ただそれよりも目につくのは、体中にある火傷の痕と、傷だらけの手だ。


 男に礼を言ってから、俺は依頼主に近付く。


「ちょっといいか?」


「あ? オレになんか用か? 見ての通り、忙しいだが」


 感じ悪いな。

 町が壊されてイライラしているのは分かるけどさ。


「俺は依頼を受けた冒険者だ。依頼主はアンタだろ?」


「あ、おぉそうか。お前が……依頼を受けた冒険者ぁ?」


「なんだ、なんか文句あんのか」


「お前、ランクは?」


「F……じゃなかった。Aだ」


 俺は焔色のカードを見せびらかすように取り出し、男に突き付けながらそう言った。


 カードを見た男は驚きのあまり、持っていた瓦礫を全て足元に落としてしまった。

 その瓦礫は真っ直ぐ男の足に落ち……たのだが、痛がる様子はない。


 この男、体が鋼で出来るんじゃないか?


「あっはっは、こいつは悪いかったな。お前みたいな子供がAランクとは思わなかったんだ!」


「痛いって、背中を叩くな」


「はっはっは、あ? そんなゴツイ鎧着といて、何が痛いってんだよ。あっはっは」


 ゴツイとは失礼な。

 確かに、分厚い鎧ではあるし、動くとガチャガチャ音は鳴るし、暑いし……なんだこの鎧。


「コンニャロー!」


「お? 脱いでいいのか?」


「いいも何も、今回の仕事に鎧だと逆に邪魔だと判断したんだよ……他意はない」


 言い訳がましく俺がそう言うと、男はバツが悪そうな顔をして俺の肩に手を置く。


「その事なんだが、少し事情が変わったんだ」


「それはどういう……?」


「実は近頃、町の至る所で殺人事件が多発しているんだ。しかも、全て同一犯の仕業ときた」


「物騒だな」


「あぁ、全くだ。そこで、町の復興の手伝いを程々にしてもらって、当面は犯人探し兼護衛をしてほしい」


 ようやく理解できた。


 この町を復興させたいという依頼が、人数制限1人っていうのに町に人が少ないのはおかしいと思っていたんだ。


 依頼は町のこともあり、依頼を出すための金が足りなかったんだと思った。


 しかし、町を復興させるという割にはそれに携わる人間の少すぎだ。


 もっと多くてもおかしくないだろ。

 数十人しか働いていなし、女性なんかほんの一握りだ。


 けれど、今の話を聞いた納得したよ。


「町の人間のほとんどが逃げ出したんだな。その、殺人鬼のせいで」


「……よく分かったな。その通りだ。皆、怖くなったんだとよ。仕方ないことだが、そのせいで色々と苦労したもんだ」


 男は、それもこれも殺人鬼のせいだ、と付け加えた。


 その顔には憎しみよりも、疲労と絶望が見て取れた。


 本当に苦労したのだと、顔を見るだけで分かる。


「まぁ、任せとけって。俺はソウマ。アンタは?」


「ソウマか。オレはガワン。よろしくな」


 自己紹介を済ませた後、俺はガワンに連れられ瓦礫撤去を命じられた。

 範囲は広くなかったが、どうにも量は目をそらしたくなる程度にはあっま。


 ガワンが言うには、瓦礫を撤去できるのは一部の人間だけなので1箇所に集めるらしい。


 要するに俺は大量の瓦礫を1人で運ぶ必要がありると。


 ちなみに、撤去方法は魔法で粉にするか、ガワンの拳で砕く。

 そうしてから、他の用途に使うらしい。


 別の用途って何だろう。

 特別な素材でもない限り再利用は不可能だ。


 まぁ、敷き詰めれば砂利道くらいにはなるのかな?


「じゃあ、頼んだぞ。分からないことがあったら俺を訪ねてくれ」


「お、おう……了解」


 目の前の膨大な瓦礫を前にして、任せろとは言えなかった。


 いや、でも待てよ。

 俺には最強の武器があったじゃないか。


異空間倉庫(アイテムボックス)!」


 俺が右手を突き出した叫ぶと、目の前にあった瓦礫は一瞬にして姿を消した。


「ふぅ、仕事終了。しばらく休むか」


 何もなくなった更地の上で、俺はひなたぼっこをして時間を潰すのだった。


 また、たったの数分で瓦礫を撤去した事に驚き、腰を抜かしたガワンが見られるのはすぐ先の未来。

なんでも入るアイテムボックス、ホシィ。

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