第19話 ドラゴンの話をしましょうよ
話は進みません(土下座)
あ、それとそろそろ10万文字へ到達する目処が立ったので……応募しましたv( ̄Д ̄)v イエイ
ギルドのある小部屋。
病人用のベットに寝転がるは、俺。
「なぁ、俺ってドラゴンとタイマン張って左腕の火傷だけという軽傷で帰ってきた男だった。そうだよな、ガフ?」
「あぁ、そうだな」
「なのにさぁ、この有様は何? 傷だらけじゃん」
結果だけ言うと、俺は大けがをした。
エリナのによる暴虐の限りを一身で受けたのだ。
思い出すだけで……涙が出るぜ。
「具体的に言えば、右腕粉砕骨折と左足骨折、その他に多数の打撲ですね」
「おい馬鹿、アメリ。そこまでハッキリと言っちゃあいけないところだぞ」
「え!? そうでしたか?」
アメリまで天然だったとは、思わなかった。
いや、この場合は仕事熱心と言うべきか。
どちらにせよ、俺の心はこれ以上耐えられない。
もはや、あとほんの少しの衝撃が加わっただけであっさりと折れてしまうだろう。
そんな状態だと言うのに、この女は空気を呼んでくれない。
「ソウマ、ドラゴンと単騎で渡り合ったとは思えない体たらくだな。まさか、己の侍女に敗けてしまうとは」
悪気はないし、本当にそう思っているのだと思う。
だからこそ言わせてくれ、リエル黙って、と。
「まぁ、災難だとは思う。お前の侍女2人は帰したから今は安心しろ」
「あはは。ある意味では、これも愛のムチとして受け止めますよ。凄く痛いけど」
「痛いのは体か? それとも心か?」
「黙ってリエル」
「む、分かった……ふんっ」
チクショウ、新種のツンデレさんめが。
頬を膨らましてそっぽを向くんじゃない。
「さて、事務的な話に移るぞ。いいか?」
「事務的なって、ドラゴン討伐の件か」
「そうだ。まず大前提として言っとくと、お前が倒したのは隣町を襲ったドラゴンじゃない」
……What!?
「隣町を襲ったドラゴンは地中を移動し、正反対の場所から現れたもう1体のドラゴンだ」
「え、俺が倒したのは地を這うドラゴンだったぞ! モンタイト=イゾアっていう」
「モンタイト……イゾア……だと?」
俺がドラゴンの名前を言うと、リエルが信じられないと言う顔をした。
それはガフやアメリも同様だったが、リエルが一番表情が硬くなっている。
イゾアと言う名を持つドラゴンはこの世に3匹しかいない。
ゼキエーレに教えてもらった情報だが、イゾアって一体なんなんだ。
リエルは何か知ってそうだけど、固まったままだから何も聞けそうにない。
取り敢えずガフにでも聞いてみるか。
「ガフ、イゾアって一体なんだ?」
「……は? お前、知らずに戦ったのか? あの、イゾアと」
「戦ってる最中にイゾアって教えてもらって、でも戦いを止めることもできずに流れで……倒した」
「流れってお前なぁ。イゾアは竜種最強と呼ばれる魔物だぞ!? それをお前、たった1人でなんて馬鹿か!!」
ガフの叫び声が傷に響くな、イテテ。
「というか、何で1人だったんだ。依頼を断ることは聞いたが、1人で戦うことなど聞いてない!」
「言ってないし、アメリ以外には」
「アメリ!!」
「す、すいません。ソウマさんが自分で話すかと思ったんですが、依頼を断っただけで行ってしまわれたので」
「言い損ねと? ふざけるな! ギルド側が冒険者を危険に晒すなんて事、あってはならないんだぞ!」
「本当にすいません!」
ガフの言い分も分かる。
ギルドは冒険者に仕事を斡旋する場。
その仕事は、依頼の仲介だ。
だからこそ、冒険者が受注する依頼があまりに無謀すぎたり、無意味な物がないか確認する。
それで冒険者が死んでしまっては、ギルドとしても損害にしかならないから。
けれど、それはあまりに優し過ぎるんじゃないのか?
何より冒険者は、自由、なんだろう?
「ガフ、その辺りにしとけよ。アメリは関係ない」
「関係ないなんてことは……!?」
アメリへ向いてしまった矛先を俺へ戻そうと言葉を選んだつもりなのだが、少しばかり怒気が混じってしまった。
なんたって、俺の意思を汲んでくれたアメリが非難されてるんだ。
怒りで力がこもった体からは、モンタイト戦で現れた黒いオーラが溢れ出た。
このオーラを見たガフは言葉を失った。
驚きよりも、もっと強い恐怖の念をガフからは感じる。
「関係ないんだ。今は俺の倒したドラゴンの話だろ。だよな、ガフ」
「あ、あぁ……悪かった」
分かればいいんだと言い、俺はオーラを収めた。
オーラが収まると同時にその場の空気が一気に緩む。
ガフはため息をつき、アメリはその場にへたり込んでしまった。
悪い事したな、と思っているとリエルが口を開いた。
「貴様は何者だ」
「え? だから最初にも言ったけど、俺はお――「そんなことは聞いてない!」――はい?」
二度目の質問だったから同じように答えようとしたら、唐突に会話を被せて否定してきた。
リエルの顔を見れば、今までになく険しい顔だった。
俺を見るその目は、敵を見る目だった。
リエルは俺を、敵として認識している。
「貴様は人間ではないな!」
「いや、いやいや、人間だよ。正真正銘、どこからどう見ても人間だろ?」
「違う、貴様のオーラはまさに……だとしたら、あの話は本当?」
「り、リエルさーん?」
イゾアの名前を出した時からおかしかったが、今のリエルは本気でおかしい。
俺に質問した思いきや、今はブツブツと何かを呟いている。
そして、バッと顔を上げると俺の顔を睨みつけてこう言った。
「いつか、貴様らに打ち勝つ。光は闇に、決して屈しない!」
リエルはそのまま部屋を出て行ってしまった。
その場にいた全員は呆然とした。
突然リエルが意味の分からないことを叫んで部屋を出ていったのだ。
時間が止まったかと思うくらい、しばらくの間シーンとしていた。
そんな状況で最初に動き出したのはアメリだった。
「あ、あの、ソウマさん」
「……なんだ?」
「リエルさんが仰っていた事に心当たりはありますか?」
「ない。リエルとは今日、正確には昨日初めて会ったんだぞ?」
「ですよね……」
ったく、一体なんだって言うんだ。
ただでさえゼキエーレを失った悲しみの上にエリナの拷問が効いてるっていうのに、今度は初対面の女性から敵対宣言……。
「ドラゴンの件は再度検討するとして、お前はおそらくBランク以上に格上げされるだろう。心の準備をしとけ」
ガフはそう言って部屋から出ていった。
アメリもその後を追う。
結局、この場はこうしてお開きとなった。
ドラゴンとの戦いが終わり、やっと気持ちが落ち着くと思ったらこの有様だ。
俺はもしかして不運体質なのか?
いや、不運な奴が異世界に転生できるわけがない。
俺は幸運なはず、なんだけどなぁ。
「ままならないな。どこ世界も」
◆
「まさか、そんなことが……!」
私は焦っていた。
あのソウマという男を始めてみた時の邪気オーラを思い出しながら。
邪気、それは魔の一族が代々受け継いできた力。
我々とは正反対の性質を持ち、破壊や浸食を司る。
もちろん、人間には扱える代物ではない。
人間が触れれば一気に精神を汚染され、体が蝕まれ、簡単に死んでしまう。
人体には猛毒となるはずの邪気を、あの男は息をするように出した。
それに加え、あのオーラは非常にマズイ。
上から聞いていた魔王再誕の話に信憑性が増してくる。
「くっ、本当に君なのか……ルシファー」
かつて肩を並べ任務こなした旧友を思い浮かべる。
あの時の彼は本当に優秀で、私なんて足下に及ばなかったのに、仲良くしてくれた友人。
そんな彼が魔界で魔王になるなんて……信じられなかった、信じたくなかったのだ。
それでも、あの邪悪なオーラの中から感じ取ってしまった。
懐かしくも、醜く変わってしまった旧友の気配を。
「覚悟を決めるさ。ルシファー、君は私が止める!」
この、大天使ガブリエルの名に懸けて!!
ガブリエルは単純すぎたか……。
次回は小話です。




