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第13話 大地の竜①

タイトルがいつもと違う、だと?

大地の竜編の可能性微レ存

チュンチュン


朝、目を覚ますと、窓から射す日の光と共に鳥の鳴き声が聞こえた。

スズメではなく、見たこともない鳥だったが気にすることでもない。


覚醒しきってない状態ではあるが、ベットから体を起こし伸びをする。

それと同時に違和感を覚えた。

己の左右に、何者かの気配!


見れば、右にエリナ、左にクレアが俺に密着するようにして眠っていた。

天使のような寝顔だ。エリナに至っては、猫のように丸まって寝ている。

お前、犬じゃないんか。猫か何かなのか?


『モテ男は辛いねぇ』


俺が美少女2人の寝顔を鑑賞していると、ゼキエーレがそんな茶々を入れて来た。


モテ男?

俺が一体、いつ、誰にモテたというんだ。

茶化すならもう少し意味の分かりやすいものにしてくれ。


『気付いてないとは言わせないぞ。そこの2人。確実に、お前へ好意を寄せている』


……知ってた。

気付かないフリをしていたんじゃない。

ただ、どうしてこの2人が俺を好いてくれているのか理解できなかったんだ。

だから、実感が湧かなかった。

侍女になりたいとか、見知らぬ初対面の男に行ってきたんだ。鈍感じゃない俺なら一発で分かる。


『お前はこの世界の生まれじゃないからな。分からないのも無理はない。お前のいた世界ではどうか知らないが、ここでは強い男はモテるんだ。強ければ強いほど、顔とか関係なくモテる!』


おい、なんで顔とか関係ないって言った。しかも、かなり強調したな!?

まさかお前、俺がブサイクだとでも言いたいのか?


『ブサイクだって? ふっ、鏡を見てみろ。お前は十分すぎる程のものをもっている。誇ってもいいくらいのな』


なんだって?

自分で言っておいてなんだけど、俺って相当なフツメンだった気がするんだが。

イケメンとは程遠い、中の下くらいの。


『私の魂と融合し、生まれたお前がブサイクなわけないだろ。フツメンなんて以ての外だ。私の魂を受け継いだのだ。イケメンとまでは行かなとも、それなりに顔立ちが整っているのは当たり前だ』


何という自画自賛。

ここまで来ると逆に反論する気も失せる。

それよりも、遠回しに元の俺がブサイクだと言われている気がしてとてもムカツク。


「あっそ……そんなことより、2人が起きる前に退散するか」


『そ、そんなこと?』


ゼキエーレは俺が自分を軽視していることに不満をタラタラと言ってくる。

が、俺はそれを無視してベットからゆっくり抜け出す。

その動きに合わせてエリナが俺の服を掴んだ。


な、なにをするだー!

これ以上俺のメンタルを削るんじゃあない。

理性には限りがあるんだぞ、こんちくしょう。


エリナの手をそっと服から引き剥がし、脱出する。

かと思いきや、残念伏兵だ。

今度はクレアが抱きついて来た!

これには思わず手が出そうになったが、なんとか欲望を抑え込みベットから逃げるようにして出た。


その後、身支度を済ませるために部屋を出る。

もちろん、2人の寝顔を記憶に焼き付けてから。


部屋から出て洗面器を探したが、それっぽいものがない。

あるのは、桶、ただひとつ。

俺はそれを手に取り、中に水を入れようと魔法を使った。

しかし、勢いよく放たれたウォーターボールは桶にぶち当たり爆発四散。

桶を粉々にした上に、床を水浸しにするだけに終わった。


「え、なんでだ。水が欲しかっただけだぞ」


『あぁ、それは魔法のチョイスミスだ。水魔法は攻撃用の水しか出せない。もしも、顔を洗いたいなら生活魔法を取るんだな』


何故、それを先に言わない!

おかげでマイホームが2日目にして早速濡れたぞこの野郎!


『聞かれなかったからな』


恨みがましく、それでいて清々しくゼキエーレはそうほざいた。

どうせ、俺がこいつの話を「そんなこと」呼ばわりした事への仕返しだろうな。

神様で、しかも最高神とかいう想像もできない地位についてるくせに、器の小さいヤツめ。


おっと、気持ちを切り替えよう。

偽神への愚痴は、水浸しとなった床を拭いてからでも遅くはない。


俺はゼキエーレとのことを忘れ、無心となって床を拭いた。

幸いなことに、必要最低限の物は家に備え付けられていたので、掃除も簡単にならできる。

まぁ、しないんだけどね。


床を拭き終わったところで、ちょうど2人が起きて来た。


「おはようございます……」


「おひゃよう…ふあ〜…ございます」


2人とも大変眠そうだ。

エリナは目を開けているが、耳がヘタっている。

そこから眠いオーラを感じる。

クレアは完全に寝ぼけている様子。

眠い目を擦る仕草がかわゆい。


「おはよう。俺は朝食を食べに行くつもりだけど、2人はどうしたい?」


「もしよろしければ、私がお作りいたしましょうか?」


「お、それはいいな。でも、材料がないな……買いに行くか」


「お伴します」


初めて言葉を交わした時もだったが、相変わらずエリナはいかにも侍女って雰囲気があるな。

感情を表に出さないところが、仕事できますよと言われているようだ。

それに対してクレアは……はぁ。


「朝食、朝食……食べまぁす」


未だに寝ぼけていた。





エリナが朝食を作ってくれるということで、俺たちは家から出て買い物に来ている。

場所は朝市、多くの露店が立ち並ぶところだ。


材料を買う前にエリナから食べたい物を聞かれてた。

俺としては美少女の手料理と言うだけでお腹いっぱい胸いっぱいなのだが、ここは敢えて卵焼きと答えた。

すると、続いて好きな食べ物や嫌いな食べ物を聞かれ、最終的に好きな女性タイプまで聞かれた。


この娘、どさくさに紛れて質問攻めとは、できる!


ちなみに、クレアは目玉焼きとパンが食べたいと答えた。

聞かれてもないのに。


「それでは行ってまいります」


「おう、行ってらっしゃい。渡した金は使い切ってもいいからな」


「畏まりました」


エリナの後ろ姿を眺めながら、隣に立つクレアをつつく。


「あうっ……ね、寝てませんですよ?」


「語尾が変だぞ」


「うぅ……朝は弱いんです。ごめんなさい」


謝らせるつもりはなかった。

ただ、道端で立って寝るのは危険極まりないと思い起こしただけだったのだ。

しかし、これで反省して気を付けるようにな…ってないねぇ。


「すやぁ……」


「起きろぉ!!」


「ひゃあ!?」


ったく、油断も隙もない。

朝はできるだけ家に居させよう。

クレアの仕事は昼から夜にかけてに決定だ。

早朝は不可能だと分かった。

というか、危険だからやらせたくない。


2人の仕事振り分けを考えながら、クレアを引っ張って帰ろうとした時だった。

魚を売っている店の前で、奥様方が何やら面白そうなことを話していた。


「聞きましたか?」


「何をです?」


「最近、隣町を襲った魔物のことですよ」


「あら、そんなことが?」


「それ、私も聞きました。なんでも、地を這うドラゴンなんだとか!」


「まぁ! ドラゴンなんてAランク相当の魔物じゃなですか」


「万が一、この町に来たら……」


「早く討伐されることを願うばかりですね」


「そうそう、先程あそこのお店で半額セールが――」


奥様方は話題を変えて話を続けた。

話題を変えたのは、重い空気に耐えられなかったのだろう。


それにしても、地を這うドラゴン、か。

ドラゴンと聞くと、自然に空を飛び回る赤いトカゲを思い浮かべてしまうものだが。


『ドラゴンには翼のない種類もいるんだ。地竜と言ったところか。空を飛ぶやつは飛竜と言ったりもするぞ』


言われてみれば、地竜は聞き覚えのある名前だ。

翼がなくたって、結局はドラゴンか。


「ギルドで詳しい話が聞けるかもな……」


「ふぇ?」


「なんでもない。とりあえず俺らは帰るぞ」


「は〜い」

何の変哲もない異世界って、何だろう(哲学)

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