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欠月歩行  作者: 山田 信 (ヤマダ シノ)
第1章 新月編
3/8

1-2 「答えを求めて」(リライト前)

 家を飛び出て十数分。

 私こと山神美月は数日ぶりに慣れ親しんだ母校との対面を果たした。

 いや、正しくは、

「数年ぶり、か。」

 あのニュースキャスターの衝撃カミングアウトを聞いた後、信じられずに電話で時報を聞いてもみたが、

「現在の時刻は2016年9月16日8時12分18秒です」

 と合成音声がはっきり断言した。

 よって現在が私の一番新しい記憶から2年後であることが証明されてしまった。

「どんな怪談話だっての。」

 だが弱音を吐いてもいられない。まずは自分の置かれている状況を把握しなくては。

 なぜここ2年間のことを覚えていなかったのか、

 考えられる可能性は2つだ。


 1. 2年間意識を失っていた

 2. 記憶喪失


 どちらの説も浮世離れしているにもほどがあるが、それ以外にまともな案が思い浮かぶこともない。ゆえに、この2つのうち、どちらが有力な説かを調べることから始めようという考えに至った。

 そこで、学校である。

 仮に自分が2年間意識不明の寝たきりだったのなら、当然留年で学校の名簿に2年生として山神美月の名前が載っているはずだ。

 そうなれば2の可能性はかなり薄まる。

「よし、いこう。」

 1つ気合をいれると背筋を伸ばして校舎に足を踏み入れる。


 校内は2年経ったとは思えないくらい何も変わっていなかった。強いていえば昇降口の掲示板に貼られているポスターが新しくなっていることくらいだ。

 自分の下駄箱を探すが、やはりなくなっていた。だがこれではまだ証拠不十分だ。知り合いがいれば話が早いのだが。

「あ。」

 そうだ。職員室なら誰かいるのではないか?

 早速職員室に向かう。職員室までの道のりを間違うことなく進めていることに少し安心しながら、無事入口に到着。しかしここで気づいたことがある。

 1つは今日が9月16日なので普通に授業日であること。

 もう1つは今の時間だと授業のために先生たちが出払っているであろうことだ。

だがそう気づく前に力強くノックしてしまっていた。仕方ないので、現役時代の個人情報を垂れ流す。

「2年3組山神美月です。八橋(やつはし)先生に提出物を出しにきました。」

 八橋菖蒲(やつはしあやめ)

私のクラスの担任で、担当教科は保健だったはず。ほとんどの時間を職員室で過ごす暇人だったので、2年経った今でもいるのではという期待も込めて呼んでみたのだ。

 すると案の定、聞き覚えのある鈴のような声が返ってきた。





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