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姉との別れ


 モリガン・カンパニーには、そもそも懲罰部隊という部隊は存在しなかった。


 最近は軍拡にも力を入れ始めたモリガン・カンパニーだが、その世界規模の超巨大企業を支えるのは、身分や種族での差別が当たり前なこの世界から置き去りにされた労働者たち。企業の原動力はそんな彼らの奉仕と、自分たちを捨てた世界を見返してやろうという気持ちだった。リキヤたちはあくまで、そんな彼らにチャンスを与える代わりに力を借りようと思ったに過ぎない。


 そんな大きなチャンスを与えてくれた〝魔王”に、泥を塗ろうとするような輩は1人もいなかったのである。もし仮にいたとしても、警備分野の社員や戦闘部隊の兵士たちの厳重な監視の下で処分されることになっている。


 そのような処分方法があったため、このような部隊を編成する意味はなかったのだ。しかし、そのような処分で貴重な人材を失うダメージは大きい。そのために彼らにさらなるチャンスを与えるべきという意見を反映し、懲罰部隊が発足することとなった。つまりこの懲罰部隊は、新しく創設された部隊なのである。


 部隊を構成するのは何かしらの罪を犯したか、命令違反などの規律を破った社員たち。与えられる装備は戦闘部隊とは変わらないが、彼らの背後には『督戦隊』と呼ばれる部隊も控えているのが通常の部隊との大きな違いだろう。


 督戦隊の任務は、最前線へと向かう懲罰部隊の移送や監視。もしそのまま規律を破ろうとする者がいれば即座に射殺し、装備品や情報の外部流出を防ぐという役割もある。それだけならばかつてのソ連軍の督戦隊と変わらないが、モリガン・カンパニーの督戦隊には、『必要に応じた懲罰部隊の隊員のサポート』という任務もある。敵の集中砲火で苦しめられているのならば戦闘ヘリの機関砲で敵を薙ぎ払い、生き残った兵士には補給品や弾薬を補給し、彼らの肉体的な疲労の軽減や精神面の摩耗を防ぐのだ。


 現時点で、その督戦隊を率いるのはリキヤたちが手塩にかけて育てた、世界初のホムンクルスであるリディア・フランケンシュタイン。銃を多用するモリガンの関係者の中では珍しく銃を使わず、日本刀のみで戦う猛者の1人である。彼女と配下の少数の兵士で、督戦隊を構成するのである。


 そしてリディア率いる督戦隊が監視する懲罰部隊は――――――――現時点では、ラウラ・ハヤカワただ1人。


「……………」


 スコープを取り外し、代わりに古めかしいタンジェントサイトを取り付けられたアンチマテリアルライフルを構えていた少女は、その照準器の向こうで紅い液体が飛び散ったのを確認してから息を吐き、素早い手つきでボルトハンドルを引いた。


 エジェクション・ポートから華奢な彼女の指よりも太い空の薬莢が飛び出し、煙と熱を纏いながら地面に転がる。キン、という小さな音が、役目を終えた薬莢の最後の音色だ。


 今まで何度も聞いた音だ。相手に向け、自分自身の殺意を放った音。そしてそれが命中し、標的の命を奪った音。幼少の頃から動物や魔物を相手にした際に聞いている音だから、銃声だけでなく、ボルトハンドルを引く際に生じる音や薬莢が転がる音も、すべて彼女自身の鼓膜に焼き付いている。


 けれども、今ばかりは全てが違う感覚のように思えた。


 今までならば、隣で戦果を褒めてくれる最愛の弟がいた。戦いを終えて傍らに戻れば、怪我はないか心配して駆け寄ってくれるパートナーもいた筈だ。なのに今の彼女の隣には、誰もいない。左利きの彼女の隣にあるのは、地面の上に転がった空の薬莢だけである。


 誰もいない。――――――――今の彼女は、1人だ。


(あの子がいないだけで、こんなに感覚が違うのね……………)


 戦果をあげても、嬉しくない。彼女の見つめる1.2km先には、胸から上を14.5mm弾に食い破られた転生者の死体が転がっているというのに。幼少の頃から今までに何度も感じた、遠距離の標的を仕留めたという達成感は全然感じない。


 隕石が落下したクレーターにスコップでなけなしの土を放り込んでも、その大き過ぎる穴が埋まることはない。時間をかけて土を放り込んでいけばいずれは穴は埋まるだろうが、それまでに一体どれだけの転生者が彼女の餌食になるのだろうか。


 もし仮に、隣に〝彼”がいれば―――――――――どんなに大きな穴でも、一瞬で埋まってしまうことだろう。


 その少年にはそういう力がある。最愛の少年と離れ離れにされラウラはそれを痛感していた。


 ひとまず仕事を終えたアンチマテリアルライフルを拾い上げ、バイポットを折り畳んでから背中に背負う。念のためもう一度物陰に隠れ、彼女の特徴でもある頭の中のメロン体から超音波を放出して周囲を索敵し、敵の伏兵がいないことを確認してから移動を開始する。


 エコーロケーションで索敵済みとはいえ、敵がエコーロケーションを探知して何かしらの対策をしていたり、地形の中に上手く溶け込んでいれば彼女の索敵は何の意味もない。念のために装備してきたPPK-12を構えて周囲を警戒しつつ、後方で待機している督戦隊の元へと急ぐ。


 彼女が先ほど使用していたアンチマテリアルライフルは、ロシア製アンチマテリアルライフルの『KSVK』と呼ばれるライフルである。命中精度に優れるボルトアクション式となっており、更に銃身が長く小回りが利かない傾向にあるアンチマテリアルライフルの欠点をブルパップ式というもう1つの特徴が緩和してくれているため、タクヤが愛用するOSV-96と比べると扱い易い。更にロシア製の武器の特徴である堅牢さも兼ね備えているため、信頼性も極めて高い。


 ラウラのために施されていたカスタマイズは、使用弾薬を12.7mm弾からより大口径の14.5mm弾に変更していた事と、銃身をやや伸ばして射程距離を2kmまで伸ばし、底上げを図っている事と、左利きのラウラのためにボルトハンドルをはじめとするあらゆる部品を左右逆にした事の3点だ。これによりレベルの高い転生者の防御力を上回る貫通力で撃ち抜くことが期待できるし、長い射程距離は彼女の技術を更に生かしてくれる。自分の姉のことをよく分かっているからこそできるカスタマイズである。


 自宅で謹慎処分となっているタクヤがラウラに届けるようにと督戦隊に預けたライフルは、しっかりとラウラの元へと送り届けられ、こうして実戦で早くも戦果をあげていた。


 警戒しながら廃墟となった村の外側へと進んでいくと、そこに漆黒に塗装された汎用ヘリのカサートカが鎮座していた。機種の右側には首輪を付けられ、両腕を手枷で束縛された人狼のエンブレムが描かれており、ラウラが身に纏うより軍服に近いデザインの制服の左肩にも、同じエンブレムが縫い付けられている。


 その束縛された人狼が、懲罰部隊のエンブレムである。


「お帰りなさい、同志ラウラ」


「ただいま。……………次のミッションは?」


 ヘリの傍らで機体の整備をしていた督戦隊の隊員に声をかけられた彼女は、まだ若い隊員が差し出した紅茶入りの水筒を受け取りながら問いかけた。


「落ち着いてください。もう今日で6つもミッションを受けているんです。しかも全員転生者が相手だったんですよ? そろそろ休むべきです」


「いえ、すぐに出撃よ。準備して」


「しかし……………無理し過ぎです」


「構わないわ。これが私への罰ならば、苦しまなければ意味がないもの」


 弟のためとはいえ、まだ何の罪もなかった少女を個人的な理由で惨殺してしまったのだ。贖罪を終えて仲間の元に戻るまでに楽をしていたら、きっと仲間たちや殺してしまったレナは許してくれないだろう。


 それゆえに、限界まで自分を摩耗させる。今の自分は罰を受けているのだから。


 鮮血を思わせる紅い瞳に見据えられた隊員が、コクピットで待機するパイロットに向けて肩をすくめた。この少女を止めるのは無理だろう、というサインらしい。


「……………分かりました。次のミッションも転生者の討伐です。しかも6名ほどのグループで盗賊の真似事をしているとか」


「そう。……………KSVK(この銃)のマガジンが丁度空になる人数ね」


 KSVKのマガジンは、ラウラのためのカスタマイズで14.5mm弾に変更されたために大型化してしまっているが、内部の弾数はオリジナルと同じく5発となっている。それに最初に装填されている1発を加えれば、次のミッションで彼女の標的となる転生者たちはちょうどその弾丸で始末できる。


 懲罰部隊へ入隊する際に短くした赤毛に触れながら、彼女はカサートカの兵員室へと乗り込んだ。タクヤから貰ったプレゼントのリボンは結んでいないが、大切なリボンはちゃんと制服のポケットの中にしまってある。


 兵員室の椅子に腰を下ろし、背負っていたKSVKを傍らのケースに収めていると、向かい側に座っていたリディアが髪を切ったラウラを興味深そうに見つめていた。髪を短くしたとはいえ、元々長かった赤毛をセミロングくらいの長さに切っただけである。その髪型がちょうど自分と似ていることに気付いたのか、リディアは自分の紫色の髪を触れながら微笑んでいた。


 おそろいだ、と言いたいのだろうか。リディアは言葉を全然発しない割には感情豊かなので、彼女がこちらに何を伝えたいのかまだラウラは分からない。


「そうね、おそろいだわ」


 今の返答で合っていたのだろうかと思いつつ、ラウラは兵員室の窓から後ろの方に広がる夜景を見つめた。


 その夜景の正体は―――――――タクヤが謹慎されている、サン・クヴァントの街並みだった。












「――――――――正気か?」


 目の前にいる男の命令に思わずそんな返事を返してしまいながら、俺は机の向こうにいる赤毛の男がなんと言うか予測していた。どうせ「ああ、正気だ」って返してくるんだろう。幼少の頃からこの男に鍛えられたし、こんなやり取りも何度かあったから予想はつくのだ。


「ああ、正気だ」


 ほら。


 こうやって、何度も辛い訓練を経験してきた。屋根の上をラウラと一緒に駆け回り、親父から逃げ回る鬼ごっこや親父たちと戦う模擬戦。俺たちが成長するにつれてどんどん条件が厳しくなっていき、15歳の頃の鬼ごっこはまるで強制収容所から逃げ出した捕虜と、それを追跡して射殺しようとする警備兵のような、ちょっとばかり物騒な〝鬼ごっこ”と化した。


 しかもあの時の親父は、ご丁寧に第二次世界大戦中のドイツ兵のコスプレをして追いかけてきたのである。オリーブグリーンの軍服とヘルメットをかぶり、腰にスコップを下げながら、MP40を手に持って追いかけてきた親父はマジで強制収容所から逃げ出した捕虜を始末するために派遣されたドイツ兵のようだった。……………当たり前だが、当時のドイツ兵はそんな装備で屋根の上に飛び乗って駆け回ったりしない。そんな身体能力のドイツ兵が相手だったら、今頃アメリカやロシアは敗戦国という汚名を押し付けられていたことだろう。


 ラウラは笑いながら逃げ回っていたが、俺にとってあの光景はちょっとしたトラウマである。ドイツ兵があんなに怖いなんて思ったことは一度もない。


「無茶だ。シュタージにはまだ危険すぎる」


「安心しろ。こちらの諜報部隊も派遣する」


 ラウラの処分決定から3日が経過し、そろそろ支度をしてカルガニスタンへと戻ろうとしていた俺に親父が言い渡した命令は、無茶としか言いようがない任務であった。


 吸血鬼の総本山となっているヴリシア帝国の帝都サン・クヴァントに―――――――――シュタージを潜入させ、敵の戦力を偵察させろというのである。


 確かにそういった作戦を想定して編成されたのが、テンプル騎士団の諜報活動を担当するシュタージだ。敵の拠点に潜入して情報を収集したり、敵に嘘の情報を流して実働部隊を支援するのがシュタージの本来の役割。俺たちと一緒に戦車に乗り、敵を蹂躙するのはあくまでも副業でしかない。


 だが―――――――――シュタージは、まだ本格的な諜報部隊として機能しているとは言い難い。


 錬度は高いが、問題は新たに配属されたノエルだ。彼女は諜報活動というよりは暗殺を重視した訓練を受けており、場合によってはシュタージにとっての〝矛”となり得る逸材だが、まだ実戦を経験した回数が少な過ぎる。


 それに、クランが率いるシュタージにも、そんな危険な任務を命じるのはこれが初めてだ。優秀な転生者ばかりで構成された諜報部隊とはいえ、いきなり転生者を上回る戦闘力を持つ吸血鬼の総本山に、たった5名だけで潜入しろというのは無謀すぎる。


 第一、現地でモリガン・カンパニー側の諜報部隊とちゃんと連携が取れるかも分からない。あまりにも錬度に差があり過ぎれば、仲間の足を引っ張る羽目になってしまうからだ。


「軍拡はもう十分だ。今度の作戦には、100隻以上の駆逐艦や空母が投入される。もちろん、航空部隊もな。陸海空の兵力をすべて投入した本格攻撃だ」


「帝都の住民は?」


「事前にこちらから、吸血鬼殲滅のために退去するよう通告してある。……………21年前のレリエルとの戦い以来、向こうは俺たちに信頼を寄せてくれているようでね。当時の騎士団長宛に手紙を書いたら、すぐに住民を退去させるように手配してくれたよ。とはいえいきなりすべての住民を退去させれば吸血鬼に察知されるから、退去開始は来月の下旬にしたらしい」


 人間は、吸血鬼たちにとって食料だ。彼らはあらゆる生物の血を吸うことで空腹感を消し去り、栄養を吸収する。しかし吸血鬼が最も好むのは、あくまでも人類の血だ。


 今の状態のままでそんな大規模な兵力を投入した攻撃を行えば、多くの帝都の住民が犠牲になるのは言うまでもない。しかも通告もなしにそんなことをすれば、この世界で最強の国家と言われているオルトバルカとヴリシアの戦争が始まってしまう可能性もある。


「同志タクヤチョフ。帝都サン・クヴァントに諜報部隊を派遣し、敵の戦力を探れ」


「……………了解です、同志リキノフ。シュタージにはそう命令いたします」


「よろしい」


 俺は反論せずにそう言うと、敬礼しながら「では、タンプル搭に戻ります」と言い残して会議室を後にした。分厚いブラウンの扉を閉めて、警備していた重装備の警備兵から護身用のS&WM500を受け取ってから踵を返す。


 3日間も自宅で謹慎処分になってしまったため、ナタリアたちは心配している事だろう。念のため彼女たちには、無線で3日間ほど王都に滞在していくことと、ラウラは王都で親父から訓練を受けることになったため、しばらくタンプル搭には戻れなくなったという事を伝えておいた。


 いくらなんでも、仲間に「ラウラが懲罰部隊に入隊させられた」と言うわけにはいかない。復帰した後に問題になる可能性もある。


 さて、これからお姉ちゃんのいない生活か。…………なんだか、慣れそうにない。自室で食事を間違って2人分作ってしまいそうである。


 本社の建物を後にし、ヘリポートに向かう。3日間も出しっ放しにしている間に整備員が整備してくれたのか、俺とラウラが乗ってきたカサートカは砂の汚れを落とされたピカピカの状態でヘリポートに待機していた。


 整備兵に敬礼し、コクピットに乗り込む。燃料計をチェックし、補給してあることを確認した俺は、エンジンを始動させて離陸許可を待つ。


 これから俺は、1人でタンプル搭に帰らなければならない。しばらく俺の隣には、誰もいない。1人だけだ。どれだけ戦果をあげても、褒めてくれるパートナーがいない。


 いつも隣にいてくれた優しいお姉ちゃんがいないと考えるだけで、心が折れそうになる。果たして今夜は、ベッドで無事に眠ることができるのだろうか。


『こちら管制塔。アルファ1の離陸を許可します』


了解ダー、同志。これより離陸する」


了解ダー。魔物の目撃情報はなし。ご安心を』


「Спасибо(どうも)」


 見送ってくれる整備員に敬礼しつつ、俺はカサートカを上昇させた。メインローターが生み出す風圧がヘリポートから広がっていき、整備用のコンテナを保護しているテントを揺らしていく。


 少なくとも、ラウラがヴリシア侵攻作戦までに復帰してくれることを祈りながら、タンプル搭の方角へと向かって飛んでいく。瞬く間に中世のヨーロッパの城を思わせるモリガン・カンパニー本社が小さくなっていき、産業革命で発展した王都の街並みが広がる。


 街中に蒸気を巻きながら走り去っていく機関車たち。舗装された道路を進む数多の馬車。歩道をぞろぞろと歩いていく住民や冒険者たちと、露店に所狭しと並べられた売り物の数々。


 すべて、幼少の頃から見慣れた光景だ。けれども近くに彼女がいないだけで、全く知らない街の光景に思える。


 さようなら、ラウラ。


 みんなと一緒に待ってるから、早く帰って来いよ。


 魔物の侵攻を防ぐための防壁の上を通過しようとしたその時―――――――――真っ白な防壁の上に、見慣れた人影が立っているのが見えた。


 防壁の上には見張りの騎士たちが駐留しているのが当たり前だけど、彼らは真っ赤な制服を身に纏っているからすぐに判別できる。しかしその見覚えのある人影は真っ黒な制服を身に着けていて、いくらか短くなっているけれど赤毛だったから、すぐに見分けがついた。


 大人びた容姿と、炎を思わせる赤毛。そして背中に背負っているのは――――――――督戦隊に預けた、ラウラ用のKSVK。


 ――――――――ラウラだ。


「ラウラ…………?」


 てっきり、今頃ミッションに行っているのかと思った。けれども今の彼女は任務中と言うわけではなさそうだ。


 すると、防壁の上にいる彼女がこっちに向かって手を振ってくれた。上空を数秒で飛び去ってしまうヘリに向かって、何かを叫びながら手を振ってくれている。


「あ…………ああ……………!」


 今すぐ高度を落とし、彼女を連れて帰りたい。


 操縦桿を倒してしまおうかと思ったけれど、そうしようとした衝動をすぐに抑え込んだ。彼女は今、罰を受けている。そしてこれから味わうことになる孤独感は、俺にとっての罰だ。だからここで彼女を連れ帰ればその罰が無意味になる。


 ラウラのためにならない。そう思うと、先ほど俺の中を支配しかけていた衝動は徐々に消えていった。


 俺にできることは、彼女の帰りを待ち続ける事。


 彼女を嫁にするって決めたのだ。彼女が贖罪を終えて帰ってくるまで、俺はずっと待ち続けるべきだ。


「ずっと………待ってるからな…………!」


 年老いてしまっても、待ってる。


 もし仮に帰ってくる前に老衰で死んでしまっても、成仏せずにずっと待ってる。


 だから―――絶対に帰ってこい。


「待ってるからな、ラウラ……!」


 きっと帰ってきてくれる。


 そうしたら、彼女にたくさん甘えよう。またみんなで冒険する時を思い浮かべながら、俺は涙を拭い去ってタンプル搭へと飛び去って行った。



 



 

正直に言うと、リディアは結構書き辛いですwww

何しろセリフがありませんから、他のキャラと違って心理描写とか仕草だけで表現しなきゃいけないので……………。キャラを考えているときは面白そうだと思って喋らないキャラにしたんですけど、自分でハードルを上げてしまったことをちょっとだけ後悔してます(笑)

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