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第一話 メグ視点 「出会い」

朝、目が覚めるといつもより太陽が高い気がした。


 まだ重いまぶたを持ち上げ部屋のクローゼットを開ける。

 制服を取り出し、パジャマを脱ぐ。先日買ったお気に入りのパジャマだ。


 スカートを履きシャツを羽織る。ボタンを留めながらふと時計を見ると8時15分を指していた。




 うちの学校の始業は8時40分。

 そして家から学校までの距離は約2キロ。道を挟んだ向こうの区画から自転車通学が許可される何とも言えない場所に家がある。


 いつもなら7時45分に家を出る。余裕を持って登校しているのに気づけば30分も過ぎていた。


 階下に降りると母さんがのんびりテレビを見ていた。


「お母さん!なんで起こしてくれなかったの!」

「あらメグ。私は何度も起こしたのよ。でも全然起きなかったからゆっくり寝させてあげようと思って。」

「起こすなら、起きるまで起こしてよ!」


 母さんは何も悪くない。でも、芝居掛かったあの言い方につい八つ当たりをしてしまう。


 朝ごはんを食べていく暇なんてないからテーブルにあったパンだけを持って家を出る。




 きっと私が世界の主人公ならここで運命の出会いでもあってもいいのだろうが、あいにく私はモテた試しがない。だから全力で学校へ向かう。


 途中自販機買ったお茶でパンを流し込みながら走る。

 何度もむせながらおおよそ乙女とは思えない登校の仕方で学校の正門まであと少しとなった。


 ゴールが近づいて気が緩んできた。どうせなら少しでもラブコメっぽくしてみよう。

 そうでもしなきゃ割に合わないと思う。


「遅刻ちこくー」

 少し茶目っ気を持たせて乙女っぽく言ってみる。

 すぐにさっきまでの道のりを思い出し後悔した。



 学校の敷地は通りの道に接しているが正門はT字路を曲がってから10メートルくらいのところにある。

 後悔している間に曲がり角まで来ていた。角を曲がろうとした途端体に衝撃が走った。


「キャッ」


 尻餅をついてしまった。お尻が痛い。


 顔を上げるとうちの学校の制服を着崩してあたかも不良という出で立ちの男がこっちを見下ろしていた。自転車にまたがりながら。


 そのまま不良少年は何も言わず正門をくぐっていった。


 ちょっと待って。私自転車とぶつかったの。それで自転車のやつは何も言わないってどゆこと。

 手をついて立ち上がり私の心には怒りが支配する。怒り心頭です。




 なにはともあれ教室についたのは始業3分前だった。

 相変わらず教室の後ろでは男子が騒がしくワイワイしている。

 早く席着け。3分前行動を習わなかったのか。なんて今来た私が言える訳もないか。


「あっ。リュウくんおはよ」


 席に着いて幼馴染のリュウくんこと龍之介に話しかける。


「おはようメグ。聞いたか今日転校生が来るんだって。」

「そんなことより聞いてよリュウくん。」

「そんなことって・・・」


 今日正門前で自転車とぶつかったことをリュウくんに話した。


「すごくない!自転車とぶつかったのに私無傷だよ。」

「そこかよ。」


 ホントすごいと思う。将来はスタントマンかな。

 冗談です。


 リュウくん話していると先生が教室に入ってきた。

 直後に始業のチャイムが鳴る。先生スゲェ。


「おい、後ろで騒いでる奴ら。さっさと席付け。連絡多いから早くしろ。」


 なんだろう。今日は行事なんかなかったと思うけど。




 「知っているだろうがこの学校の転入方法は直近の定期考査を受け総合結果が学年の半分以上且つその学年が定員割れしていることだ。」


 初めて知った。


 「そして今日条件をクリアした転校生がくる。」


 この学年定員割れしてたんだ。初めて知った。あれここそんなに田舎だっけ。


 「さぁ。入ってこい。」


 先生が教室のドアを開け転校生を手招きした。

 うちの学校の制服を着崩してあたかも不良という出で立ちの男が教室に入ってくる。

 どこかで見たことあるやつだ。今朝見た気がする。



 「あんた、あの時の!!!」


 というより正門前でぶつかってきたあの時のやつだ。


 「ちっ。」


 不良少年が舌打ちする。

 教室がまた騒がしくなった。





 こうして不良転校生”剛 武”は出会ったのである。


 私は認めない。こんなやつとのラブコメなんて!!




★つづけ!!

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