見知らぬ廃村
二話です。この小説、書き換え前提です
どんよりと曇った空。じめじめと湿気た空気。そして、雑多に並ぶ廃屋の群れ。この風景……廃村か何か、なのだろうか? しかし、これは何というか……。
「如何にも、って雰囲気……」
そんな曖昧な形容が不思議としっくりくる。
そこは瓦礫の山も多かったのだが、そのゴミ山と廃屋との違いなど、微々たる物のように思えた。少なくとも、ここはとても人が住むような場所とは思えない。そんな場所へ自分を拉致した黒幕とは……そして、その目的は一体……。
右から左へ。ゆっくりと視線を動かしていると、左奥に何やら大きく開けた場所があった。
見た所、瓦礫の山も、朽ちかけたボロ屋もない。代わりに枯れ木が数本立っている。広場のような場所、なのだろうか。
「……ん」
近づきつつ目を凝らしていると……。
「人影……?」
それも一つではない。何やら大勢の人間が広場のあちこちに立っていた。
ホッとした安堵感と、警戒心が同時に押し寄せた。すぐに駆け寄りたい気分を抑え、まずは状況をよく整理する事にする。
彼らは黒幕側の人間ではないだろうか。だとすればここで迂闊に出て行くのは危険な訳だが……。まあ、恐らくその線は薄い。
もし、奴らが黒幕で、尚且つ私に危害を与える意思のある人間たちなら、わざわざあのような「オモテヘデロ」などという怪文書を書き置きしたりはしないだろう。
では、もしやこの場所の村人……か? いや、それも違うか。まあ大方察しはつく。恐らくは彼らも私と『同類』だ。
反射的にゴミ山に隠れて目を凝らしてみたが、全員の服装にはまるで一貫性がない。スーツに学生服、軍服のような姿の人間までいる。そしてそのどれもが少なくともこの見窄らしい風景に似つかわしくない程には子綺麗な格好……この村に住まう住民と考えるのは自然ではない。
やはり自分と同じように連れ去られてきて、右往左往している、といったところか。
…………格好と言えば……。そういえば私の格好は……。
まあ、いいか。
自分は広場へ向かって歩きだした。
自分の事自分って言うヤツ