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現実とのギャップ

彼を忘れられない咲希。一体どうなってしまうのでしょうか

彼を忘れることが出来ず悪戯に時間だけが過ぎていった。度重なる職場での失敗に上司も私に嫌気がさしてきたのか、冷たく当たることが多くなってきた。〈このままじゃ、私自身が駄目になる〉思いきって、二週間の有給休暇を取得することにした。忙しい最中、有給休暇を取得するにあたって、嫌味に似た言葉を同僚から投げつけられたが、今の私にはこれしか逃げ道がなかった。

休みを取り、二、三日すると不眠も解消され体調もだいぶ戻ってきた。しかし、彼への想いは忘れるどころか、日に日に強くなっていった。付き合っていた頃よりも強く…。幸せだった頃の写真を眺めてみる。これも全部嘘だったなんて。今でも信じられない。〈そうか、あの女に脅されているだけで本当は私のことが好きなのかも知れない…〉周りが見えなくなってきた私は完全に暴走していた。枕元に置いてあった携帯を手に取ると彼の携帯に掛けていた。何度掛けただろうか?留守電にメッセージを入れても返答もない。「なんで…なんで…」枕を壁際にぶつける。乱れた髪の毛を手櫛で直すと涙が溢れてきた。〈こんなに愛しているのに…ゆ…る…せ…な…い…〉日も沈まりかけ薄暗くなった部屋で、彼への想いが憎悪に変わっていくのがわかった。「ふぅ~…」深呼吸して、平静を取り戻す。〈仕事が忙しくて電話を返せないんだわ。きっと、そうよ。そして、別れるなんて嘘だったって言ってくれる〉冷静になっているつもりが、ますます私を深みへとはめていった。

「プルルル…」その時、携帯の着信音が部屋に響いた。「もしもし~?」「あぁ、咲希かぁ?」彼からの着信だと思ったが、残念ながら田舎の母親からだった。「お母さん?どうしたの~?急に」「父ちゃんがよぉ、庭で脚立がら落っこじで左足、骨折したがら、念のため連絡したんだぁ」「オラァ大丈夫だぁ」懐かしい母親の方言と共に遠くで聞こえる父親の声。「お父さん大丈夫なの?そうだ、お母さん…私今、有給休暇取って休んでるから、明日朝一番で帰るよ」「そんじゃ、気を付けてこらっせよ」突然の母親の電話で暫し彼のことを忘れていた。「久しぶりだなぁ。実家に帰るの。一年ぶりかなぁ」以前旅行した際に購入したスーツケースに荷物をまとめ、旅立ちに向け早めに就寝した。翌朝、始発の新幹線に乗り込み田舎へと向かった。二時間程で新幹線は私の産まれ育った街へと運んでくれた。「う~ん。空気が美味しい~」荷物を地べたに置き、両手を挙げ背伸びをした。都会で疲れた私を癒してくれる。

駅から私の実家までは徒歩で十分程度。右手にはスーツケースの取手、左手には実家へのお土産を抱え、黙々と歩いた。

私の実家は小さいながらも民宿を営んでいる。新規の客はあまりいないが、少ない常連客のお陰で細々とやっていけてるのだ。

「ただいま…」「おぅ、咲希か」松葉杖をつきながら優しい笑顔で父親が迎えてくれた。

彼への想いを拭いきれず、憎悪を抱きはじめてしまう咲希。はたして咲希の取った行動は?

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