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AP03.メール




オクシュンにアドレスを聞いた。

オクシュンがマコトッチに了解を得ようとしたらすんなり「いいよ」と返事が返ってきたらしい。


普通に「はじめまして 藤井楽です!よろしくね」と送信したら

速攻「はじめまして 槙まことです よろしくねー おれガクってかわった名前だね」と簡単な文がおくり返されてきた。


絵文字は少なめで、外見や女子高生にしては淡泊な本文。

俺のが絵文字を使ってるように見える。


槙まこと、マコトッチの本名が覚えやすくてすんなり覚えた。

速攻また返事を返して、ちょくちょくアタックした。

思い立ったらすぐ行動、初対面でも関係ない。


けど、俺がどんなにアタックしても微妙な返事ばかり。

「ああそっか」「まじか」「たしかに」このフレーズ、どうやら口癖らしい。


手ごたえは感じなかった、むしろ、空振り。

そんな空振りの日々は1週間続いた。




「なんかなあ」


いつものように、たまり場で、

オクシュン、ニシザワ、椙、俺。


扇風機の前でオクシュンが呟いた。



「俺シカトされたよ、まことっちに」


オクシュンはうなだれながらまた呟いた。

オクシュンもずっとメールをしていたらしい。

俺も、しぶとく送っている。

でも、俺はまだ生きのこっていた。



「楽は?」

「俺まだ続いてる」

「まじかー」


ちょっとオクシュンに勝った気分になって、嬉しかった。

お気に入りの煙草に火をつけて加えようとしたら、マコトッチから返信が来た。


「うわさをしたらー?」


語尾をちょっと上げて、テンション高くメールを開いた。


1週間もすれば、彼女の淡泊なメールには慣れてしまった。

だから「まじか」でも、全然驚かないし、つまらなくはない。

むしろ、「(笑)」の使い方も、いつのまにか彼女流の括弧なしの「笑」になってしまっていた。


そんな彼女からの返信内容はなんとも驚く内容だった。



「まじか」


彼女の口癖が思わず声に出てしまった。



「なんだよ」


オクシュンが、少し低い声で呟いてこちらに来た。


「なんでもない!」

「はあー?隠すのか」

「母さんだよ、母さん」


なんとなく、見られたくなくて思いっきり嘘をついた。

オクシュンはつまらなさそうな顔して、ニシザワ達とからみだした。


メールの内容は、初めての”愚痴”だった。

突然、一行目から「どうしよう、てかもういやだ」と来た。

俺たちはそれまで他愛もない”つまらない話”ばかりしてたのに、この展開が俺には”急展開”に見えた。



”「どうしよう、てかもういやだ。いいことない。ガクー」”

内容のよくわからない嘆きに、すぐに返信した。


「どうしたの?」返事をそう返したら、またすぐ返事が来た。

「んーなんかうまくいかないことあるよね」と、また淡泊なメール。

感情を押し殺したような内容。


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