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落下の末、初日から波乱万丈です

イケメンについていった後、乗り物には目隠しをしながら乗せられ


気づけば私は豪華な建物の一室にいた。


 白い天井、光る石灯。ベッドはふかふか。けど……なんか落ち着かない。

 だって、ついさっきまで帰宅していたのにいま私は異世界の城?の中である。

 状況の変化が激しすぎる。


「あなたの国では“魔法”はどう使うのですか?」


「魔法……? あの、たぶん使えないです。スマホなら使えますけど」


「スマ……ホ?」


研究員のような人たちがざわざわと訪れ、


メモを取り始める。


もう、完全に珍獣扱い。


(……これ、完全に実験対象じゃん……!)


 頭を抱えたくなったその時――ノックの音がした。


「入るぞ」


 ドアを開けて入ってきたのは、あの団長――レオン・ヴァルド。


そう、捕まった(保護された)時はてんやわんやで流していたが、

団長、と呼ばれていた。


「めっちゃ偉い人じゃん...」


「何か言ったか」


「イエイエ」


「............」


鎧を脱いで軍服姿になった彼は、鎧のときより落ち着いた雰囲気を纏っていた。

 

黒の上着の襟を少し乱したままなのが、なぜか妙に絵になる。


「調子はどうだ」


「え、あ、はいっ。……なんとか。えっと、食べ物もらって……」


「食べたのか」


「え? はい。一応?」


「そうか。俺の指示より早いな」


「……え、ダメだったんですか!?」


「いや。毒見をする予定だったが、問題ないならいい」


「……っ!? 今さら怖いこと言わないでください!!」


「結果的に安全だった。運がいい」


「運の問題じゃないですよ!? 命に関わる話ですよね!?」


 私の必死なツッコミに、彼はふっと笑った。

 目の端が少しだけ柔らかくなって、でも声のトーンは変わらない。


「そう怯えるな。お前は“保護対象”だ。俺の命令なしに誰も手を出せない」


「……脅してるんですか、それ」


「保証しているんだ。言葉の選び方に違いがあるだけだろう」


「どっちにしても怖いですよ!」


「そうか。なら今後はもう少し優しく言う努力をしよう」


「努力って言っちゃってるー!」


 どうにもペースを乱される。

 わずかに口角を上げて話す会話の主導権、全部持っていかれてる気がする。

 


(なんか……この人、とんでもないSなんじゃ...)


 彼は部屋の中央まで歩くと、机の上に小さな金属板を置いた。


「これは、帝国で使われる身分証だ。お前の仮登録をしておいた」


「……もうそんなことまで?」


「保護した以上、責任は俺にある。書類は嫌いだが、部下に押しつけるのも気が引けてな」


「……意外と真面目なんですね」


「“意外と”とは何だ」


「い、いえ! すごく真面目です団長!」


「素直でよろしい」


ほめられた?

でも彼の声にはどこかからかう響きがあったような?


「それで……」

 彼は少しだけ目線を落とし、私の顔を覗き込む。

 距離が近い。イケメンは心臓に悪い。


「帰りたいのか?」


「え……はい。できれば。家族も心配してると思うし……」


「……そうだろうな」


一瞬、ほんの一瞬だけ、彼の目が揺れた気がする。


「だが、今は“門”が閉じている。無理に干渉すれば、この世界そのものが歪む危険がある」


「……そんなに?」


「お前がここに現れた瞬間、結界が震えた。お前自身が“鍵”の反応を起こしている可能性がある」


「かぎ……?」


「お前の存在そのものが、この世界に何かを開かせた。俺はそれを確かめる必要がある」


「じゃあ……私のせいで?」


「責めているわけではない」


静かな声なのに、心に届く温度が違う。


「お前がここに来た理由を解く。それが俺の仕事だ」


「……どうして、そこまで?」


「放っておけば部下がうるさい。責任者としては静かな夜を確保したいだけだ」


「絶対ウソですよねそれ」


「さあな」


 わずかに笑う彼を見て、私は思った。

 この人、たぶん本気で何を考えてるかわからない。

 でも、なぜか――安心できる。


 怖いけど、頼もしい。冷たいようで、ちゃんと見てくれている。

 そんな不思議な空気が、彼の周りにある。


(……なんか、変な人に拾われたなあ)


 そう思いながらも、私は知らなかった。

 この日から、私の“落下事故”が、国を揺るがす大事件に繋がっていくなんて――。

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