55、咎は語らず
「本当か? 本当に介抱されていただけか?」
「う、うん、なんか魔力切れで危なかったみたい」
「………そうか。それなら、いい」
やっとライムは俺の腕を掴んでいた手を放し、俺を避けてソファにどかっと座る。
そのソファのすぐ前に、グランシアさんが正座で項垂れていた。
「あのー、マレちゃんもそう言ってることですし、そろそろ許してくれても………」
「ダメだ、前科がある。今で償うんだな」
「あー、それはまあ、うん、じゃあ妥当だね………」
「………?」
なんかグランシアさんが誤解されているのに納得しているのだが、前科とは一体なんだろうか。
「それで? そっちのデカブツはなにオロオロしてるんだ?」
「………すまない。主の友人に対して、どう対処すれば良いか決めかねていた」
「ああ? その気になればどうとでもできると思っているのか?」
「ああ、我の騎士名は『堅盾』。貴殿の魔術は全て効かぬと思った方がいい」
「ほう? 試してみるか?」
毅然として言い返すアイリスさんに、ライムが右手を向ける。
さすがにマズイと思い、その右手を掴んだ。
「ライム、ちょっと………」
「………確かに、病人の前ですることではないな。ふん、デカブツ、試すのは後だ」
「マレ殿、感謝する」
アイリスさんとライムの睨み合いが終わったのを確認し、掴んでいた手を下ろす。
だが、その動作だけでもだいぶ疲労が溜まり、思わずため息を漏らしてしまった。
それを見たライムが、なぜか俺の頭を撫で始める。
「………それで、こいつがこうなってる原因は分かったのか?」
「あ、それは一応、卵が原因なのかもしんないってとこまでは分かってる」
「卵が?」
そういえば卵はどうなったか辺りを見渡すと、グランシアさんの仕事机の上に全て置かれているのが見えた。
そして、その隣に、俺の進化にも使ったあの進化の秘玉が一つ、置かれている。
「卵が孵化するのに必要なものは何か、知ってる?」
「あ? 温めればいいんじゃないのか?」
「それも必要だけど、同じくらい必要なのが、魔力。まあ、進化と同じようなもんだね。必要な魔力は、周りからどんどん吸い取っちゃう。魔術の学習で魔力が減ってたマレちゃんから、もっと魔力を吸っちゃってたみたい」
「………サンドワームが卵の近くにいないのも、それか」
「多分ね」
つまり、卵は俺から魔力を吸い続けており、それに気づかずに魔術で魔力を減らしたので、気絶ラインまで持っていかれたようだ。
進化の秘玉が隣に置かれているのも、卵に必要な魔力の吸い取り先を俺から変えるためだろう。
「………孵卵器はないのか?」
「そんな高価なものあると思う? 私としても買ってあげたいけど、入学金とか色々考えたら買えないの」
「じゃあ、どうする? 孵卵用の魔術は魔力を吸い取られて消滅するし、そもそも使い手がおらん。魔力の自然回復を凌駕する吸収量の卵なぞ、聞いたことがない」
「私も。まあ、とりあえず、マレちゃんはちゃんと休めるように部屋のベッドに移そうか。卵はしょうがないけど、私の方で預かる。しばらくは魔含晶で様子を見てみよっか」
どうやら、バルデルハラ街で進化の秘玉と呼ばれていた水晶玉は、ここでは魔含晶と呼ばれているらしい。呼び名は統一されていないのだろうか。
そう少し考え、やがて眠気があるのに気づく。グランシアさんのおかげで魔力は回復しているはずなので、ただの疲労だろう。
それに、ずっとライムに頭を撫でられている。そのせいでもあるのかもしれない。昔から、頭を触られると謎の安心感があった。
「………今は何も気にせず、ゆっくり休め」
微睡みの中からライムの声が響く。
その声に従い、ゆっくり意識を手放した。
「なんか、仲良いねぇ」
「そうか?」
「なんというか、姉妹って感じ?」
「………少しだけ、レモンに似ている。そのせいかもしれんな」
「ふーん」
やっぱり、妬いちゃうねぇ。
でもまあ、私もその気持ち、分かるかな。なんというか、心配の意味で目が離せない感じ。
そんな子を殺そうと言ってたのはちゃんと覚えてる。だから、私はこの子にちゃんと償わないと。
とりあえず、すやすや眠っているマレちゃんをアイリスちゃんに頼んで持ち上げてもらう。マレちゃんの大きさ的にはライムちゃんより少し大きいくらいだけど、尻尾がかなり重い。
その点、アイリスちゃんは難なくマレちゃんを持ち上げられる。魔術なしであの筋力は、さすがと言う他ないね。
「それじゃ、私はマレちゃんを向こうの部屋に置いた後、アイリスちゃんと一緒に仕事に戻るんだけど、ライムちゃんはどうする?」
「そうだな………今度は、レモンに会ってくる」
「あれ、会ってきたんじゃないの?」
「学院にブローチは届けたんだが、少し卵の様子が気になってな。ま、お前からすれば来ない方がよかったみたいだが」
「そ、そんなことないよ? でもまあ、いってらっしゃい」
ライムちゃんを残して執務室を出る。
マレちゃんは貸している部屋のベッドに置いて、アイリスちゃんとともに受付の方に進んだ。
そこに今日の面会を予約している人が待っているはず。
「あ、グランシアさん!」
「ん、そっか、今日はニャテルちゃんの臨時面会だっけ」
私を見てぴょんぴょん飛び跳ねるニャテルちゃんを落ち着かせて、三人で応対用のテーブルにつく。
こんなにテンションが高いなら、調査は上手くいったみたい。
「上手くいったどころじゃないですよ! 調査対象の近くにあるバルデルハラ街に行ったんですけど、そこで珍しい魔術眼を持ってる人がいて! ちょっとおかしなことはありましたけど、その人のおかげで私が長年抱えていた疑問はほぼ解消される寸前です!」
「ちょ、ちょっと、落ち着こっか。それにしても、珍しい魔術眼ねぇ………どんな人だったの?」
「うーん、ちょっと不思議な人だったんですけど、雰囲気としては普通の人より少し弱いというかなんというか。あ、でも、瞳は二重になってて、細かいところがよく見えるみたいです」
「二重の瞳………その人の名前は?」
「えっと、ファドマさん、だったはずです。もう少しファドマさんと調査したかったんですけど、調査任務に十分な結果を得られたことと轟雷龍の襲来で帰還しないといけなくなりました」
「それは災難だったねぇ」
二重の瞳と聞いて、まさかマレちゃんのことかと思ったけど、違ったみたい。
それにしても、ここまでハイテンションなニャテルちゃんは見たことがない。そのファドマちゃんに感謝の手紙を送りたくなっちゃう。
「それで、本題は? 結果報告だけじゃないんでしょ?」
「あ、そうでしたそうでした。これを見てください」
そう言ってニャテルちゃんが取り出したのは、一冊のメモ帳。長い間使っているみたいで、いくつもの栞が挟まっている。
ニャテルちゃんはそのメモ帳をパラパラと開き、神無塔の絵が描かれたページで止めた。
「えっと、こっちが発表予定の情報で、こっちは未発表の情報です」
「あれ? 発表しない情報もあるの?」
「ええ、全部発表しては、私の資金源がなくなっちゃいますから」
ニャテルちゃんはこう見えて、意外と強か。世渡り上手って言葉の方が似合ってるかもしれないけど。
「30年以上も研究者をやっていたら、大抵は慣れちゃいますから」
「………ホント、見た目と年齢が合わないねぇ」
「年齢は聞かないでくださいね?」
いつもは小動物みたいな雰囲気なのに、ふとしたときには深淵のような底知れなさを感じる。そのギャップもまた、ニャテルちゃんの魅力かも。
「それで、この研究で何か分かったの? メモに書いてるやつからは、神無塔の外壁は結晶質とかそんくらいしか分かんないけど………」
「それだけでも学院会での発表に値しますが、前回の調査結果と組み合わせると、非常に興味深い結論が出せるんです」
ニャテルちゃんはそう意味深に言って、ページをめくった。
そのページには調査結果がまとめられた文章が書かれていて、そこから導き出された結論を書かれていた。
いわく、『神無塔は魔力で周辺の情報を収集する塔』と。
「………つまり、人工物なのは確定?」
「そう考えています。外壁も、一種の防御機構なのが分かりましたし、明らかに人間によって設計されています。問題は………」
「神話に登場するほど昔からあるのに、その神話よりも前に高度な文明を持つ種族がいた………?」
そんなこと、あり得る? でも、ニャテルちゃんが嘘をつくとは思えないし、情報の中に矛盾する点もない。
なら、本当に………?
「さすがギルドマスター、話が早くて助かります。そうですね、その種族を仮に『未確認種族』と呼びましょうか。そのキュイテルは、なぜ砂漠地帯にこんな大がかりな塔を建てたのでしょうか。はるか昔は、砂漠ではなかったのでしょうか」
「あー、海にいるはずの魚とかがなぜか流砂の中で泳いでるし、神話よりも前だったんなら、あそこの一帯は海だったのかもね」
私はそれしか考えつかないけど、ニャテルちゃんは「それは面白いですね!」とメモに書き足している。
なら、もっと考えたくなっちゃうけど、私が思いつけるのはここまで。私は魔術は得意でも、魔法は苦手だし。
「…………と、調査結果はこんな感じですかね。私はこれから学院会の発表に行きますけど、未発表の情報の価値はちゃんとした面会のときに決めますか」
「うん、それがいいね。じゃ、頑張ってきて」
「ええ! 私が魔導界に激震を走らせます!」
意気揚々なニャテルちゃんを見送り、未発表の情報を写してもらった一枚の紙を見る。
その中にはさっき話した結論と、それに至るための情報がびっしりと書かれていて、ニャテルちゃんの几帳面さが分かる。
「それにしても、神無塔が人工物なんて、あり得るのかなぁ?」
「………すまない我が主、考える時間はもう無さそうだ。もう次の面会者が来ている」
「りょーかい。それじゃ、本格的な仕事と行きますかね」
「ん、んん………」
目を覚ますと、グランシアさんから借りている部屋のベッドの上で寝転がっていた。
俺が寝ている間に、運ばれたのだろう。
「よいしょっと………やっぱり尻尾が邪魔になるな」
尻尾が生えている以上、仰向けには寝られず、横向きに寝るしかない。ただ、それを前提とした身体になっているのか、寝返りしなくても不調はない。
魔力切れによる怠さも、綺麗さっぱりなくなっている。
「にしても、卵の時点で魔力が必要って、結構過酷じゃない?」
魔力が足りなければ、そばにいる卵からも吸い取ろうとするのだろうか。
かなりの厄介者で数の多さも脅威に挙げられるサンドワームだが、厳しい生存競争を生き抜いた結果なのかもしれない。
それはそれとして、今はやることが無くなってしまった。
ライムは帰ってくるのが異様に早かったので、おそらくまた外出するだろう。グランシアさんやアイリスさんも、ここにいないということは仕事中だろうか。
文字や魔術の教本はアイリスさんが持っていたため、この部屋にはない。
完全なる暇である。
「………………新しい魔術の構想でも考えとくか」
グランシアさんは、俺が作る魔術を教えてほしいと言っていた。
グランシアさんが求めている魔術が何か分からないが、とにかく独自性が強ければいいだろう。
「サンドワーム特有の、ねぇ………………この目のズーム機能とか? というか、習得した魔術ってステータスに表示されるんかな?」
いわゆる不発弾だらけで習得したとは到底言い難いが、ステータスに何かしら変化が起こっている可能性がある。
その可能性のために、ステータスオープンと唱える。
半ば見慣れたウィンドウが現れるかと思っていたが、現れたものは予想を完全に裏切った。
〈プライベート管理〉
『名前・・・未登録』
『フラクタルNo.9268352147』
『住所No.未登録』
『年齢・・・未登録』
『生年月日・・・未登録』
『家族構成【自身を除く】・・・両親〈死亡〉、兄弟〈死亡〉、第一子〈未登録〉、第二子〈未登録〉、第三子〈未登録〉、第四子〈未登録〉、第五子〈未登録〉』
『今日の使用可能M数・・・本人確認後、使用可能』
「え、あ、は?」
ステータスオープンと唱えたのに全く違う灰色のウィンドウが現れた。
住所や生年月日があることから、何かしら身分証みたいなものだとは分かるが………
「な、なんで変わってる?」
前までのステータスウィンドウとは異なる表記方法に、ほとんどの字が黒い中、赤色で書かれたいくつもの未登録。そして、黄色で太字になった『本人確認』の字。明らかにステータスウィンドウとは別のシステムで動いているとしか考えられない。
しかし、ステータスオープンと唱えるとこれが出てきたため、全く別のシステムというわけでもなさそうだ。
「………本人確認した方がいい、のか?」
おそるおそる『本人確認』の文字を押すと、元のウィンドウに重なるように新たな灰色のウィンドウが現れた。
〈本人確認〉
『名前・・・記入してください』
『年齢・・・記入してください』
「え、それだけ?」
もっと色々なものが必要かと思っていたのだが、本当にこれだけなのだろうか。
それとも、正確な情報を入力しないと弾かれるタイプだろうか。
ひとまず『記入してください』を押してみると、それが空欄に変わり、その下にPCと同じようなキーボードウィンドウが現れた。
それを使い、とりあえず名前欄には『マレ』、年齢欄には前世の年齢である『17』を入力し、下に出てきた完了のボタンを押す。
弾かれる可能性は高いが、確実に分かっている自分の情報と言えば、これくらいしか………
〈本人確認が認証されました〉
〈配布Mの使用制限が解除されました〉
〈アカウントが保護者用に変更されました〉
〈アカウントに第一子〜第五子が紐付けられました〉
次々にウィンドウが現れ、読み終えると自動的に閉じていく。
残ったのは最初のウィンドウだけで、そのウィンドウには変更が加えられていた。
〈プライベート管理〉
『名前・・・マレ』
『フラクタルNo.9268352147』
『住所No.未登録』
『年齢・・・17歳』
『生年月日・・・未登録』
『家族構成【自身を除く】・・・両親〈死亡〉、兄弟〈死亡〉、第一子〈未登録〉、第二子〈未登録〉、第三子〈未登録〉、第四子〈未登録〉、第五子〈未登録〉』
『被扶養者・・・第一子〈未登録〉、第二子〈未登録〉、第三子〈未登録〉、第四子〈未登録〉、第五子〈未登録〉』
『今日の使用可能M数・・・300MM』
本人確認で入力した欄と謎のM数が変わっており、新たな欄も追加されている。
先ほど、子どもがアカウントに紐付けられたとウィンドウにあったので、追加された『被扶養者』の欄は卵達のことだろう。
一番よく分からないのは、このM数だ。
「通信量ってわけじゃなさそうだし、本人確認しないと使えない何か………?」
なんとはなしにそのMを押してみると、説明が書かれた小さなウィンドウが現れる。ちゃんと説明もある親切設計のようだ。
〈Mとは・・・俗に魔力、マナと呼ばれるエネルギーの一種です。現代生活には欠かせないエネルギーであり、様々な機械において重宝されています〉
「へー、魔力のことか………あれ、じゃあ、300MMってことは、だいたい300×1000×1000M………?」
このシステムの基準は分からないが、途方もなく膨大な数値であることには変わりない。それに加えて『今日の』と書いているので、毎日更新されるのだろう。
こんな量の魔力を、毎日配布………?
「なにこの都合の良すぎるシステム………」
これだけ魔力があるのなら、卵を全て抱いてもお釣りが来るだろう。
今は安全のため、グランシアさんが預かっているが。
「ん? 本人確認したら使えたってことは、卵ももしかして………?」
第一子の〈未登録〉をタップすると、自分の〈プライベート管理〉ウィンドウの隣に、同じようなウィンドウが現れた。
それは数字が違うだけで、俺のウィンドウと大体同じのことが書かれている。
〈プライベート管理〉
『名前・・・未登録』
『フラクタルNo.9268352163』
『住所No.未登録』
『年齢・・・未登録』
『生年月日・・・未登録』
『家族構成【自身を除く】・・・父〈無在〉、母〈マレ〉、妹1〈未登録〉、妹2〈未登録〉、妹3〈未登録〉、妹4〈未登録〉』
『保護者・・・母〈マレ〉』
『今日の使用可能M数・・・本人確認後、利用可能』
システムにまで母と断言されているのは少し癪に触るが、一旦それは無視して本人確認を押す。
すると、本人でもないのに本人確認のウィンドウが現れた。保護者だから、だろうか。
「年齢は当然0で、名前は………名前どうするか………」
まだ孵化していないのに名前をつけるのは少しおかしい気もするが、勝手に周りから魔力を吸い上げるよりかはいいだろう。
「じゃあ俺がマから始まるし、ミ………ミズノとかでいいかな?」
名前欄にそう入力し、完了ボタンを押す。
〈本人確認の認証のため、対象者に承認確認のメッセージを送信しました〉
〈承認確認のメッセージが承認されました〉
〈第一子に『ミズノ』が登録されました〉
なんかノータイムで承認されたのだが、意識のない幼体では自動的に承認されるのだろうか。
いや、それでは無意識の人は勝手に承認扱いになるだろうし、さすがにそんなガバガバシステムではないだろう。
ならなぜこんなに早く承認が………?
「んまあ………いっか」
考えても分からないので思考を放棄し、第一子もといミズノのプライベート管理ウィンドウを見る。
〈プライベート管理〉
『名前・・・ミズノ』
『フラクタルNo.9268352163』
『住所No.未登録』
『年齢・・・0歳』
『生年月日・・・未登録』
『家族構成【自身を除く】・・・父〈無在〉、母〈マレ〉、妹1〈未登録〉、妹2〈未登録〉、妹3〈未登録〉、妹4〈未登録〉』
『保護者・・・母〈マレ〉』
『今日の使用可能M数・・・299.9MM』
早速魔力を吸い取っているようだ。この短時間で1000KMも消費したとは考えにくいので、小数点第二位以下は表示されないシステムらしい。
とりあえず、無料配布の魔力を使えることが分かったので、第二子以降も本人確認をしていく。
「んじゃ、一番上がミズノだし、ム………ムニンでいっか。次はメ………メルニス。四番目はモ………モニ。最後は一周してマか、次のヤか………マのマーリャにするか」
トントン拍子で決めているが、名前に意味なんて込めていない。今はただ、識別できる仮の名前を決めただけだ。
全員分の本人確認を済ませ、配布された魔力を吸い取っているのを確認し、ウィンドウを閉じていく。
残ったのは、俺のウィンドウだけだ。
〈プライベート管理〉
『名前・・・マレ』
『フラクタルNo.9268352147』
『住所No.未登録』
『年齢・・・17歳』
『生年月日・・・未登録』
『家族構成【自身を除く】・・・両親〈死亡〉、兄弟〈死亡〉、第一子〈ミズノ〉、第二子〈ムニン〉、第三子〈メルニス〉、第四子〈モニ〉、第五子〈マーリャ〉』
『被扶養者・・・第一子〈ミズノ〉、第二子〈ムニン〉、第三子〈メルニス〉、第四子〈モニ〉、第五子〈マーリャ〉』
『今日の使用可能M数・・・300MM』
全員分の名前があるかを確認し、自分のウィンドウも閉じる。
これで、卵達は周りから魔力を吸い取らないようになったはず。それどころか、潤沢な魔力を使い、卵の中で進化を遂げるかもしれない。生まれる前から進化ができるかどうかは分からないが。
「………なんか、楽しみになってきたんだけど」
命が宿っていると分かり、育児をしろと言われたとき、正直言ってかなり怖かった。
自分の子どもとはいえ、凶暴すぎると大勢から言われているサンドワーム。俺が転生者という特殊な例というだけで、俺から生まれた子どもも大人しいとは限らない。それどころか、サンドワームは子育てをしないという習性から、もしや親にさえ噛みつく狂暴性を持っているのかとも思っていた。
しかし、名付けを行ったせいで、もしくはおかげで、卵達に少し愛着が湧いてきた。
「子育てしたことないけど………まあ、頑張るか」
元より俺には、それ以外の選択肢はないのだ。




