第一幕
この小説を手に取って頂き、ありがとうございます。
初めての小説です。拙い文章かと思いますが
温かい目で見守ってください笑。
JKの異世界冒険譚 第一幕、開幕です。
そこは青黒い炎が灯っているだけの暗闇だった。どうやら大広間のような一室らしく、最奥の壇上には玉座が据えてある。だがその部屋の広さに反して中にいるのは3人のみであった。
玉座に座っている男、その隣に彫像のように佇む女、2人の少し前で膝を折っている男。男2人はいずれも角と牙を持っていた。
その静寂を破ったのは玉座に座っている男―ジャックだった。
「須磨ヶ原 火狩の暗殺計画書だ。」
どこからともなく紙の束が現れ、それを膝を折っている男―ルードが受け取った。ルードは紙をパラパラとめくり、次いで顔を顰める。
「またこんな回りくどいことを…」
ジャックがそれを気に留める様子はない。いつもの事だ。またジャックが1番確実で手っ取り早い方法を避けて「面白い」方法をとるのもいつもの事だ。
そうしていると不意に紙をめくる手が止まる。
「なんだ」
ジャックはその意図が分かっているかのように淡々と尋ねる。
「ジャック様は出ない方がよろしいのでは?力が覚醒していた場合を考えて下さい。取り返しがつかなくなってからでは遅いのですよ。」
「俺の身を案ずるならお前までで火狩をどうにかすればいい。」
至極身勝手な言い分にため息が出そうになる。
諦めて再び紙をめくっていると目を疑う情報が飛び込んできた。眉間の皺が先程よりも深く刻まれる。「すまないがシエラ殿は席を外して頂けるか。」
それは「ここから先に他の奴は必要ない」という
人払いの合図だった。
ジャックの隣に立っていた女―シエラは頷き、部屋を出る。
瞬間、扉の閉まる音が合図だったかのように部屋の雰囲気が変わった。
「どう言う事だジャック。俺まででどうにかしろと言っておきながらシエラを出さないのは何故だ」
ルードが勢いよく立ち上がってジャックを問いただす。その口調から恭しさが消えていた。
「気づいてなかったのか。」
ジャックが心底驚いたように目を見開く。そうしてあり得ないことを口にした。
「アイツは思い出している」
ルードは立ち尽くす。あり得ない。そんな事が起こる道理がない。そんなルードの考えを見透かしたようにジャックが話す。
「俺もふと気づいた時は打ち消した。一度消し去ったそれを復元するのは不可能だからだ。だが、それ以外でアイツの変化を説明できない。」
シエラの変化など微塵も気にしてはいなかったが人心掌握を得意とするジャックがいうなら間違い無いのだろう。だが。
「不可能だと言うならどうして『思い出している』と断言できるんだ?」
2人は組織を立ち上げる以前からの仲で、表向きは主従を保っているが、2人の関係は対等である。ジャックは持ち前の人心掌握の才能と推理力で幾度となく危機を乗り越えてきた。そんな人並外れた才能を持つジャックでも「不可能」を覆すことはできない。そう思案しているとジャックの口から驚くべき
言葉が発せられた。
「簡単なことだ。そもそも消し切れていなかった。これなら筋は通るだろう?」
その言葉は突飛なようで間違いだといいきれないものだった。なぜなら。
「サタンの加護か…」
これにて第一幕終了です。
投稿日は決まっていないので次がいつになるかは分かりません。次回は主人公サイドの話にする予定です。沢山の感想、アドバイス待ってます!
乞うご期待!