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【完結済】生まれ変わっても一緒にいるとか言ってません!  作者: 紫藤しと
第二章 リチとダリッチの慕情

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12.魔王と魔女

「こいつ! 魔王じゃん!!」


 椅子を蹴飛ばして立ち上がった。黒いもじゃもじゃした髪に黒い目、前世ハジムと戦って大怪我をさせた奴だ。


「こいつ生きて・・・!」


 生きてたのかと言おうとして思い出した。いや、こいつは前世でハジムが死ぬ前に死んだはずだ。・・・あれ?


「ダリッチ座って。見た目は魔王にそっくりだけど、中身は別人だよ。兄さんによればあの魔王は別の世界に言ったから二度とこの世界には生まれないってさ。」


 あの魔王とこの魔王とこの世界?・・・ダメだわからん。


「似てるだけの別人ってだけ覚えて。というか魔王の子孫だから別に似ててもいいんだよ。」


 子孫か・・・そりゃそうか。100年も生きてるなんて鳩とか魔女ぐらいだもんな。


「俺ちょっとうろ覚えなんだけど、その魔王って確か国王の血を引いてることがわかって最終的に王様になったんだっけ?」


「そうだね、正確に言うと魔王の息子が王位についたんだけど。」


 ユマ様は王太子夫妻の一人娘だった。その一人娘を拐かしたのが魔女ルビーだ。ユマ様は失意のうちに若くで死んでしまったので、王の直系後継がいなくなってしまった。そこで後継ぎとして浮上したのが国王の隠し子だった魔王クロだ。なんやかんやあってクロの子どもが王城に引き取られることが決まったとこまでは覚えている。その後実際どうなったのかは俺は死んだからわからないけど。


「えーっと・・・なんで王族が警備なんかやってるの?」


「王族とは言ってもうちは傍系で、もう何代も前から平民です。ずっとドーナー家にお世話になっています。」


 へえ・・・以外の感想がなかった。前世では貴族同士の付き合いはずっとハジムに丸投げしていたし、今世でもリチは外に出たがらなかったからよく分かっていない。


「えっと、本題に入っていいかな? このクロがルビーを口説きたいって言ってるんだけどどう思う?」


 ハジムが片肘をついてこちらを見た。どう思うって言われても。


「好きにしたら? お・・・私が決めることではないのでは。」


「今更だよダリッチ。クロは前世も含めて全部知ってる。」


 正直驚いた。ハジムが人を信用しているだと!? 俺以外に!?


「・・・あの、きみを探すのから手伝ってもらってたからね? 他にもうちの両親や他の影も知ってるよ。」


「え、そうなの!?」


「と言っても母親なんかはあんまり信じてないと思うよ。君が完全に前世を思い出したのを知ってるのはここにいる僕らだけ。」


 ハジムの言葉にクロが頷いた。


「そっか。じゃあ普通に喋るけど、クロがルビーを口説きたいって言ってるなら別にいいんじゃない? 許可がいるの?」


「・・・きみさ、使用人として働いていた頃の記憶ないの? 許可はいるでしょ。特にクロは今きみの専属警備って言ってもいいぐらいなんだから。」


「それ初めて聞いた。」


「今言ったからね。」


 ハジムは涼しい顔をしている。全くもう・・・それは兎も角としても、確かに使用人が主人の友人?を口説くなら許可がいるだろう。普通は聞く前に諦めるだろうけど。


「えーっと、クロはルビー好きなの? っていうか今幾つ?」


「23歳です。ルビー様は面白い方だと思っています。」


 歳はいいけど面白いってそんな、珍獣じゃあるまいし。


「クロはね、ルビーを口説き落とす自信があるらしいよ。」


 ハジムが頬杖をつきながら言った。


「あります。あの方は強く押せば落ちるタイプだと思われます。」


 強く押すって・・・相手誰だと思ってるんだろ?


「あのさ、相手は最悪の魔女なんだけど。下手したら殺されるのわかってる?」


「大丈夫です。」


 クロは自信満々の顔で言い切った。あ、こいつダメだ。自分を過信しているタイプだ。若いんだなー。


「・・・ハジムはどう思ってんの?」


「面白そうだからやらせたいのが半分、面倒だからやめて欲しいのが半分。」


 ハジムは涼しい顔で言ったが、こっちはこっちで欲望に忠実だ。


「じゃあとりあえずオトモダチから始めてみたら? まだ喋ったこともないんでしょ?」


「あ、それはあります。以前リチ様の部屋にいたら邪魔だから出て行けと追い出されました。」


 すでに最悪の出会いをしてるじゃないか。


「面倒くせ・・・もうルビーに聞いたら?」


 俺はそう言って立ち上がると近くの窓を開けて叫んだ。


「ルビーーー!!! ちょっと来て!」


 振り返るとハジムは大笑いしていて、クロは目を丸くしていた。


「ダリッチって・・・フフッ、いつもそんな風に、フフフッ、ルビーを呼んでるの?」


 ハジムが笑いながら言うのを睨む。そこまでそんなに面白いことはしてない。


「いつもって言うほど呼んだことないよ。・・・二回目だな。」


 一回目はハジムが死にそうだった時だ。それはハジムは知らなくていい。


「--------なんか用か?」


 いつの間にか部屋の中に不機嫌そうなルビーがいた。


「ようルビー。彼氏探してたよな、こいつどう?」


 クロを指さすとクロが慌てた。


「え? いや、そんな紹介!?」


 慌てるクロをルビーが上から下までジロジロ眺めて言った。


「魔王の子孫じゃな。こいつも放っとくとクーデター起こすぞ。わしとコイツが一緒にクーデターを起こせば世界が滅ぶ。わしは別にいいが、それがお前らの望みか?」


 ルビーが呆れた様に言った言葉に三人とも絶句した。なんで彼氏紹介が世界滅亡の話になった?


「・・・ルビーもうちょっと詳しく教えてくれる? この子はクーデターを起こすって決まってるの?」


 ハジムが額を押さえながら言った。確かに雇い主にとって頭痛がするような話だ。


「するじゃろうな。今はまだ小悪魔じゃが、何かの切っ掛けで悪魔になる。」


 ルビーは断言すると勝手に俺の隣の席に座った。


「そんな事より茶を出せ。呼び出したんだからもてなせ。」


 睨まれたクロが我に返ったように一礼すると部屋を出て行った。


「・・・ちなみにあいつクロっていうんだけど、クロはルビーのタイプだったりする?」


 ハジムが呆れた顔をしているが、これは聞いておいた方がいい事だと思う。


「特にタイプではない。だが逞しくこの世界を滅ぼしてくれたら惚れるかもしらん。」


 魔女めんどくせえな・・・俺がため息をつくと、ハジムもため息をついていた。考えることは同じらしい。


「そんな事よりリチ、お前の先祖に王族の警備をしていた奴がおったろ?」


 急に話を変えられて戸惑う。先祖? 先祖って結構沢山いると思うけど。


「わしがユマと一緒に居た時、王城にいた奴じゃ。知らんか?」


 ユマ様が生きていた時なら俺も生きていた時期だが、その時俺はシナト家の名前すら知らなかった。


「あ・・・僕知ってるかも。紫の髪をしたお后様の近衛をしてた人じゃない? 名前はちょっとわからないけど。」


「そうじゃ。道ならぬ恋に身を焦がし、小悪魔に成り果てよった奴じゃ。」


 うちの先祖に小悪魔がいるのか。嬉しくないな。


「その人がなにか?」


「お前の弟がそいつによく似ている。」


「はあ・・・」


 まあ数代前の先祖の見た目と似ていることはあるだろう。うちの家は代々髪や目が紫の人間が多い。


「それが何か?」


「わしはあいつなら好きになれるかもしれん。」


「ちょっと待ったーーーっ!」


 思わず立ち上がって叫んでしまった。


「何でよ? なんでよりによってうちの弟? まだ12ですけど? あ、ロリコンか。やっぱりロリコン魔女か! もう勘弁してよ! なんで人の身内に手出そうとすんの!?」


「悪いか?」


「悪いに決まってんだろこのロリコン魔女!! なんでもっと普通の男好きになれないんだよ!? つーかもうクロでいいだろ! クロにしとけよっ!」


 ハジムが立ち上がって俺の肩を押さえた。


「ちょっと落ち着いて。一旦座ろう。」


「無理っ! 落ち着いてたらうちの可愛い弟が汚される!」


 騒いでいるとクロがワゴンを押して戻ってきた。騒いでいる俺たちを見て目を丸くしている。


「ああ、それは置いて行け。お前は下がれ。」


 ルビーはそう言って追い払うようにシッシとクロに手を振った。クロは一礼して部屋を出て行った。


「・・・あんたの使用人じゃないんだけど。」


 俺が釘を指すとルビーは肩をすくめた。


「別によかろ? わしがその気になればこの世界は全部わしのものじゃ。」


 ルビーはそう言って偉そうにお茶を催促した。仕方なくハジムと一緒にテーブルにお茶を並べる。


「ということでお前んちに行くから、案内しろ。」


 ルビーがお茶を啜りながら言った。


「は? 12の弟に魔女なんか紹介できるか。」


「別にわし一人で行っても構わんがな。」


 しれっというルビーに下唇を噛む。見張れる分一緒に行く方がマシか・・・


「ちょっと待って。ダリッチが行くなら僕も行くからね?」


 ハジムが身を乗り出して言ったがルビーにすぐ却下された。


「邪魔だからくんな。」


「婚約者が連れ去られるのを黙ってみてる男はいないよ?」


「じゃあ言い換える。女同士の恋バナに男がしゃしゃり出てくんな。のう?」


 ルビーが急に俺の左腕を取って可愛らしく首を傾げた。女同士? 恋バナ?


「え・・・? えぇ?」


「そうじゃな! お茶なんか飲んでる場合じゃなかった! すぐ行こう! リチの里帰りじゃ!」


 ルビーがそう叫ぶと同時に世界が反転して私は床に投げ出された。右手に持っていたカップからお茶が零れて服が濡れた。踏んだり蹴ったりとはこのことだ。


 起き上がって周りを見渡すとよく見慣れた部屋の中にいた。


「私の部屋・・・」


 どうやら本当にシナト家に帰ってきてしまったらしい。家族に泣きながら別れを告げてからまだ二か月も経ってないのに。


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