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異世界から来た私が魔王軍と人間軍の関係を悪化させました〜誤訳もできない通訳〜

ということで、異世界で推定アメリカ人のおじさんと国際交流(?)を図ります。

 牢屋に入れられてますが、まずは外から。見た目は白人で金髪、髭もそこそこで体がデカい。ザ・外国人って感じ。さっき「ワット?」って言ったからには、私の高校で培われ、大学で完全に火が消えたはずの英語力が、今こそバックドラフト現象を起こす時です!

「ハロー、ナイストゥーミートゥー!」

"Who the hell are you? You speak English?"

(『なんだお前は? 英語が喋れるのか?』)

……えっ、なんて?

「パードン?」

"I said, can you speak English!? Where're you from? Are you with them!?"

(『英語は喋れるのかって聞いてんだよ! どこから来た? 仲間の回し者か!?』)

イングリッシュ? なんとか? おぉ、とりあえず英語として認識はされてるっぽい!

よし、基本に忠実に自己紹介だ。

「マイネームイズ、トウカ。ワッチャねーむ?」

"Toka? My name? You really need to know that? ...I'm George!"

(『トウカ? 俺の名前だと? 今さら必要か? ……俺はジョージだ!』)

ジョージ? ジャージ? ……あ、ジョージって言ったな。

「おー、アーユー、ジョージ?」

"...Are you making fun of me?"

(『……おい、俺をバカにしてるのか?』)

なになに? 知らない単語ばっかり……たぶん、聞き返せばいいよね。

「パードン?」

"You ARE making fun of me! I get it now, you little...!"

(『バカにしてるんだな! わかったぞ、この……!』)

あっ、そうだそうだ、これを最初に言っておかないと。

「アイムフロムジャパン。ソウ、アイキャンスピークジャパニーズ。バット、アイキャンスピークイングリッシュアリトル」

"Japanese...? Japan... the Asian country. No wonder you look like you're good at math. You got a calculator on you? Wait, is this Japan!? Why the hell did you Japanese people put me in a place like this!? If you're gonna kidnap someone, at least get a guy who speaks real English!"

(『日本人……? 日本、あのアジアの国か。通りで数学に強そうな面をしているわけだ。電卓は持ってないのか? ってことはここは日本なのか! どうして日本人が俺をこんなところに閉じ込めたんだ! 拉致するなら英語喋れるやつを用意しとけ!』)

やばい。ジャパニーズとイングリッシュしか聞き取れない。しかも、怒りのボルテージが上がってる。エアリスさんとビルドさんも度々「なんて言ってるんだ?」って目で見てくるし……。知らないよ!

「ユー、テレポーテーション。アナザーワールド。オーケー?」

"What the hell are you talking about!?"

(『……一体何を言ってるんだお前は!?』)

「ディスイズアナザーワールド。ディスイズ、アナザーヒューマン」

 エアリスさんを指差しながら。

「シーイズ、ウォーリアー。ユー、ショットウォーリアー。ゼイアーアングリー」

"Wait, you mean... nobody here speaks English? What kind of situation is this...?"

(『あー、もしかして、英語がわかる奴が他にいないのか? どういう状況だ、これは……』)

ちょっと落ち着いた! やった! 何言ってるかわからないけど、トーンが落ちた!

「呆れてるように見えるけど、トウカ大丈夫? 通じてる?」

「全部が全部通じてるわけではありませんが、意思は伝わっているはずです。……ここで、絵と単語作戦です!」

 私は黒板のようなものに、銃を持った人と兵士、そして子供の絵を描いた。

 いよいよ牢屋の中へ。思ったり広い。さて、絵を見せながら……。

「ユー、ショット」

 銃を指差しながら、倒れた兵士の絵と繋げる。

「オーオー、オーマイが!」

 そして、子供の絵にも繋げる。

「オーオーオーオー。オーマイが!」

 最後に、銃を持った人を倒す絵を描く。つまり、死刑宣告だ。

「オーノー、オーマイが!」

 そして、牢屋の絵を描いて、

「ユア・シチュエーション。オーケー?」

 やばい!

 ジョージさんが立ち上がって、両手を上げた! 全然オーケーじゃなかった! くっ、理不尽な暴行が私を襲う――!

 ……と思ったら、エアリスさんが剣で牽制して守ってくれた。いや、頼もしいけど戦士すぎてちょっと怖い。

「トウカ、本当に話通じてる? それとも通じてるけど、こいつが野蛮なだけなの?」

「……私の話し方が悪かっただけかもしれません。一旦、休憩してもいいですか?」

 エアリスさんが剣を納めると、ジョージさんも糸が切れたように座り込んだ。

 牢屋から出ようとした時、背後からポツリと、こう聞こえた。

"I... didn't... shoot."

 ゆっくりと、聞き取りやすい早さと発音。

 難しい言葉を使わない、私にもわかる単語。

 ――「俺は、撃っていない」。

 ……多分、そう言っていました。


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