奇妙な家の中で①
私はエアリス。国王の命令により極秘任務を進行中である。魔族と人間の領地の境目は何が起こるかわからない魔族と出会う可能性が高いからである。数年前、停戦状態になったのだがそれでも魔族に襲われる事案は跡が立たない。見回りをする時も小隊を組むのが基本となっている。しかし、私は1人でこの危険な地域に来ている。魔族と共に生活している戦士の経過報告書を受け取りに来ているのだ。魔族の元大幹部ダークエルフ、そしてそいつが呼び出した異国の人間を牽制してくれている。今回はその報告を確認するために近くまで来ているというわけだ。そのような大役を任された私はやはり素晴らしい戦士なのだろう。途中に人の形をした獣ワーウルフが数体襲ってきたが見事撃退した。やはり油断ならない土地である。早く馬を走らせて合流地点付近に魔除けのキャンプを張りたいものである。馬を走らせているとこの場に似つかわしくない建物が見えた。家のような建物だ。今の仕事ではないが魔物の住処になっていないかだけは確認しておこう。
「厄介なことにならなければいいけど。」
気配を消し近くで再確認すると人が暮らせるような家そのものだった。なぜこのような場所に家があるのかはわからないが、何かが滞在しているのであればそれは要注意しなければならない。火の魔法で室内の温度を調べる。・・・熱反応がない。短時間に生き物がいた痕跡がない。ということで、家の中も調べるか。家のドアを開ける。そんなに古い感じもなく開き中に入る。中に入ると奇妙な感じを覚えつつ開放的なダイニング部屋に入った。コップや食器も置かれていて、人間が住んでいるような感じがした。もちろん、魔物の住処に行ったこともないので、あいつらがどのような暮らしを送っているかはわからないが。キッチンや暖炉もありなかなかいい内装をしている。キッチンの奥の方には食料の保存箱まであった。これは今でも使用しているのか。人間がこのような場所で危ないことだ。ふぅっとため息をつき戻ろうとした時、玄関が開く音が聞こえた。ここの住人か。
「すまない。私はー」
いや、違うこの感じ、魔物!
玄関にはワーウルフがいた。
「ダレダ?オマエ?」




