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初仕事はお食事会プロデュース

私は逃げ出しました。

なにから?地獄からです。・・・嘘です。

新人研修合宿からです。

いえいえ、根性がないわけではありません。

洗脳されそうになったからです。

決して心が挫けたわけではありません。

心が挫けていれば、こんな山奥なのに一人で脱走する行動力はないでしょう。逃げるという行為はそれなりに勇気がいる行為なのです。心臓がバクバクです。

動かなくなるまで走らされるまでは我慢できましたが、ひたすら罵倒されるのはちょっと我慢なりませんでした。というか、こんな精神状態になってまで働く意味なんてあるのでしょうか?

ここまで、私を育てた両親ならわかってくれるはずです。きっと優しく迎えて入れてくれるはずです。

「やはり、イベント会社っていうのが良くなかったですね。」

独り言が出てきました。

心が不安だからですかね?そりゃあ、不安にもなります。真っ暗ですもの街灯がないってだけでこんなにも暗くなるのですね。早く文明社会に帰りたいです。

「んー、ご飯も少ししか食べれなかったしお腹が」

あーあ、1ヶ月前は希望に満ち溢れていたのに。

学生最後だからといって飲み歩き、お腹も満ち溢れた満腹感で一杯でした。

「軽いダイエットと思えば」

髪もなぁ、長い髪をバッサリショートヘアにしました。気ままな学生とのお別れの意味で。自由な時間は終わったと思ってましたが、リアルに不自由になるとは誰が予想できましょう。友達にはいない彼氏と別れたのかとバカにされました。仮に今の状況をバカにされてもなにも言い返せません。

「ケータイって手元になくても解約できるよね」

その時、後方から車の音が聞こえました。

それは、私を地獄へ引き戻す悪魔が乗っていることは言うまでもなく確定事項でしょう。

「あそこに戻るなら竜王の城に行くほうがまだマシだよ。」

無論山の道なき道を歩くのは早々に諦め車道を歩いていた私も迂闊ですが、ここで捕まるわけにはいきません。

ともかく一旦この山に逃げ

「うわ、やば!」

山の傾斜ってほんとに転がり落ちるものなのですね!

え、崖ってほんとに崖なのですね!

山ってほんとに山なのですね!

「がは」

自分がどんな状態かもわからない。意識が遠のきます。






・・・目が覚めたら、知らない天井でした。

いえ、本当に見渡しても知らないというか、見慣れない部屋でした。ベッドから体を起こしても不思議と痛みもありません。

洋式の部屋というか、妙に見慣れない・・・。

「まるで異世界に来たみたいな感じですね。」

なんて、冗談を言いながら体の確認を・・・。

どうやら五体満足、お腹が減っている以外は問題ないようです。

となれば、次は状況確認。

タンスと机があるだけで、他にはなにもありません。タンスの中は私にサイズが合うような服があります。取り出してみると、少し大きくて私には可愛すぎる服ですね。

こんな部屋、合宿場にはないはずです。雰囲気がかけ離れています。あとは、窓から外の状況を確認しますが真っ暗でなにも見えません。

本命、山で怪我した私を見知らぬ誰かが助けてくれた。

対抗、こんな感じだけど病院。

大穴、実家が改装した。

うーん。これはあえての大穴!

ということで、ベッドに戻りますかね。現実逃避ではありませんよ。

ふいに、キイっと、ドアが開かれようとしています。

この時、私の脳みそはフル回転します。

え、合宿のあの教師!?いや、親!?いや、先生!?この家の主人!?

誰でもいい!とりあえず、お礼を言っとけば、怒られるないだろう!

「あっ、あっ、あっ、ありがとうございました!!!!」

合宿の成果が出たのか、興奮していたのか、我ながらこんなに大きな声が出るものだと関心しました。

「こんなに、大きい声が出るのならば体は問題ないようだな。異界の君。」

そこに、いたのは私の親・・・??

ではなく、美形で色黒で妙に美形で耳がとんがっている・・・。耳がとんがっている!?

「あっ、えっと、あの、私は日本人です!」

「それは君の種族か?それならば、ワレはダークエルフだ。一応、ダークエルフの長をしている。ダルクという名だ。異界の君の名はなんというんだ?」

だーくえるふ、だーくなだけあって色黒なのですね。長?いえ、質問には応えねば。

「はい!私は、町山トウカと申します!よろしくお願いします!!」

合宿の洗脳って怖いですね。名前を聞かれるとつい大声出しちゃいました。

「ハハハ、元気なのはわかった。さて、それではそろそろこちらのことを話しても大丈夫だろうか?」

正直大丈夫ではないですか

「はい、・・・大丈夫です!」

そろそろ普通のボリュームで話せました。しかし、断じて大丈夫ではないです。が心と言葉は相反するものですね。日本人らしい。

「さて、まずは君のことだが君は一度死にかけたのだが」

やっぱり私死にかけたんですね。

「どうせ死にかけているならばと、成功率の低い異世界召喚魔法を君にかけて、こちらに呼び寄せたのだ。今まで小さな動物で試し、10回に1回程度しか成功してなく、失敗すれば死に至るので、人権を考慮し死にかけの状態の人間を探していたのだが」

成功率の高い死の魔法をかけられたんですね、私。

「うまくいってよかった。そして、私の求めていた人間が召喚されたわけだ。」

というか魔法ってどうゆうこと?

「えーと、話の途中で申し訳ないのですが、ここはどこなのでしょうか?」

「ふむ、ここはイドア。竜王様が統治している国だ。君は異世界に来たということになるな。」

頭が追いつきません。

「さっき、話した通り君は向こうの世界で瀕死の状態だった。私の異世界召喚魔法はいちど体を分解してこちらの世界に再構築し魂を定着させる理論なので、肉体的な負傷はなくなっているので安心してくれ。」

怖い方のワープ理論を言われても安心できません。

「つまり、私は一度死んだということですか?」

「いや、死んではない。魂が定着しているからな。」

へー、魂が定着していれば死亡判定されないのですね。医師のみなさんに教えてあげたいです。

「だが、君を召喚する際に異界への門にヒビが入ってしまった。質量が大きすぎたのかもしれないな。」

私は160cmに満たない小柄な女の子ですが?

「門が傷つき、時間もない。君だけが頼りだ。我が国を救ってくれないだろか?」

「国を救う・・・とは?」

「異界の人間にはわからないのは当然だが・・・」

平常心ならちょいちょいむかつく言い回しをしてくるだーくえるふのダルクさんですが、

「要約すると

竜王率いる魔族と人間で戦争していましたが、なんとなんと和平の道を選びました。どちらももう戦争はこりごりです。平和が一番です。これからはお互いを知り、尊みあって交流していきましょう。知らないからこそ怖がってしまうのです。

そこで、和平ということで、第一回竜王と国王の食事会が開かれる。ということですね。」

「そうだ。」

「それで、私が頼りということとは一体なんなんですか?」

「国王を招いての食事。絶対に失敗してはいけないのはもちろんのこと、満足させねばならない。

・・・和平が行われて武力による侵攻は行われなくなるにしろ、ここで程度の低い催しを行えば足元を見られかねない。それは、和平の亀裂を産むかもしれない。我が国がより知的であるという文化の高さを見せつけたいのだ。」

「見せつけてやればいいじゃないですか。」

だんだん態度が砕けてきてしまいました。

「見せつける文化というか娯楽の類がもうほとんど残ってないのだ。

長い戦いにより、人は娯楽を忘れて戦いの事のみを考えて生きてきた。昔は美味しい食事や踊り、歌もあったが、戦争がすべてを燃やしつくしてしまった。」

戦争は悲惨ですね。それにしても、国同士の外交はこうもめんどくさいのですね。もっとこう、おしゃべりしながら食べればいいのに。

「そこで、異界の君トウカよ。君に国王との食事を成功させて欲しい。」

え、なんか、信○のシェフみたいなこと言われました。私が?

「私がですか!?」

「そうだ、異界の様子を観ていたのだが、君は催しのプロなのだろう?」

いえまだ研修中です。

「私はまだ見習いというか、プロの仲間入りをしただけなので、なにも知識がなく、プロになるための研修を受けてる状態といいますか、そこから逃げ出したといいますか。」

「トウカよ、そんなに謙遜しなくていい。君はあの山の中で一番ユニークだったじゃないか。」

あっ、コレ、誤解されてる。

そこから、私は自分を慰めてあげたいほど卑下し、落とし、大学の失敗から遡り、中学のところまできて、呂律が回らなくなるころ、ようやくダルクさんが動いてくれました。

「わかった。それでは、迷惑をかけた詫びにもとの世界へ帰してやろう。」

やりました。いやいや、社会人になりたてで国と国との食事会のプロデュースなんて責任のある事出来ませんもの。私がやってきたのは精々文化祭の運営です。しかし、元いた世界に帰れるなん・・て

あれ?いま、私90%くらいで体の再構築が失敗する魔法かけられようとしてる?

「ダルクさん。色々言いましたが、私は過去の失敗から学べる人間です。今言った失敗は全て私の糧になっています。それだけの経験値が私にはあるという事です。それに私は学校という大きな組織で一番盛り上がる催しを成功させてきました。更にモノに例えると潤滑油のような存在なので周りの人達ともスムーズに仕事をできると思います。

えーと、えーと、

ここで働かせてください!!」

「おぉ!トウカ!意味はわからなかったが、君の熱意は伝わったぞ!よろしく頼むぞ!」

こうして、私の社会人初仕事は国のトップ同士の会食をプロデュースすることになりました。

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