愛を叫ぶ女
私はLOVE HUNTER
狙った男は必ず手に入れたモテ女。
容姿端麗が故に落ちない男なんていない。
猫撫で声で愛想を振りまき
散々褒め上げた挙句に
ボディタッチで甘えりゃあ
男なんてイチコロだった。
狙いを定めた男に女がいようが
超絶美人の私には関係ないし興味がない。
男のハートを射止めきれていない
女の方が圧倒的に悪い。
そこまで男一人に拘らない。
男女の醜い争いなんて興味がない。
欲を満たせればそれだけで満足。
プライドの塊である私は
そう豪語して逞しく生きてきた。
ーーだが、そんなある日。
『拓真を落としたら二万円あげる』
ゲーム感覚で金をチラつかせた友達の冗談によって
運命は左右させられてしまう。
金に目が眩んだ私が
狙いを定める事になった男とは
ななな、なんと……
年下の真面目系メガネ男子?
しかし、
男一人を落とすなんてたやすい事だと思って賭けにノり
毎日無視され続けながらも
ストーカーのようにしつこく追い回す。
拓真が落ちたら
賭け金をゲットしてソッコー捨てればいい。
彼の眼鏡のレンズが二枚の札束に見えていた私は
エベレスト級の高いプライドを捨てて
ツンデレな態度に我慢して近付く事に。
だが、あいつは……。
「俺の行く所にいちいちついて来るな! お前と俺の距離は3メートル以上だ! それ以上近付くな!」
イチコロどころか、
モテ女としてのプライドをズタズタにさせる。
しかし、そんなある日。
「イエスの返事は出来ないけど、根性だけは認めてやる」
彼は白旗を上げずに戦い続けている私にこう言った。
こんなクソ生意気な年下男との恋愛なんて
絶対ありえないと思っていたのに……。
※この物語はフィクションです。
「1年3組 弘崎 拓真ああぁぁ……。私、一ノ瀬 和葉はあなたの彼女になりたいから付き合って下さい! お願いしまあぁぁ……す」
ーー額に汗が滲む残暑が続き、日差しが強く照り続ける天気は快晴。
都心から少し離れた街中の公立高校で、朝から全校集会がある日の今日、校庭に生徒達が集まる中で校舎の屋上からたった一人の男に愛の言葉を叫ぶ。
……いや、正しくは愛の言葉じゃない。
そこに感情なんてものは存在しないのだから。
大胆なのは今に始まった事じゃない。
キラリと光る肩までの金髪
猫目に見えるつけまつげ
濃いめのアイライン
チェリーピンクのリップ
第二ボタンまで開いてるワイシャツの上に垂れ下がっているリボンの奥にはシルバーネックレス
スカートは膝上20センチ
ラインストーンの入ったブラックネイル
恵まれた美貌にEカップでスタイル抜群の身体。
顔の美しさは国宝級。
私にとって男は使い捨てカイロ。
温まったらそれで十分。
温もりが消えるまで持ち続ける必要はない。
そんな私の事をみな口を揃えて言う。
その名もLOVE HUNTER
一ノ瀬 和葉
高校二年生 17歳
さて、どうして私がいま全校生徒が見てる屋上から告白をしているのか。
モテ女にもかかわらず、こんな苦労しなきゃいけなくなってしまったのか。
まずは、ここまでの経緯を説明しましょうか。