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てんてこ舞いが止まらない  作者: 金子ふみよ
第五章

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体育祭プログラムの作成

 五月のゴールデンウィークが始まったというのに、祝日登校をする。生徒会メンバー勢揃いで。

 体育祭の固有名詞付加の議論は、平日に行ったクラス代表会議において、意見など出ないかと思いきや、候補が出ては良いが、いずれもしっくりいかないという意見が圧倒的多数となり、議事進行係としては手の打ちようがなく、三善と相談の上、

「では、本年度は体育祭という名称のままにして、実際に行ってみて、その雰囲気を加味し、来年度に決定する形を決議したということにして、理事長に報告します。理事長が反対した場合には生徒会預かりにしていただいて、本年度は生徒会が仮称を挙げ、こちらも来年度に正式に決定という手続きにしたいと思いますが、いかがでしょうか」

 ということにし、承認を得た。

 そのことがあった翌日である。俺がまずやらなければならないのは、種目案の提出であり、思いつくままにホワイトボードに書いてみる。が、

「それ、多分理事長が拒否権を発動するわよ」

 と三善に一蹴された。だったら、議会側から理事長の解職請求したらどうだ。それくらいの権力均衡でなければならんと教科書でも言っていたではないか。

「いいから、案、早く出しなさいよ」

 そうか、代表者側のリーダーがこいつなら、俺のせっかくの行動も反故にされるというわけか。

「早くしなさい」

 俺には愚痴をこぼす余地もないらしい。まあ、仕方ない、業務続行。こんな感じの種目案となった。

 リレー、玉入れ、騎馬戦、棒倒し、障害物競走、借り物競争、一〇〇m走、綱引き、応援合戦、竹馬競争、動物追いかけっこ、大玉ころがし、二人三脚、パン食い競争

 思いつくままと言っても、ネットで他の高校を参考にしてみたが、大概こんなものだった。だから三善に助言をいただいたが、玉砕覚悟でこれらをこれまた祝日出勤をしている理事長に持って行くしかなかった。が、予言通り、

「体育でしかも祭りなんだぞ。運動会じゃねえんだよ。全部が全部ダメとは言わんがな」

 即行で却下決定。

「これ、誰が出るか全然わからん」

 そう言えばそうか。男女別、男女混合、男子のみ、女子のみ、職員参加などなどの種目パターンも考えねばならんかったか。しかも、理事長からの要求や批判は、

「オリジナルな企画位一つくらい考えてみろよ」

 とか

「玉入れ、大玉ころがしって、玉玉競技なんて、そりゃお前にも玉ついてるからって」

 とか

「竹馬競争なんて、障害物競走に組み込めるだろ」

 とか。

「だって、他の学校とかはこんなもんだぜ」

 という俺の反論も

「ここは違う、ちゃんと全生徒が祭りだと思えることをしろ」

 なんてことで返されてしまい、

「身体を動かして、しかも祭りになっていろなんて、全員が法被着て出ろってか?」

「まあ、それもいいんじゃねえか?」  

 逆ギレの思いつきに乗っかかれてもな。

「じゃあ、仮装行列はオーケーになるってこと?」

「方向性はな、けどな、お前来年以降のこと考えてんのかよ。クラス増えたらマックスで十二クラス×三学年=三十六クラスだぞ。そしたら三十六クラス×五分=二一〇分。それだけで三時間以上かかるじゃねえか」 

「だから、そこはニクラス合同とかで、しかも学年対抗的な内容にしてもらうとか」

「ま、いいか。やりようはいくらでもありそうだしな。来年のこと言ってたら鬼が笑うしな。とりあえず」

 俺のその場しのぎの案なぞには耳もくれず、企画書を突き返して

「やり直し」

 理事長からの命令であった。そこには従うしかない。

「そういや、体育祭の名称だけど、今回はそのまんまで行くことになった」

 議事録を見せ、意見を請う。

「ま、いいんじゃねえか、それで」

 そうか。以外にあっさりしてるな。てっきり「頭ひねってアイディア出せよ」くらい言われると思っていたが。

「変に名前付けて、そのイメージに縛られてしまって、お前の言うアイディアが出なかったら、その方が碌でもねえからな」

 そう言ってもらえれば助かる。名前のアイディアなどにかまけている時間はないからな。じゃ早速生徒会室に戻って種目案を再考しなくては。

「貢、今年決められなかった名前は、来年決めろよ」

 理事長室を出て行こうとする俺に掛けられた言葉は、今回の件が決定ではなく保留でしかないことを俺に痛感させ、さらには来年度も俺が一噛みしなければならないかもしれないようにも聞こえた。が、聞こえないふりをした。


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