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てんてこ舞いが止まらない  作者: 金子ふみよ
第二章
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入学式その後

 ホームルームが終わり、クラス代表は会議室へ行くことになった。

 会議室のホワイトボードの真ん前の席に、我が叔父・菅原天満理事長がすでに座っていた。ジャージ+白衣が理事長職の制服かの如くに、入学式であろうが変わらなかったその格好。威厳もへったくれもあったもんじゃない。

 カタカナのロの字に配置され、指定された席に座る。机上には、画用紙を三角形に折り曲げて、クラス名が記されており、そこへ代表者二名が並んで座った。

八クラスの代表全員が揃うと、まずはAクラス代表から順に自己紹介を行い、その後が本題となった。すなわち、翌日に行われる開校記念式典でスタッフとして汗を流してほしいとのことだった。集合時間や大まかな業務内容、式典が行われている時の配置とかの打ち合わせが配られたプリントを読みながら行われた。

「それから三善玲那さん、明日も式典のあいさつ、よろしく頼むよ」

 司会をしていた理事長からの確認に

「はい、原稿はもう出来ています。校長先生から見ていただきました」

 入学式でも生徒代表のあいさつをした三善さんは、すでに式典でもあいさつをすることが決まっているらしかった。

「週明けの月曜日にはそれ以降に取り組んでもらわなくちゃならん話をする。授業終了後に集まってください。では、明日、ヨロシク。解散」

 こういう普通のことが言えるんだったら、入学式の理事長のあいさつもまともにしてほしかったものだ。

「貢」

 代表者たちが会議室から出て行く中、俺はその理事長に呼び止められた。大江さんは一言告げて行ってしまった。

「明日、よろしく」

「あのさ、それはまあ仕方ねえとしてさ、何で俺が代表者に任命されてんだよ」

「おいおい、口のきき方に気を付けろよ。ここじゃ、理事長と生徒なんだしよ。ま、理由は単純明快だ」

「なんだよ?」

「バイトだよ」

「は?」

「家賃分のバイトだって言ってんだ」

「それは、天満さんが払うって」

「ああ、そうさ。だから、そう思えって言ってんだ」

「待て。意味がわからん」

「いつかわかるんじゃねえか、じゃ、明日~」

 言いたいことだけ言うと、片手を白衣のポケットに突っ込んで、片手をバイバイを意味するようにヒラヒラさせて会議室を出て行った。

「わかるわけねえだろ」

 奇才の思考を理解できてるなら、こんなに背中が汗をかかないっての。


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