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てんてこ舞いが止まらない  作者: 金子ふみよ
第四章
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体育祭実行委員会

 その日の昼休み。会議室に生徒会及び各部活動の部長が集められた。

 内容はもちろん体育祭について。小野教諭から今回の体育祭に向けた委員会発足の内容を聞かされて、部長たちは予算云々の脅迫じみた話に機嫌を損ねているかと思えば、そうでもないらしく、

「体育祭、何やんだろうな」

「超暴れてえ」

 などとノリノリでさえある。文化部でさえも嫌そうな顔をしていない。

 そこへジャージ姿の教諭が登場。白衣を纏ってないので理事長ではない。体育教師の大伴勝先生であった。長身で体格のいい、何とも威勢のいい、見るからに体育の教諭であった。小野教諭に代わって、こう切り出した。

「諸~君、集まってもらった理由は分かるな。そ~う体育祭についてだ!」

 室内にマイクでも使っているのではないとかと思うくらいに反響がする。茅上といい勝負じゃねえか。小野教諭のほかにもう一人の教諭が搭乗した理由、それは

「わ~たしが、体育祭実行委員の顧問になった、大伴勝なのです!」

 だそうだ。なんか、小さい時に我が叔父から録画を見せられたバトル・アニメの次回予告みたいな絶叫風に話し方する人だな。いや、それよりも、見れば、橘が身じろぎしていない。もしかしてこの威圧感に負けて失神してんじゃないだろうな。

「ま、今すぐ何をするかは決まってないのだが~、ま~ずは今回の体育祭のモットーを私の方で考えてみた。諸~君が思案するなら、そ~の時間を部活動の練習に費やしてもらいたいからな~」

 何かいいことを言っているようだが、要は自分が決めたかったと。

「理~事長~にも称賛を得たのだった! そ~して、そ~れを今ここで発表しよう!」

 オオーッと拍手が起こる。乗り良いな、部活やっている人々は。

「こ~れだ!」

 ホワイトボードに貼りつけた模造紙にでかでかと四字熟語が書かれていた。

「前代未聞」

 オオー。再び歓声。

 待て。前代未聞て、この学校にとって今回の体育祭が初めてだろ。それのモットーが「こうれまでにはないこと」を意味する言葉になるんだ。

「こ~のモットーに添うように、盛り上げていこうぜ~」

 オオー。歓声三度。

「よ~し! 解散」

 若者たちはダッシュして会議室を出て行った。なんだこれ。一方的な宣言なら集まる必要なかったんじゃね? 何一つ決まったことなどありはしない、変なモットーを除いて。

 生徒会メンバーはのそのそと立ち上がる。

「お、そうそう」

 大伴先生は、出て行こうとする俺たちに、こう付け足した。

「じゃ、生徒会を中心に企画を練っておけよっ~。by理事長だそうだ」

 何だよ、普通にしゃべれるじゃねえかよ。んなことはいいとして。

 会長に引き連れられて会計と書記が見せる背中を、副会長が重い足取りで付いて行ったのだった。俺だけか、気が重かったのは。


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