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茅上さんとは会ったことがある気がしたので
その帰り道。連絡の必要性もあるということで、お互いの携帯電話の番号とメールアドレスの交換、Lineのグループ制作をした。
そういえば。
「あのさ、茅上さん」
「何?」
このショートカット元気はつらつ娘を
「中学の大会で会ってないか?」
の記憶があった。バレーボールの県大会だったような。
「そう!」
何もそんなにでかい声で返事しろなんて言ってないのに。
「覚えててくれたんだ」
「どこで会ったか思い出せなかったんだが」
「そう!」
わかったから、ボリュームを下げてくれ。
「だから、この高校来て巨勢君を見てさ、私もクラス代表だし、何かしてみようかなって」
「なんか、理事長が言ってたじゃんか。部活がどうとかって。バレーやるんだろ」
「そのつもり。しっかし、理事長はよく覚えてるね。面接で言ったこと」
あの人は変なとこ記憶力が人並み外れているからな。
「お知り合いだったの?」
三善さんが入って来た。
「ああ、そのようだ」
「ふ~ん」
「何だよ」
「いえ、別に」
三善さんはそれから何も言わずテクテクと歩いて行った。