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てんてこ舞いが止まらない  作者: 金子ふみよ
第一章

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一学期終業式の体育館その後

 校歌斉唱をして、終業式は終わり、解散となる。クラス毎に体育館から出て行くが、生徒会役員たちは、ステージ上のマイクやら何やらの片づけをする。

手が空いたかと思っていると、

「貢君、他に何かあるのカヨ?」

 控えめに残業の有無を尋ねてきたのは、高校男子平均身長より高い俺と大差のない身の丈の会計の橘和沙(たちばなかずさ)であり

「いや、もう終わりみたいだ」

 と答えた矢先に

「みっちー、これ重い」

 と用具室前で、なんでそんなもんがこんな所に出てるんだよと思うものの、バスケットボールが一杯の籠を、書記の茅上梢(ちがみこずえ)が小さい体をいかんなく生かしつつ、必死に用具室に入れようとしていた。この用具室には、トラウマがあるのだが、それは後でお話しすることにしよう。そのフラッシュバックを振り払うようにして、

「茅上が片付ければ終わりだから、先に戻っていいぞ」

「え、でもモ」

「大丈夫、大丈夫。あれくらい男手一つあれば終わるから」

「そう。じゃあ」

 と言って音もなく歩き始めた。用具室の方へ。

「梢さん、私が手伝います」

「いや、和沙、みっちーが手伝ってくれるから大丈夫だよ」

 ガシャンガシャンとボール籠を引き合い押し合いしていれば、バビョーンと籠の中のボールが散乱するのは必至であり、余計な仕事が増えたのだった。

 しょんぼりしながら会計と書記がボール拾いに回り、随分と軽くなった籠を用具室に入れた。

「おい、終わったか?」

 お二人さんとも両手いっぱいにボールを抱えて来た。残業終了。

「じゃ、戻るか」

 気が付けば、三善を除く生徒メンバーの三人しか体育館にはおらず、三つの足音が鳴り響いていたのだが、さらに気が付けば状況的には両手に花っていうのか、これは。なんか姉と妹に挟まれた長男みたいだけどな、身長だけで言うと。

「あ、先生のとこに行かないとゥ」

 すっかりうっかりしていたのをひょっこり思い出し、橘がいつも通りの変な文末を残して駆けて行き、

「ラッキー」

 なんてつぶやいた茅上は、次の瞬間

「なんで、こんな日まで日直があるのかな、みっちー先行くね」

 業務を思い出したらしく、橘の後を追っていくかのように、カラオケルームでもないの

反響がいつまでもし続けるくらいにでかい声を残して、駆けて行った。

 これからホームルームがある。教室へ向かう。廊下には俺一人しかいない。

「まあ、なんとも賑やかなもんだ」

 こんな高校生活なぞちっとも想像してなかった。入学の日から、この慌ただしい俺の生活が始まっていたのだ。


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