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てんてこ舞いが止まらない  作者: 金子ふみよ
第三章
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校内見学

 課題テストは、数学、英語、国語の三教科で終わり、その後は校内見学だった。

 オープンキャンパスで訪れたことのある生徒でもよくは覚えていないだろうし、全体像も知らんだろうしな。俺も受験で来たことはあるが、それは一教室で行われたので校内のことなんてまるで知らない。だからこれはありがたかった。

 各クラスが担任の先導のもと校内を歩いた。入学式は体育館で、その後教室へ直行だったし、クラス代表者が集まった会議室は下駄箱から体育館に向かう途中にあったので、すぐに場所がわかった。が、一年の科目にある化学などは実験もあるだろうから、やはり化学実験室的な所は把握しておかなければならない。そういえば、理事長がパズルの景品に食堂がどうのこうの言っていたが、食堂がどこにあるかも知らんぞ。

 というわけで、小野教諭に引き連れられ、我ら一年C組が校内見学にスタートした。

この高校。外観が洒落乙なビルみたいなのだ。空から見れば扇形になっており、扇のかなめの部分に階段があり、扇を広げた親骨の所に教室がある。クラスはAクラスからLクラスまでの計十二クラスが左右にそれぞれ六クラス分かれていた。今年は定員割れで八クラスしか生徒入っていないけれど。

 こんな風な設計にしたのは、

「既定の校舎の形は歩く距離が長い」

 という理事長の一言があったそうだ。一学年のクラスがこれだけ多ければ、端から端まで歩くのは確かに大変だが、階段を中心に二分すればその距離も当然半分になるから、移動も楽になる、という理屈らしい。階段のある所から直線にも廊下がある。

「これが独創性ってやつだ」

 とか、理事長が自慢していた時があったが、ただ単に目立ちたかっただけのような気がする。開校記念式典の懇親会での余興の数々の用意を自分でした位だからな。

 さっき話題にした化学室や物理室などの特別教室は、広げた扇の円周の部分に設けられており、必修科目のそうした特別教室が各学年のフロアにあるので移動は確かに楽そうだった。ただ、美術や音楽や書道は一階または二階の渡り廊下を過ぎて二号校舎に行かなければならないから、結局は歩かなきゃならんわけで、その二号校舎は既存のどこにでもあるような校舎の形をしていた。そうなったのは理事長曰く

「予算の都合」

 だそうだが、本当かどうかは怪しい。あの人飽き性だしな。一号校舎立ててそれで満足、後はいいや的に思っていたとしても何もおかしくない。

 非常時には御厄介になる保健室や部室、小体育館――入学式、始業式は大体育館で行われたらしい――、ゴミ捨て場なども辿った。


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