帰宅
気づけば、すでに部屋は真っ暗になっていた。時間は夜七時。部屋の電気を点け、そういえば程度に転がっていた、ビンゴの景品を手にした。包装紙を開け、箱を開けて、目が点となった。睡眠後だったのが幸いなのか不幸なのかはわからんかったが、早速問い詰める必要があった。誰にかって? 言うまでもない。
『あ? もしもし?』
受話器の向こうはやたら騒がしかった。
「もしもし、天満さん? これ何?」
『何って何がだよ?』
明らかに酒が入っている上に甥からの電話を面倒くさそうに答えている。確実に居酒屋だな。
「ビンゴの景品だよ。なんでこんなもんを景品にすんだよ。俺には必要ねえよ」
『あ? もしかしてアレが当たったのか? いや、運がいいねえ』
ニタニタと笑っているであろうことが、口調から読み取れた。
「待て、これのどこが運がいいんだよ」
『いいじゃねえか、いつかは使うんだし。高校男子が買いに行くのもこっ恥ずかしいだろ。ちゃんと持っとけよ』
「あのさ……」
『こっちったら、さっきまでオーデコロン臭え連中といたんだ、今ぐらい快適に飲ませろよ、じゃあな』
切りやがった。大人っていいな、酒で発散できて。それにしても、景品……どうするか、思案したが、ゴミにするのもなんだしと思い直して、ちゃんと片付けておいた。俺には彼女がいないわけだが、いつお付き合いが始まるともしれんわけであり、そうなれば、我が叔父曰く、必要になることもあったりなかったりで……。いや、そんな妄想よりも、
クー。
その日の懸案事項とも言えることが片付けば、当然腹が鳴るわけで、夕飯にしようと冷蔵庫を開け……買い物出かけることが決定した。