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てんてこ舞いが止まらない  作者: 金子ふみよ
第二章
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開校記念式典直後

 会場の道具は企業さんが片付けてくれるということなので、俺たちがやることはなく、とぼとぼと俺も三階へ向かうことにした。

「君」

 会場から出ようとした所で呼び止められた。遅れて来た学長だった。

「助かったよ、ありがとう」

 おっさん臭さで鼻をつまみたい衝動を必死に抑えてのシェイクハンド。

「いえ、とんでもないです」

 どれだけ感情がこもっていたかは知らないが、謝辞には答えなければならない。

 入口を出ると、さっき太鼓の運搬をしてくれたクラスメートの一人が

「貢、おもろかったぞ!」

 とか言って声をかけて来たが、ただ片手を上げる反応だけにしておいた。

 すると、

「あなた」

 と言って三善さんがそこで待っていた。

「どうしてあれをしたの?」

 文面から見れば、きついように思われるかもしれないが、責めている口調ではなかった。

「事情は聞いたわ」

「そうかい。じゃ、そういうことだ。約五分間の埋め合わせができて、俺が単独でできることをやっただけだ」

「でも、どこから和太鼓なんて用意したの?」

「朝、三善さんと外で話したろ、あの時トラックから降ろしている作業を見たんだ。それを嫌でも思い出してな」

「だとしても、それを誰かに依頼はしようと思わなかったの?」

「考えたさ、けど依頼とは言っても道具を借りることと演奏を頼むことはまるで違う。俺は小学校の時に行事の一環で太鼓叩いたことがあったから、何とかできそうだったし」

「そう」

「おかげで、疲労感満点だ」

「小野先生、着いたみたいよ。懇親会の進行はしなくてもよさそうよ」

「ああ、わかった」

 何をしに来たのかは知らんが、そう言って三善さんは歩いて行った。

 まずはあの担任にクレームを言わねば、と小野教諭の所に向かった。が、その担任様は超不機嫌モードだった。見事なスーツと顔色がまるで釣り合っていないくらいに。いや、その前に二日酔いになるなよ、ということは後日改めて言うことにしよう。


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