第0話
新作です。
まだまだ未熟ですので、暖かい目でお読みになってください。誤字脱字報告も大歓迎です(?)
自由気ままに投稿していきます。とくに投稿日程は決めませんが、最低でも一週間に一回は投稿すると思います。
一話一話は短いですが、どうぞよろしくお願いします。
少女は、手を伸ばした。誰かに助けを求めるかのように。または、唯一の希望に縋るかのように。
「だ……か…………け……て………」
少女の助けを求める声も、水によってかき消されてしまう。少女はその瞳に絶望を宿した。
「な………で……」
言葉を発するたびに、体から空気はなくなる。少女は息を吸おうと口を開き――
「………っ?!」
――ここが水の中だという事を思い出した。少女はすぐに口を閉じようとする。だが、体は言うことを聞かない。目の前にある、透明な、空気によく似たものを体に取り入れようとする。
――熱い 痛い 苦しい
少女は苦しそうに藻掻いた。意識がだんだんとボンヤリしていく。途切れゆく意識の中、少女はなおも助けを求めるかのように手を伸ばした。だがその手は誰にも掴まれることはなかった。少女は絶望をその瞳に宿しながら、薄暗い水の中に沈んでいった。